カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

聖書解釈学

律法と福音 ー ルター神学の根本原理 ー

序論 二つの原理=律法と福音 和協信条・根本宣言・第5条 このように二つの教えが並んでいるのであって、両者はまた並行して、しかも一定の秩序のうちに、正しい区別をもって、与えられなければならない。 すべての人が経験する人生の根本問題は「罪」と「…

ローマ人への手紙の主題・主張・結論

http://bibleatlas.org/isv/paul.jpg 筆者は昨年4月から主日礼拝で「ローマ人への手紙」の講解説教を続けてきましたが、すでに70回目に至り、残るところわずかとなりました。さすがに、これだけ付き合ってみると、使徒パウロがどのような状況で、何を伝え…

N.T.ライト著『新約聖書と神の民』の邦訳が出た!

現代の代表的な聖書学者のひとりであるN.T.ライトの主著『新約聖書と神の民』(The New Testament and The People of God)の邦訳(上巻)が、この12月に出版されました。新約聖書と神の民 上巻: キリスト教の起源と神の問題 1作者: N.T.ライト,Nicholas Tho…

心の貧しい人は幸いか

マタイの福音書5章3節の和訳について ルドルフ・イェーリン「シュヴァルツバルトの山上の説教」 【比較研究】 <金井試訳> 恵まれている、霊において貧しい人たちは。天の王国は彼らのものだから。 <Greek>Μακάριοι οἱ πτωχοὶ τῷ πνεύματι, ὅτι αὐτῶν ἐ…

聖書翻訳と信条

1.新改訳聖書の改訂現在、新日本聖書刊行会と日本聖書協会が、それぞれ聖書翻訳事業を行っています。新日本聖書刊行会は2016年度に『新改訳聖書』の改訂版を発行する予定です。 公式ウェブサイトを見ると、『新改訳聖書』の特長として次の5つが挙げられて…

ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】(1)

V.ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】 Vilmos Vajta 博士はハンガリーに生まれ、スウェーデンで学び、ドイツ・ストラスブールにあるルーテル世界連盟のエキュメニカル・インスティテュートの主事として活躍した人物である。彼が“Die Theologie des G…

今、日本の政治を考える(1)

1.政治という作業政治や行政というものは、日々緊迫した問題が次々に発生する国際社会と国内社会の現実に向き合って、様々なファクターを考慮し計算し連絡・調整・協議を重ねて決断を下し、問題を処理していく仕事です。白か黒か、賛成か反対か、正か誤か…

実在論と唯名論がキリスト教に与えた影響について

序 西洋中世のスコラ学において、普遍的なものと個々の事物の関係について論争があった。いわゆる「普遍論争」である。 一方において、「普遍的なものが個物に先だって存在する」という主張が為された。これが「実在論」(Realismus)である。これに反対して…

福音主義における聖書釈義について(JETS研究会議 感想)

日本福音主義神学会 第14回全国神学研究会議テーマ:「福音主義神学、その行くべき方向 - 聖書信仰と福音主義神学の未来 -」 Evangelical Theology, Where Should We Be Going ?日 時:2014年11月4日(火)〜11月6日(木)会 場:関西聖書学院(奈良県生駒市…

「神は生物を進化するよう造った」?

「神は生物を進化するよう造った」現ローマ法王も肯定ーーという見出しで朝日新聞が10月31日に報道した記事を以下に転記します。http://www.asahi.com/articles/ASGBY51F2GBYUHBI00W.html ローマ=石田博士 2014年10月30日12時32分 宇宙が誕生したビッグバン…

「みことばに目を留めて」 ペテロ第二 1:12~21

【金言】私たちは、さらに確かな預言のみことばを持っています。夜明けとなって、明けの明星があなたがたの心の中に上るまでは、暗い所を照らすともしびとして、それに目を留めているとよいのです。 (ペテロ第二 1:12~21) 1.偽教師の出現 この手紙が書…

聖書研究のアプリとウェブサイトについて

1.聖書研究のアプリ神学教師や牧師を対象とした、聖書研究アプリの使用に関する、かなり偏った信用度の低い私的調査によるとーー、 関東では Accordance を使う人が多い。Macで右から左へとヘブル語を入力できる、このソフトを指定する神学校が多かったか…

「聖霊のバプテスマ」について

1.キリスト教用語としての「聖霊のバプテスマ」19世紀から20世紀にかけて、欧米のリバイバル運動やホーリネス運動、ペンテコステ運動で「聖霊のバプテスマ」という表現がよく用いられ、その体験が重視されました。日本のきよめ派(ホーリネス派)や聖霊派…

聖書のみ!(聖書と信条の規範性について)

1.「規範する規範」と「規範された規範」 「聖書のみ」。これは宗教改革の基本原理の一つである。ルターやメランヒトンは神の言葉である聖書の権威によって、ローマ教皇の権威に対抗し、ローマ教会の教えと実践の誤りを批判した。人の言葉に絶対的な権威を…

臨死体験は死の体験ではない!

『天国は、ほんとうにある―天国へ旅して帰ってきた小さな男の子の驚くべき物語』著:トッド・バーポ、リン・ヴィンセント、 訳:阿蘇品友里 (2011/10/17) この本は、アメリカや日本のクリスチャンの間で、結構、話題になっているようです。しかし、「聖書」…

預言・聖書・教会・神学

1.どうしたら、神のみ心を知ることができるか私たちキリスト者は、神のみ心にかなった、正しい選択をしたい、あるいは、しなければならない、と思っています。では、何によって、どのようにしたら、神のみ心=ご意志を知ることができるのでしょうか。これ…

「主の祈り」について

(メモ程度の譜面で、すみません) 1.この曲を作った事情 私が関西聖書神学校を卒業して最初に赴任した、日本イエス・キリスト教団幌向小羊教会は、主日礼拝で『新共同訳聖書』と『讃美歌21』 を使用していました。 その教会の礼拝の中で「主の祈り」を口…

「現代のパウロ解釈を考える」(福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議 の感想)

先日、2012年11月19日(月)に、日本福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議が、神戸神学館で行われました。 今回のメインテーマは「現代のパウロ解釈を考える」というもので、New Perspective on Paul (以下、NPPと略す)を積極的に評価する見地から鎌野直…