カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

律法

ローマ人への手紙の主題・主張・結論

http://bibleatlas.org/isv/paul.jpg 筆者は昨年4月から主日礼拝で「ローマ人への手紙」の講解説教を続けてきましたが、すでに70回目に至り、残るところわずかとなりました。さすがに、これだけ付き合ってみると、使徒パウロがどのような状況で、何を伝え…

日本伝道のブレイクスルー戦略(3)

kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp [注]この論説は、日本イエス・キリスト教団 信徒局 教会教育室 が発行している『聖書教育教案誌 牧羊者』の「教師養成講座」に、筆者が連載している記事を転載したものです。 日本イエス・キリスト教団 信徒局 教…

古代ユダヤ教の成立事情

www.sankokan.jp 敬愛するミーちゃんはーちゃん先輩が、12月17日に天理大学で開催された、ガリラヤ地方の遺跡の発掘報告会「イエス時代のガリラヤ地方と一神教の系譜を探る -イスラエル、テル・レヘシュ遺跡における最初期シナゴーグの発見 」のリポートを…

心の貧しい人は幸いか

マタイの福音書5章3節の和訳について 【比較研究】 <金井試訳> 恵まれている、霊において貧しい人たちは。天の王国は彼らのものだから。 <Greek>Μακάριοι οἱ πτωχοὶ τῷ πνεύματι, ὅτι αὐτῶν ἐστιν ἡ βασιλεία τῶν οὐρανῶν. <KJV, RSV, ASV, NIV, ESV…

帝国主義=グローバリズムと一体化したキリスト教の超克

kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp この30年ほど、長い長い旅をしてきた。自分なりにいろいろなことを考えて、いろいろなことに挑戦してきた。それらはバラバラだと思っていたけれど、最近ようやく、すべてが一つにつながって見えてきた。「帝国主義…

ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】(1)

V.ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】 Vilmos Vajta 博士はハンガリーに生まれ、スウェーデンで学び、ドイツ・ストラスブールにあるルーテル世界連盟のエキュメニカル・インスティテュートの主事として活躍した人物である。彼が“Die Theologie des G…

天国は一つしかない!

1.天国は一つ天国は一つしかありません。カトリック専用天国とか、プロテスタント専用天国とか、日本イエス・キリスト教団専用天国とか、そんなものはありません。アメリカ人専用天国とか、韓国人専用天国とか、日本人専用天国とか…ありません。お金持ち用…

実在論と唯名論がキリスト教に与えた影響について

序 西洋中世のスコラ学において、普遍的なものと個々の事物の関係について論争があった。いわゆる「普遍論争」である。 一方において、「普遍的なものが個物に先だって存在する」という主張が為された。これが「実在論」(Realismus)である。これに反対して…

「滅びをもたらす異端」ペテロ第二 2:1~14

【金言】彼らは、滅びをもたらす異端をひそかに持ち込み、自分たちを買い取ってくださった主を否定するようなことさえして、自分たちの身にすみやかな滅びを招いています。(第二ペテロ2:1) 1.偽教師の出現 この手紙が書かれた頃に教会をかき乱してい…

自分らしく神に従う(ルター「聖ヨハネ祭の福音書」説教・要約)

ペトロは彼を見て、「主よ、この人はどうなるのでしょうか」と言った。イエスは言われた。「わたしの来るときまで彼が生きていることを、わたしが望んだとしても、あなたに何の関係があるか。あなたは、わたしに従いなさい」(ヨハネ21:21-22) キリストがす…

「聖なるもの」ペテロ第一1:13~25

【金言】あなたがたを召してくださった聖なる方にならって、あなたがた自身も、あらゆる行いにおいて聖なるものとされなさい。(Ⅰペテロ1:15) 私たちがキリストによる救いにあずかったのは、私たちの思いを遙かに超えた、神の計画によることである。それ…

裁きの目的

人間社会の営みには、不義・不正・悪事が絶えません。それは宗教社会、キリスト教社会においても例外ではありません、残念ながら。 不義、不正、悪事を放っておくと、それは当人たちだけでなくキリスト教共同体全体から祝福を奪います。主は正義を愛するお方…

宣教の戦略(マタイ4:12-17)

ヨルダン川で洗礼を受けた後、荒野で悪魔に勝たれた主イエスは、いよいよ宣教の働きを開始された。教会の主目的である「宣教」の戦略について、要点を整理して学びたい。 ①情報力=情勢の把握・分析 [ヨハネが捕えられたと聞いて] ②フレキシビリティー(柔…

【聖書日課】モルデカイ不敬事件(エステル記3章)

【聖書】 エステル記 第3章 これらの事の後、アハシュエロス王はアガグびとハンメダタの子ハマンを重んじ、これを昇進させて、自分と共にいるすべての大臣たちの上にその席を定めさせた。王の門の内にいる王の侍臣たちは皆ひざまずいてハマンに敬礼した。こ…

最初期キリスト教は、なぜローマ帝国に広まったのか

1.ディアスポラ・ユダヤ人の拡散 紀元30年の春に、エルサレムで「イエス」というひとりの男が、ローマの総督ピラトのもとで、十字架刑に処された。しかし、イエスは三日目に復活して、彼の信奉者たちにその姿を現した。彼を「キリスト」と信じる者たちは、…

「神の国に入るのは誰か」ルカの福音書14章7~24節

【金言】急いで町の大通りや路地に出て行って、貧しい者や、からだの不自由な者や、盲人や、足のなえた者たちをここに連れて来なさい。(ルカ14:21) 天国の門は狭いものである(13:24)。どのような人が御国に入ることができるのか、神の御心を知りたい。 1…

「キリストの律法」ガラテヤ人への手紙6章1~18節

【金言】互いの重荷を負い合い、そのようにしてキリストの律法を全うしなさい。(ガラテヤ6:2) ガラテヤ書の講解説教を続けてきたが、今回が最終回である。まず、これまでの話を簡単に振り返ってから、今日のテキスト、第6章を見たい。 1.律法への隷属…

「現代のパウロ解釈を考える」(福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議 の感想)

先日、2012年11月19日(月)に、日本福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議が、神戸神学館で行われました。 今回のメインテーマは「現代のパウロ解釈を考える」というもので、New Perspective on Paul (以下、NPPと略す)を積極的に評価する見地から鎌野直…

「御霊による歩み」ガラテヤ人への手紙5章16~26節

【金言】御霊によって 歩みなさい。 そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。(ガラテヤ5:16) 1.肉と御霊 ユダヤから来た<割礼派>の律法主義が、ガラテヤの教会の信仰を蝕んでいた。そこでパウロは、この手紙によって「信仰…

「律法から自由な愛へ」ガラテヤ人への手紙5章1~15節

【金言】兄弟たち。あなたがたは、自由を与えられるために召されたのです。ただ、その自由を肉の働く機会としないで、愛をもって互いに仕えなさい。(ガラテヤ5:13) 1.割礼は要らない キリストの贖いによって、異邦人も罪が赦され、神に義と認められ、神…

「キリスト者の自由」ガラテヤ人への手紙4:21~5:1

【金言】キリストは、自由を得させるために、私たちを解放してくださいました。ですから、あなたがたは、しっかり立って、またと奴隷のくびきを負わせられないようにしなさい。(ガラテヤ5:1) パウロはガラテヤの信徒たちに、神の子とされている恵みを自…

「神の子とされたから」ガラテヤ人への手紙4章1~20節

【金言】あなたがたは子であるゆえに、神は「アバ、父」と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました。(ガラテヤ4:6) 1.神の子とされたから ユダヤから来た律法主義者たちに惑わされて、ガラテヤの信徒たちは律法の奴隷に逆行しつつあっ…

「約束による相続人」ガラテヤ人への手紙3章15~29節

【金言】もしあなたがたがキリストのものであれば、それによって アブラハムの子孫であり、約束による相続人なのです。(ガラテヤ3:29) 1.約束の有効性 パウロはこれまで、律法の行いではなく、キリストに対する信仰によって人は義と認められる、と説い…

「信仰による祝福」ガラテヤ人への手紙3章1~14節

【金言】このことは、アブラハムへの祝福が、キリスト・イエスによって 異邦人に及ぶためであり、その結果、私たちが信仰によって約束の御霊を受けるためなのです。(ガラテヤ3:14) 1.律法か信仰か、肉か御霊か 3章からいよいよ本論に入る。 パウロはま…

キリスト者の聖潔について(マルティン・ルターの著作より)

わたしたちの主であり師であるイエス・キリストが、「悔い改めよ……」[マタイ4・17]と言われたとき、彼は信ずる者の全生涯が悔い改めであることを欲したもうたのである。(ルター『贖宥の効力を明らかにするための討論』提題一、) この悔い改めは、キリ…