KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

聖書のメッセージやキリスト教の論説、社会評論などを書いています。

イエスは馬小屋で生まれたのか?

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■ステーン 「 羊飼いの礼拝 」 1660年頃

  イエスは馬小屋で生まれたのか?

そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストから出た。これは、クレニオがシリヤの総督であったときの最初の住民登録であった。それで、人々はみな、登録のために、それぞれ自分の町に向かって行った。

ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤベツレヘムというダビデの町へ上って行った。彼は、ダビデの家系であり血筋でもあったので、身重になっているいいなずけの妻マリヤもいっしょに登録するためであった。

ところが、彼らがそこにいる間に、マリヤは月が満ちて、男子の初子を産んだ。それで、布にくるんで、飼葉おけに寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。

新改訳聖書 ルカの福音書2:1-7)

およそ2000年前に、イエス・キリストが生まれたのは、どのような場所だったのでしょうか? ヨセフとマリアは、彼らが暮らしていたナザレからヨセフの本籍地であるベツレヘムに帰郷し、マリアはそこでイエスを出産した、と聖書に書かれています。

クリスマス物語ではよく、彼らが「宿屋」をめぐったけれども、どこもいっぱいで、「馬小屋」に泊まるしかなくて、そこでイエスを出産した、という話になっています。

しかし、ブルース・マリーナ、リチャード・ロアボー著『共観福音書の社会科学的注解』(新教出版社)によると、どうも様子が違うようです(pp.340-341から抜粋して引用します)。

ヨセフがベツレヘムに登録のために来たということは、彼にはベツレヘムに土地が(したがって同族の者も)あることを意味する。なぜなら、調査または登録が行われたのは、土地への課税のためだからである。

彼は商業的な宿屋ではなく、同族の者のところに滞在せざるを得ない筈である。またベツレヘムは…小さな村であったから、商業的な宿屋など存在しなかったことはほとんど確かである。

2:7で用いられているギリシア語は「宿屋」を意味することもあるが、通常は、農家に付属した広い家具付きの部屋のことで、「客間」と訳すのがもっとも適切である。

家の客間にはヨセフとマリアのための「場所」がなかったということは、彼らよりも身分が上の者が既に滞在していたことを意味する。

農民の家は一つの部屋しかないのが普通だった。…ただし客間が付属していることもあった。家族の者は部屋の一端を占め(この部分は床が高くされていることが多かった)、別の一端には家畜がいた。飼い葉桶は両者の間に据えられており、農民の出産のための場所としてよく使われていた。

共観福音書の社会科学的注解

共観福音書の社会科学的注解

 

 新改訳聖書は「宿屋」と訳していますが(2:7)、小さなベツレヘムの町ですから、これは「客間」と訳すのが適切だと思います。また、ルカの福音書には「飼い葉おけ」と書かれているだけで、「馬小屋」とは書かれていません。家畜も家屋の中にいて、家畜の熱で人の居住空間を温めるのが、当時、一般的だったようです。

 ユダヤは火山帯が通っていて、石灰岩が多い地方です。ベツレヘムの辺りは、石灰岩の小高い山や丘が連なっています。石灰岩の山や丘には、水で溶けてできた洞窟がたくさんあります。洞窟を住居や家畜小屋に利用していたということは、あり得ます。この地方は寒暖の差が大きいので、気温が安定している洞窟は快適でしょう。飼い葉桶は、石灰岩で作られたものが多かったようです。  

kanai.hatenablog.jp

 

 

東方の博士たちって何者?(西洋精神史の地下水脈)

f:id:nozomu-kanai:20161227132220j:plain■ジョルジョーネ「東方三博士の礼拝」 1507年

 

  1.東方の博士たちって何者?

 

新約聖書「マタイによる福音書」の2章に不思議な人物が登場します。2:1~2、11節を引用します。

◆新改訳(1970年)

1 イエスが、ヘロデ王の時代に、ユダヤベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東方の博士たちエルサレムにやって来て、こう言った。
2 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおいでになりますか。私たちは、東のほうでその方の星を見たので、拝みにまいりました。」

11 そしてその家にはいって、母マリヤとともにおられる幼子を見、ひれ伏して拝んだ。そして、宝の箱をあけて、黄金乳香没薬を贈り物としてささげた。
12 それから、夢でヘロデのところへ戻るなという戒めを受けたので、別の道から自分の国へ帰って行った。

◆新共同訳(1987年)
1 イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、
2 言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので拝みに来たのです。」

11 家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金乳香没薬を贈り物として献げた。

12 ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。

この東方から来た博士たちも、クリスマス・ページェント(生誕劇)に登場する花形スターですね。<博士たち>は新共同訳では<占星術の学者たち>と訳されています。原語(ギリシア語)は「マゴス magos」の複数形「マゴイ magoi」です。「マゴス」は英語では「マギ magi」となり、「マジック magic」や「マジシャン magician」の語源にもなっています。元来これはゾロアスター教の祭司を指す語です。東方の博士たちは、天体を観測する天文学者占星術であり、乳香や没薬を扱う薬学者だったのでしょう。彼らは旧約聖書を部分的にでも持っていたはずです。ダニエル書は、東方の賢者たちに知られていたでしょう。異邦人・異教徒がユダヤに生まれたメシアを礼拝したというのが、マタイ福音書の伝える大事なメッセージです。エスはあらゆる国々の民を治める王となられるからです(マタイ28:18-20)。

 

■Century Dictionary, Vol. V, Page 3572, Magic to Magistery

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出典:Thayer's Greek Lexicon

μάγος, μαγου, ὁ (Hebrew מַג, plural מָגִים


; a word of Indo-Germanic origin; cf. Gesenius, Thesaurus, ii., p. 786; J. G. Müller in Herzog viii., p. 678; (Vanicek, Fremdwörter, under the word; but the word is now regarded by many as of Babylonian origin; see Schrader, Keilinschriften as above with 2te Aufl., p. 417ff))
; from Sophocles and Herodotus down; the Sept. Daniel 2:2 and several times in Theod. ad Dan. for אַשָׁף; a magus; the name given by the Babylonians (Chaldaeans), Medes, Persians, and others, to the wise men, teachers, priests, physicians, astrologers, seers, interpreters of dreams, augurs, soothsayers, sorcerers etc.; cf. Winers RWB, under the word; J. G. Müller in Herzog, the passage cited, pp. 675-685; Holtzmann in Schenkel iv., p. 84f; (BB. DD., under the word ). In the N. T. the name is given:

1. to the oriental wise men (astrologers) who, having discovered by the rising of a remarkable star (see ἀστήρ, and cf. Edersheim, Jesus the Messiah, i. 209ff) that the Messiah had just been born, came to Jerusalem to worship him: Matthew 2:1, 7, 16.

2. to false prophets and sorcerers: Acts 13:6, 8,cf. 8:9,11.

占星術の起源 (ちくま学芸文庫)

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占星術―その科学史上の位置 (朝日文庫)

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  2.ゾロアスター教とは

 

前722年を中心としたアッシリア捕囚と前586年を中心としたバビロン捕囚によって、イスラエル民族はアッシリアアルメニアバビロニア、メディア、ペルシア、インド、中央アジアへと拡散していきました。アッシリア帝国新バビロニア帝国は、強制移住と植民、皇帝崇拝によって、イスラエル民族のアイデンティティーを奪い去ろうとしたのです。実際に、アッシリアによって滅ぼされた北王国では、イスラエル民族と入植した異民族の混血が進み、宗教的にもトーラー(モーセ五書)を改竄した「サマリア五書」を用いる異端に堕してしまいました。

 

ところが、アケメネス朝ペルシア(紀元前550年 - 紀元前330年)を興したキュロス大王は、前539年に新バビロニア帝国を倒し、ユダヤ人をはじめ異民族に対して寛容な政治を行いました。それはダニエル書エズラネヘミヤ記エステル記等に見られるとおりです。ユダヤ人はペルシャ帝国の王から支援を受けて、エルサレムの城壁と市街と神殿再建することができました。

ただし、バビロンからユダヤに帰還したユダヤ人よりも、バビロンやペルシア帝国の各地に居住したユダヤ人の方が多数でした。すなわち、ユダヤ人の人口は、ディアスポラ(離散民)の方がユダヤ本国よりも多いという状況です。その後、ギリシア人が支配する時代にもローマ人が支配する時代にも、ディアスポラの方が多いという状況になりました。

 

このアケメネス朝において、王家と国家の中枢を担うペルシア人が信奉していたのが、ゾロアスター教でした。その起源は古く、開祖ゾロアスターツァラトゥストラ)の在世は前1600年頃から前1000年頃までのどこかと言われますが、定かではありません。それは実在したか疑わしい人物像です。

ゾロアスター教は、光(善)の象徴としての「火」を礼拝するため、拝火教とも呼ばれます。「この世は、善なる神アフラ・マズダーと悪なる神アンラ・マンユの力が拮抗する、戦いの場だ」というのが、ゾロアスター教の基本的な世界観です。すなわち善悪二元論がその特徴です。

 

ゾロアスターの神秘思想 (講談社現代新書)

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ゾロアスター教―神々への讃歌 (1982年)

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マニ教とゾロアスター教 (世界史リブレット)

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原典訳 アヴェスター (ちくま学芸文庫)

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ミトラス教 (1973年)

ミトラス教 (1973年)

 
ミトラス教研究

ミトラス教研究

 

 

これに対して、ユダヤ教キリスト教の正統においては、悪魔サタン)は多くの堕天使(悪霊)の軍団を率いる堕天使の長であって、決して神ではありません。唯一の真の神である<>は全知全能であり、全宇宙を統べ治める主権者です。主に並ぶ者は皆無です。悪魔・悪霊は、主が許容しておられる範囲でしか活動できません。光の勢力と闇の勢力が対立する構図はあるものの、聖書キリスト教の世界観は基本的に一元論なのです。

 

  3.ユダヤ教における二元論の展開

 

さて、1947年以降に発見された死海写本によって、死海周辺で活動したエッセネ派クムラン教団に注目が集まりました。後者が前者の一部だという説と両者は別だという説がありますけれど、両者が無関係とは思えません。死海のほとりにあるクムラン付近で発見されたクムラン写本の研究によると、クムラン共同体の人々は、自分たちを「光の子」と称して、「闇の世」の支配に対立するものと見なしていました。そして、終末時の聖戦で彼らが「闇の世」の支配を打倒する、と信じていたようです。その二元論的な世界観には、ゾロアスター教の影響があると思われます。

死海文書 - Wikipedia

死海文書・聖書外文書研究 / 和田幹男

旧約外典偽典等、第二神殿期ユダヤ教黙示文学には、同様の二元論的な神秘主義思想が見られます。それは、ペルシア帝国時代に受けたゾロアスター教の影響と、ギリシア帝国・ヘレニズム時代に受けたギリシア哲学の影響によるものでしょう。プラトンは後者を代表するものであり、ヘルメス文書グノーシス主義これらと同類です。ユダヤ教神秘主義カバラを生み出しました。

新約聖書の周辺世界 (NTD補遺)

新約聖書の周辺世界 (NTD補遺)

 
旧約聖書外典(上) (講談社文芸文庫)

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旧約聖書外典(下) (講談社文芸文庫)

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パイドン―魂の不死について (岩波文庫)

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ヘルメス文書

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知の教科書 カバラー (講談社選書メチエ)

知の教科書 カバラー (講談社選書メチエ)

 

  カバラ - Wikipedia

 

  4.グノーシス主義とは

 

マケドニアアレクサンドロス大王が率いるギリシア帝国の大遠征(紀元前334~323年)以降、ヘレニズム(ギリシア文化の影響)が地中海世界とオリエント世界を染め抜き、ギリシアを共通語とする巨大な統一的文化圏が生み出されました。インドや中央アジアにまでその影響は広がりました。

 

ローマ帝国は文化的にはヘレニズムを受け継ぎ、「パクス・ロマーナ」(ローマの平和)のもと、世界の道はローマに通じるように整備され、東西の諸々の文化が盛んに広がり、影響し合う時代が続きました。この時代に流行したのが、グノーシス主義です。グノーシス主義の世界観は次のようなものです。

 

人間の霊は、至高神である天の「」(パテール)から流出した善きものであり、永遠である。造物神デミウルゴス)が造った物質・肉体は悪である。人間は、その霊に本質があるという「グノーシス」(神秘的な知識)を得て、「自己」が「父」から出たものであることを悟ることによって、肉体という牢獄から解放され、霊の人(プニューマティコイ)となって「父」に帰ることができるーー。

 

「肉体が死んでも、霊魂は天国に行ける。それが救いだ」。これって現代のキリスト教に似ていませんか?

グノーシスの神話 (講談社学術文庫)

グノーシスの神話 (講談社学術文庫)

 
グノーシスと古代宇宙論

グノーシスと古代宇宙論

 

 

グノーシス主義 - Wikipedia

 

  5.グノーシス主義の影響

 

グノーシス主義は、キリスト教とは別に、ほぼ同時期に、ユダヤ人共同体の周辺で生まれました。グノーシス主義は、ユダヤ教キリスト教ゾロアスター教、仏教など、諸々の宗教と混淆して、それぞれを変質させてしまいます。キリスト教グノーシス主義は、キリスト教の初代教会にとって、思想的に最大の敵となりました。

 

キリスト教グノーシス主義にはいくつかの種類がありますが、基本的には次のような特徴を持っています。

◆人間を救いに至らせるのは、グノーシス(神秘的知識)である。
◆至高神が「グノーシス」を与えるために遣わした救済者が、イエス・キリストである。

◆至高神のもとから来たキリストが受肉して、穢れた肉体を持つことは、あり得ない。

◆キリストが、肉体において十字架刑の苦しみを受けることも、死後三日目に復活することも無い。

 

キリスト教グノーシス主義では、「イエスの身体は仮の姿であり 、幻のごときものだ」としたり、「人間イエスに一時的にキリストの霊が宿っていたが、イエスが十字架につけられる前に、キリストの霊はイエスから離れた」としたりします。

 

紀元1世紀末には、グノーシス主義キリスト教会において重要な問題となっていました。 

愛する者たちよ。すべての霊を信じることはしないで、それらの霊が神から出たものであるかどうか、ためしなさい。多くのにせ預言者が世に出てきているからである。あなたがたは、こうして神の霊を知るのである。すなわち、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白する霊は、すべて神から出ているものであり、イエスを告白しない霊は、すべて神から出ているものではない。これは、反キリストの霊である。あなたがたは、それが来るとかねて聞いていたが、今やすでに世にきている。

ヨハネの第一の手紙4章1〜3節)

荒井献著作集〈6〉グノーシス主義

荒井献著作集〈6〉グノーシス主義

 
新約聖書外典 (講談社文芸文庫)

新約聖書外典 (講談社文芸文庫)

 
トマスによる福音書 (講談社学術文庫)

トマスによる福音書 (講談社学術文庫)

 
ナグ・ハマディ文書〈2〉福音書

ナグ・ハマディ文書〈2〉福音書

 

 

グノーシス主義から発展したマニ教は、グノーシス主義を核として、諸々の宗教を混合させました。キリスト教の最大級の神学者アウグスティヌスが、マニ教からの回心を記した『告白』は有名です。

マニ教 (講談社選書メチエ)

マニ教 (講談社選書メチエ)

 
世界の名著 16 アウグスティヌス (中公バックス)

世界の名著 16 アウグスティヌス (中公バックス)

 

 グノーシス主義は、正統的キリスト教から異端の烙印を押されましたが、キリスト教史においてはカタリ派ボゴミル派にその影響が見られます。

カタリ派 - Wikipedia

ボゴミル派 - Wikipedia

中世の異端者たち (世界史リブレット)

中世の異端者たち (世界史リブレット)

 
ヨーロッパ異端の源流―カタリ派とボゴミール派

ヨーロッパ異端の源流―カタリ派とボゴミール派

 
グノーシス 陰の精神史

グノーシス 陰の精神史

 
グノーシス 異端と近代

グノーシス 異端と近代

 

 

  6.魔術・オカルティズム・ニューエイジ

 

古代から中世にかけて、学問は西方よりも東方で盛んになり、発展しました。東方世界では、祭司階級が中心となって、古代のエジプト、アッシリアバビロニア、ペルシア、ギリシア、ローマの学問を受け継ぎ、発展させました。

 

ゾロアスター教プラトン哲学、ヘルメス文書、新プラトン主義、グノーシス主義カバラなど古代の神秘主義は混合して西洋精神史の地下水脈となり、生き続けました。それが西洋のスピリチュアリズム心霊主義魔術magicオカルティズム(神秘学)です。その本質は「光の天使を偽装した悪魔の崇拝です。

 

新プラトン主義 - Wikipedia

心霊主義 - Wikipedia

魔術 - Wikipedia

神秘学 - Wikipedia

魔女とキリスト教 (講談社学術文庫)

魔女とキリスト教 (講談社学術文庫)

 
カバラと薔薇十字団 【新版】 (象徴哲学大系)

カバラと薔薇十字団 【新版】 (象徴哲学大系)

 
魔術と錬金術 (ちくま学芸文庫)

魔術と錬金術 (ちくま学芸文庫)

 
ニューエイジの歴史と現在―地上の楽園を求めて (角川選書)

ニューエイジの歴史と現在―地上の楽園を求めて (角川選書)

 

 

十字軍以降、ヨーロッパ人は東方からその宗教と学問を輸入あるいは逆輸入して、ルネサンス(文芸復興)の華を咲かせました。その結果、東方の数学天文学占星術錬金術などと結びついて、異端的神秘主義が西方キリスト教世界に流入したのです。

 

16世紀のヨーロッパ最大の数学者とされるカルダーノは、エジンバラ大司教でしたが、医師であり、占星術師であり、賭博師としても有名だった人です。近代以前にはまだ神学、医学、数学、天文学占星術、賭博は混然一体としていて、分化していなかったのです。カルダーノの主著が『アルス・マグナ Ars magna』です。

(参照:森毅著『魔術から数学へ』講談社学術文庫、p.53)

以下、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』から引用

カルダーノ Cardano, Geronimo

[生]1501.9.24. パビア [没]1576.9.21. ローマ
イタリアの数学者,医者。 1526年にパドバ大学で医学の学位を取り,43年にはパビアで医学教授の地位を獲得。初めて発疹チフスの症状を医学的に記述するなど,医者としての名声も高かった。数学者としては,当時の第一人者であり,現在『アルス・マグナ』の名で知られる書物を著わし,N.タルタリアの発見した3次方程式の解法およびカルダーノの弟子の L.フェラリが発見した4次方程式の解法を公表した。

魔術から数学へ (講談社学術文庫)

魔術から数学へ (講談社学術文庫)

 

 

現代ではこれらを総称して、ニューエイジと言います。現代のグノーシス主義であるニューエイジは、マニ教のごとく諸々の宗教に入り込んで、それを内奥から蝕んでいきます。外側から見たら綺麗でも、内側は真っ黒でボロボロになっています。日本の新興宗教にはこの類が多いのです。

大川隆法が説く「幸福の科学」は科学ではありません。歴史上の様々な人物を騙る彼の「霊言」は、まさに現代のマニ教です。

最近は、シュタイナー教育自己改造セミナーなど「宗教ではない」ように見せかけるニューエイジが増えています。

しかし、ルドルフ・シュタイナーのキリスト論はグノーシス主義的な異端思想であり、シュタイナー教育の本質は異端的異教的な霊的修練です。シュタイナー教育を取り入れている教会付属幼稚園があるのは、理解しがたい愚行です。

また、自己改造セミナーのルーツにあるのは、ユングのオカルト心理学やトランスパーソナル心理学等の異端的神秘主義です。

 現代のキリスト教は、このようなニューエイジにかなり蝕まれているのではないでしょうか? それでも、あの2000年前のマギたちのように、異教徒や異端者も真の光であるイエス・キリストのもとに立ち帰り、真の礼拝者となる時が来る、と私は信じます。

 

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シュタイナーキリスト論集

シュタイナーキリスト論集

 

 ルドルフ・シュタイナー - Wikipedia

ニューエイジの罠

ニューエイジの罠

 
ニューエイジムーブメントの危険

ニューエイジムーブメントの危険

 
ニューエイジについてのキリスト教的考察

ニューエイジについてのキリスト教的考察

 

 

 

御言葉は地の果てまで(ローマ10:16-21)

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【聖書朗読】ローマ人への手紙10章16~21節

【説  教】「御言葉は地の果てまで」金井望牧師
【今週の聖句】            
 その声は全地に響き渡り、
 そのことばは地の果てまで届いた。
 わたしは、わたしを求めない者に見いだされ、
 わたしをたずねない者に自分を現した。
            (ローマ10:18、20)
【説教要旨】

  1.クリスマスの意義

 私たちがキリストの降誕を記念して、クリスマスを祝うことには、二つの大きな意義がある。
 一つは、キリストがあらゆる国の、あらゆる民族の人々を救うために来られたことを喜び、その福音を宣教することである。
 もう一つは、キリストが再び来られることを覚えて、それに備えることである。
 ローマ人への手紙から神の歴史的な計画=経綸(エコノミー)について学びたい。

  2.選民イスラエルの時代から異邦人教会の時代へ

 ローマ人への手紙9章から11章までは直接的には、旧約時代の選民=イスラエル民族・ユダヤ人の問題を扱っている。
 キリストは初臨において、ユダヤ人としてこの世に生まれた。それによって世界の歴史は、イスラエルを中心とした古い契約の時代から、異邦人の教会を中心とした新しい契約の時代へと、大きく変わった。
 その移行期においてパウロは、<異邦人の使徒>(11:13)となるために召されたが、同胞であるユダヤ人に対する神の取り扱いを注視し、彼らの救いを切望していた(9:1-5, 10:1)。

  3.ユダヤ人はキリストを認めなかった

 パウロはここで、旧約聖書の預言を引用して、イスラエル民族・ユダヤ人の問題を論じる。
 <主よ。だれが私たちの知らせを信じましたか>。
 イエス・キリストの初臨の時に、ヘロデ王をはじめエルサレムの人々は、預言されたメシア(神が任職し遣わす救い主、キリスト)がベツレヘムに降誕したことを聞いた(マタイ2:1-6)。しかし、彼らは祝いに行かなかった。それどころか、ヘロデ王はメシアを亡き者とするために、ベツレヘムに生まれた幼子をことごとく殺した(マタイ2:16-18)。
 そして、ユダヤ人は、イエスがメシア(キリスト)であることを認めず、イエスを「十字架につけろ」と要求し、「その人の血は、私たちや子どもたちの上にかかってもいい」と言ってしまったのである(マタイ27:22,23,25)。

  4.御言葉は地の果てまで

 その血の責任によって、紀元後70年にエルサレムの神殿と都はローマ軍によって破壊され、ユダヤの人々は世界を流浪することとなった。ユダヤ人は何が悪かったのだろうか。
 <信仰は聞くことから始まり、聞くことは、キリストのみことばによる>。
 <はたして彼らは聞こえなかったのでしょうか>。
 <はたしてイスラエルは知らなかったのでしょうか>。
 いや、彼らがイエス・キリストを知らなかったはずはない。<キリスト>は、ガリラヤとユダヤで直接、<みことば>をユダヤ人に語ったのである。
 人となった神=イエス・キリストの存在そのものが、見えざる神を明瞭に啓示する究極の<ことば>(ロゴス)であった(ヨハネ1:14,18)。
 <その声は全地に響き渡り、
 そのことば(レーマ)は地の果てまで届いた>。
 <ロゴス>は論理的な思想の言葉であり、<レーマ>は人が語る生きた言葉である。イエス時代には、ユダヤとガリラヤに住むユダヤ人よりも、異邦の地に住むユダヤ人の方が多かった。その世界各地にいるディアスポラ(離散民)に、パウロをはじめとする伝道者たちが、聖書の<ことば>によってイエス・キリストの福音を語ったのである。
 書き記された聖書の<ことば>を説き明かす説教において、イエス・キリストは静かな細き<声>をもって、私たちの心に語っておられる。私たちは何よりも、主の<ことば>を「聴く」ことを、大切にしたい。

  5.イスラエルのリバイバル

 <わたしは、民でない者のことで、
 あなたがたのねたみを起こさせ、
 無知な国民のことで、あなたがたを怒らせる
 <わたしは、わたしを求めない者に見いだされ、
 わたしをたずねない者に自分を現した
 <不従順で反抗する民に対して、
 わたしは一日中、手を差し伸べた
 ユダヤ人の<不従順>、<反抗>ゆえに、福音の恵みは、<民でない者>、<無知な国民>、<わたしを求めない者>、<わたしをたずねない者>であった異邦人のものとなった。私たち異邦人のキリスト者=教会は、新約時代の<イスラエル>とされたのである(ガラテヤ6:16)。
 しかし、主はイスラエル民族・ユダヤ人を捨てたのではない。神は今も彼らに手を差し伸べておられる。
 国土・国家を持たなかったにもかかわらず、1800年以上にわたってユダヤ人は、神の選民=聖書の民としてアイデンティティーを保ち続けた。そして、1948年にイスラエル国を約束の地に再建したのである。
 <その奥義とは、イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであり、こうして、イスラエルはみな救われる、ということです>(11:25-26)。
 やがてキリストは再臨して、イスラエル民族・ユダヤ人を再び神の民として回復させる。旧約の民=イスラエルと新約の民=キリスト教会が<一つ>になって、神の国は完成される(エペソ2:14-18, 3:6)。グローバリゼーションが進行する今日、その<時>はもう間近となっている。


 主イエスはこう仰せになった。

 <人の子が来たとき、はたして地上に信仰が見られるでしょうか>(ルカ18:8)

 私たちもパウロのごとく、愛する同胞の救いと信仰のリバイバルを求めて祈り、宣教のわざに努めていこう。