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カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

旧約聖書の「正典」と「外典」

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私たちキリスト教プロテスタントにとって、正統的な信仰とは、「正典的な信仰」に他なりません。旧約聖書39巻、新約聖書27巻を「正典」(カノン)=教理と実践の絶対的な基準とする、ということです。旧約聖書の正典39巻は、紀元1世紀にユダヤ教会が正典と認めたものです。これら39巻のほとんどは、ユダヤ人の言語であるへブル語で書かれました。

これに対して、東方正教会では、ギリシア語に訳された旧約聖書七十人訳聖書」(Septuaginta)を正典としています。「七十人訳聖書」には、ユダヤ教会が正典として認めなかった「アポクリファ」(外典)が含まれています。ローマ・カトリック教会はラテン語に訳した聖書を古代から使用していましたが、それも外典を含んでいます。

プロテスタント宗教改革の指導者マルティン・ルターが、聖書をドイツ語に翻訳したことは有名です。彼は旧約外典も一部訳して、旧約正典と新約聖書の間に挟みました。外典は教理の基準としてはならないが、益となるものだ、とルターは理解していたのです。

 

七十人訳聖書と旧約外典の黙示文学は、初期キリスト教と新約聖書に多大な影響を及ぼしています。いわゆる旧約聖書新約聖書の「中間時代」の世界情勢と思想を理解しなければ、初期キリスト教と新約聖書を正しく理解することはできません。

 

なお、ヨセフスの著作も、その理解に大きな助けとなります。

 

旧約聖書外典の問題に関するビギナー向けの参考書を、以下、少しく紹介します。新約聖書をより深く、正確に理解するために、これらが役立つならば幸いです。

 

旧約正典成立史については、
★榊原康夫著『旧約聖書の生い立ちと成立』、『旧約聖書の写本と翻訳』(いのちのことば社)が、わかりやすくて良いでしょう。

★M.ヘンゲル著『キリスト教聖書としての七十人訳(その前史と正典としての問題)』(教文館)は、キリスト教正典成立史のややこしい部分を扱っています。

★『七十人訳聖書』は秦剛平氏が和訳を出しています(河出書房新社)。これは簡単に読めますが、へブル語聖書との違いに驚き、余計に問題がややこしくなるかもしれません (><)

 

★『旧約聖書外典』は講談社文芸文庫で出ていますので、手軽に読めます(関根正雄編)。抄訳ですが、「エノク書」など新共同訳やフランシスコ会訳に収められていない外典も収録していて、黙示文学を理解するのに役立ちます。

★榊原康夫氏は『旧約聖書続編を読む』(聖恵授産所)という、これまた親切で丁寧な参考書を出しています。

とりあえず、外典・偽典の問題の概略を知りたいという場合には、

★石黒則年著「聖書の外典と偽典」『聖書神学事典』収録(いのちのことば社)がよいでしょう。

 

★ヨセフスの『ユダヤ古代誌』と『ユダヤ戦記』は、ちくま学芸文庫から出ていますので、簡単に入手できます。

 

ルターの聖書観については、
★ウイレム・J・コーイマン著(岸千年訳)『ルターと聖書』(聖文舎)に詳しい論説があるのですが、ちょっとこれは入手が困難かもしれません。図書館にあるでしょうか。

★橋本昭夫著「ルター主義における釈義原理」『福音主義神学』第30号(日本福音主義神学会)ならば、ネットで入手できます。

http://www.evangelical-theology.jp/jets-hp/jets/paper_in_printable/030-3_in_printable.pdf