KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

聖書のメッセージやキリスト教の論説、社会評論などを書いています。

パウロ

ルターの十字架の神学/隠された神

マルティン・ルター 筆者はこの小論で、ハイデルベルク討論において明らかにされたマルティン・ルターの啓示論について考察したく思う。このテーマにおいてキーワードとなるのは、「隠された神」と「十字架の神学」である。Ⅰ.隠された神と啓示された神 1.…

復活の福音(第一コリント15:1-22)

日本バプテスト同盟 西岡本キリスト教会 2020年4月26日 復活節第3主日礼拝 説教「復活の福音」 金井 望

苦しみを共に担う教会(フィリピ4:10-20)

2019年6月30日「苦しみを共に担う教会」フィリピ4:10-20 日本バプテスト同盟 西岡本キリスト教会 主日礼拝 ◼聖書朗読 フィリピの信徒への手紙4:10-20 (10) さて、あなたがたがわたしへの心遣いを、ついにまた表してくれたことを、わたしは主において非常に喜…

ガラテヤの人たちは私の子ども(ガラテヤ4:8-20)

2019年5月19日「ガラテヤの人たちは、わたしの子ども」ガラテヤ4:8-20 <説教要旨> 「ガラテヤの人たちは私の子ども」 金井 望 2019年5月19日 西岡本キリスト教会 (8) ところで、あなたがたはかつて、神を知らずに、もともと神でない神々に奴隷とし…

現代において使徒を称することが、なぜ問題なのか

1.新しい使徒的宗教改革? 近年、「使徒」を称するリーダーと教会の運動が世界的に広がり、日本にもその波が押し寄せています。フラー神学校の教授、教会成長運動の研究者、聖霊の第三の波(力の伝道)の指導者として著名なピーター・ワグナー氏は1994年に…

同性愛行為は罪か?(2)

「同性愛行為は罪か?」という問題について、ここでは新約聖書の「コリント人への第一の手紙」6章 9-10節 のテクストから考察してみようと思います。 ■新改訳2017 あなたがたは知らないのですか。正しくない者は神の国を相続できません。思い違いをしてはい…

同性愛行為は罪か?(1)

「同性愛行為は罪か?」という問題について、新約聖書の「ローマ人への手紙」1章26-27節のテクストから考察してみようと思います。ここでいう「罪」とは「神の律法に違反すること」であり、宗教的な意味です(ローマ5:13、第一ヨハネ3:4)。 ローマ人への手…

女性牧師の是非について

José Loncke 作 Priscille et Aquila藤原導夫師(お茶の水聖書学院 学院長)が1992年にお書きになった「教会における女性教職者論をめぐって」という論文が、先日ブログで公開されていましたので、読ませていただきました。現代日本の教会というコンテクスト…

ナムアミダブツとキリスト教(1)

鎌倉の大仏(阿弥陀仏) 『仏説無量寿経』一切の衆生救済のために王位を捨てて、世自在王仏のもとで法蔵菩薩と名乗り修行し、衆生救済のための五劫思惟し、浄土への往生の手立てを見出し、衆生救済のための「四十八願」を発願したのち、改めて誓いを立て修行…

新約聖書緒論 講義 シラバス

カナイノゾム神学塾は、福音主義の信仰に立って、牧師、信徒説教者、教会学校教師をめざす方々に必要な神学教育を行っています(超教派)。教師検定試験を受験する方々には最適な個別指導を行っています。 新約聖書緒論 講義 ■日時 10月6日から2月16日…

金井塾 ご案内

金井塾は、福音主義の信仰に立って、 牧師・信徒説教者・教会学校教師をめざす方々に必要な聖書教育と神学教育を行っています(超教派)。 日本基督教団のCコースなど教師検定試験を受験する方々に、最適な個別指導を行っています。 礼拝や集会に出張して、…

律法と福音 ー ルター神学の根本原理 ー

序論 二つの原理=律法と福音 和協信条・根本宣言・第5条 このように二つの教えが並んでいるのであって、両者はまた並行して、しかも一定の秩序のうちに、正しい区別をもって、与えられなければならない。 すべての人が経験する人生の根本問題は罪と死であ…

女性のリーダーシップとネットワーク

日本イエス・キリスト教団 兵庫教区婦人部総会 第一部 礼拝説教 2017年4月18日 「女性のリーダーシップとネットワーク」金井 望(婦人部長、神戸大石教会牧師) ■聖書朗読 ローマ人への手紙16章1-4節(口語訳) 1 ケンクレヤにある教会の執事、わたしたちの…

御言葉は地の果てまで(ローマ10:16-21)

【聖書朗読】ローマ人への手紙10章16~21節 【説 教】「御言葉は地の果てまで」金井望牧師【今週の聖句】 その声は全地に響き渡り、 そのことばは地の果てまで届いた。 わたしは、わたしを求めない者に見いだされ、 わたしをたずねない者に自分を現した。 (…

一粒の麦が地に落ちて

2016年4月3日 復活後第1主日 聖書朗読 使徒の働き7章54節〜8章3節 説 教「一粒の麦が地に落ちて」 金井望牧師 今年度は主日礼拝で「ローマ人への手紙」を連続して学ぶ予定である。今回と次回はその導入として、著者パウロ(サウロ)の回心について学び…

牧師とは何か

序 牧師職の諸問題プロテスタントでは教会の指導者を「牧師」と呼ぶのが一般的です(他に司祭、監督、長老、その他諸々の呼称があります)。しかし、同じく牧師と呼んでいても、そのあり方は、それぞれの教派、教団、グループ、教会によってずいぶん多様です…

N.T.ライト著『新約聖書と神の民』の邦訳が出た!

現代の代表的な聖書学者のひとりであるN.T.ライトの主著『新約聖書と神の民』(The New Testament and The People of God)の邦訳(上巻)が、この12月に出版されました。新約聖書と神の民 上巻: キリスト教の起源と神の問題 1作者: N.T.ライト,Nicholas Tho…

パウロと第二神殿期ユダヤ教

最近、New Perspective(s) on Paul(NPP)について日本福音主義神学会やクリスチャン新聞などで解説や批評が為され、N.T.ライトの著書が和訳されて発行されたこともあって、関心を持たれる方々が広がっているようです。kanai.hatenablog.jphttp://kanai.hate…

ファリサイ派とキリスト教

1 ファリサイ派とは キリスト教の源流には、古代ユダヤ教の三つあるいは四つの流れがある、と筆者は考えています。その第一はファリサイ派です。 ファリサイ派の源流は、セレウコス朝シリアの悪名高き王、アンティオコス4世エピファネスのヘレニズ厶政策に…

「復活の希望」テサロニケ第一 4:13~18

【金言】それからキリストにある死者が、まず初めによみがえり、次に、生き残っている私たちが、たちまち彼らといっしょに雲の中に一挙に引き上げられ、空中で主と会うのです。このようにして、私たちは、いつまでも主とともにいることになります。(テサロ…

「聖霊のバプテスマ」について

1.キリスト教用語としての「聖霊のバプテスマ」19世紀から20世紀にかけて、欧米のリバイバル運動やホーリネス運動、ペンテコステ運動で「聖霊のバプテスマ」という表現がよく用いられ、その体験が重視されました。日本のきよめ派(ホーリネス派)や聖霊派…

初期キリスト教は、なぜローマ帝国に広まったのか

1.ディアスポラ・ユダヤ人の拡散 紀元30年の春に、エルサレムで「イエス」というひとりの男が、ローマの総督ピラトのもとで、十字架刑に処された。しかし、イエスは三日目に復活して、彼の信奉者たちにその姿を現した。彼を「キリスト」と信じる者たちは…

預言・聖書・教会・神学

1.どうしたら、神のみ心を知ることができるか私たちキリスト者は、神のみ心にかなった、正しい選択をしたい、あるいは、しなければならない、と思っています。では、何によって、どのようにしたら、神のみ心=ご意志を知ることができるのでしょうか。これ…

「キリストの律法」ガラテヤ人への手紙6章1~18節

【金言】互いの重荷を負い合い、そのようにしてキリストの律法を全うしなさい。(ガラテヤ6:2) ガラテヤ書の講解説教を続けてきたが、今回が最終回である。まず、これまでの話を簡単に振り返ってから、今日のテキスト、第6章を見たい。 1.律法への隷属…

「現代のパウロ解釈を考える」(福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議 の感想)

先日、2012年11月19日(月)に、日本福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議が、神戸神学館で行われました。 今回のメインテーマは「現代のパウロ解釈を考える」というもので、New Perspective on Paul (以下、NPPと略す)を積極的に評価する見地から鎌野直…

「御霊による歩み」ガラテヤ人への手紙5章16~26節

【金言】御霊によって 歩みなさい。 そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。(ガラテヤ5:16) 1.肉と御霊 ユダヤから来た<割礼派>の律法主義が、ガラテヤの教会の信仰を蝕んでいた。そこでパウロは、この手紙によって「信仰…

「律法から自由な愛へ」ガラテヤ人への手紙5章1~15節

【金言】兄弟たち。あなたがたは、自由を与えられるために召されたのです。ただ、その自由を肉の働く機会としないで、愛をもって互いに仕えなさい。(ガラテヤ5:13) 1.割礼は要らない キリストの贖いによって、異邦人も罪が赦され、神に義と認められ、神…

「キリスト者の自由」ガラテヤ人への手紙4:21~5:1

【金言】キリストは、自由を得させるために、私たちを解放してくださいました。ですから、あなたがたは、しっかり立って、またと奴隷のくびきを負わせられないようにしなさい。(ガラテヤ5:1) パウロはガラテヤの信徒たちに、神の子とされている恵みを自…

「神の子とされたから」ガラテヤ人への手紙4章1~20節

【金言】あなたがたは子であるゆえに、神は「アバ、父」と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました。(ガラテヤ4:6) 1.神の子とされたから ユダヤから来た律法主義者たちに惑わされて、ガラテヤの信徒たちは律法の奴隷に逆行しつつあっ…

「約束による相続人」ガラテヤ人への手紙3章15~29節

【金言】もしあなたがたがキリストのものであれば、それによって アブラハムの子孫であり、約束による相続人なのです。(ガラテヤ3:29) 1.約束の有効性 パウロはこれまで、律法の行いではなく、キリストに対する信仰によって人は義と認められる、と説い…