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カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

今、私たちはどこにいるのか <経済>

 

   1.アベノミクスはデフレを解消できるのか?

 

 昨年12月26日に発足した第2次安倍晋三内閣は、4か月経った今も高い支持率を保っています。その人気の理由の一つは、「アベノミクス」と呼ばれる経済政策が、順調な滑り出しを見せていることにあるでしょう。

 

アベノミクスには「3本の矢」と呼ばれる3つの基本方針があります。

(1)大胆な金融政策

(2)機動的な財政政策

(3)民間投資を喚起する成長戦略

 

具体的な政策としては、「2%のインフレ目標」「円高の是正」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加」などが進められています。

 

日本銀行黒田総裁は4月4日に、「2年間で市場に供給するお金の量を2倍にする」という強力な金融緩和策を発表しました。市場に供給するお金を現在の138兆円規模から270兆円に増やして、「2%のインフレ目標」を達成するというのです。これを受けて、市場では株価が上昇し、円安が進んでいます。

 

では、これで日本経済が好転して、デフレを解消できるでしょうか? それは難しいと、私は思います。その理由について、以下、述べます。

 

  2.帝国主義の歴史とデフレの構造

 

近年のデフレは構造的な問題です。規制緩和・グローバリズムは、生産地・工場のボーダーレスな移転・拡張を可能にします。それによって供給が過剰となり、商品の価格が下落するのは当然のことです。

  

これは、500年に及ぶ欧米列強帝国主義の歴史において、繰り返されてきたことですが、とりわけ生産性が著しく向上した19世紀から20世紀にかけて、その規模・影響が巨大化しました。

 

19世紀にヨーロッパ諸国では工業化が進展し、原料と資源と市場を求める列強の植民地獲得競争が全世界で展開されました。

 

19世紀の米国は、内向きな国であり、英国の行う戦争にも非協力的でした。ところが、19世紀末に白人の開拓が西海岸に到達して、フロンティアが消滅したため、米国も、帝国主義的な海外侵略を、全世界で展開するようになりました。フォード・モーターが1908年から製造販売した『T型フォード』は大量生産のモデルとなり、米国の工業生産は著しく増大しました。

 

欧米列強の覇権争いは激化し、第一次世界大戦(1914〜1918年)、第二次世界大戦(1939年〜1945年)に至ります。

 

第二次大戦後、アジア、アフリカ、太平洋の諸国が独立し、新しい国際秩序が形成されました。そのため、欧米列強は、軍事力を背景としつつも、文化や経済のボーダーレス化、グローバル化を前面に押し出すようになりました。

 

東西冷戦の果てに社会主義諸国の総崩れとなり、1990年代から市場経済のグローバル化が進んだわけですが、そうすると、資本主義の矛盾がますます大きくなっていきます。今や「 世界の工場」となった中国の安価な製品が、日本や欧米の先進諸国に流入して、価格破壊を起こしています。その中国国内では、国民の貧富の差が恐ろしく拡大しているのです。

 

  3.これが資本主義の現実だ!

 

米国が貧困大国であることは、よく知られています。我が国でも、正規雇用が削減され、非正規雇用の割合が増加して、国民の経済格差が拡がり、「下流社会」が形成されました。そうすると、国の税収は減少し、社会保障関係の支出は増大します。

 

そのため、日本の国家財政累積赤字を膨らませて、破綻の際に立たされてしまった。窮余の策として、ハイパーインフレによって延命措置を図る。これは誰もが想定していたことです。

 

我が国は、欧州の先進諸国にならって、ワークシェアリング同一労働同一賃金、保育・教育への公的支援の拡大などによって、国民=消費者の購買力を高めて国内の需要を拡大するのが、デフレ克服の正道であるはずです。

 

ところが、政府はそれよりもTPPFTAなど貿易の自由化を優先的に推進する。なぜか? それは日本の企業や資本家にとって、高齢化して成熟した国内よりも、若年層が多くて、急成長している新興国の方が魅力的な市場であるからです。

 

グローバル化・多国籍化した企業は、もはや日本国内での生産にも販売にも、こだわる必要がありません。それよりも、企業の生き残りと成長の方が重要と考えているのです。日本のリーディング・カンパニーは、国内の雇用を守ることを忘れてはいませんが、その優先性は落ちています。

 

要するに、これが「資本主義」だということです。国民は、この現実をよく認識して、選挙などの政治行動をすることが重要です。