カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

【聖書日課】モルデカイ不敬事件(エステル記3章)

【聖書】 エステル記 第3章

これらの事の後、アハシュエロス王はアガグびとハンメダタの子ハマンを重んじ、これを昇進させて、自分と共にいるすべての大臣たちの上にその席を定めさせた。
王の門の内にいる王の侍臣たちは皆ひざまずいてハマンに敬礼した。これは王が彼についてこうすることを命じたからである。しかしモルデカイはひざまずかず、また敬礼しなかった。
そこで王の門にいる王の侍臣たちはモルデカイにむかって、

「あなたはどうして王の命令にそむくのか」

と言った。
彼らは毎日モルデカイにこう言うけれども聞きいれなかったので、その事がゆるされるかどうかを見ようと、これをハマンに告げた。なぜならモルデカイはすでに自分のユダヤ人であることを彼らに語ったからである。
ハマンはモルデカイのひざまずかず、また自分に敬礼しないのを見て怒りに満たされたが、ただモルデカイだけを殺すことを潔しとしなかった。彼らがモルデカイの属する民をハマンに知らせたので、ハマンはアハシュエロスの国のうちにいるすべてのユダヤ人、すなわちモルデカイの属する民をことごとく滅ぼそうと図った。

アハシュエロス王の第十二年の正月すなわちニサンの月に、ハマンの前で、十二月すなわちアダルの月まで、一日一日のため、一月一月のために、プルすなわちくじを投げさせた。
そしてハマンはアハシュエロス王に言った、

「お国の各州にいる諸民のうちに、散らされて、別れ別れになっている一つの民がいます。その法律は他のすべての民のものと異なり、また彼らは王の法律を守りません。それゆえ彼らを許しておくことは王のためになりません。もし王がよしとされるならば、彼らを滅ぼせと詔をお書きください。そうすればわたしは王の事をつかさどる者たちの手に銀一万タラントを量りわたして、王の金庫に入れさせましょう」。

そこで王は手から指輪をはずし、アガグびとハンメダタの子で、ユダヤ人の敵であるハマンにわたした。
そして王はハマンに言った、

「その銀はあなたに与える。その民もまたあなたに与えるから、よいと思うようにしなさい」。

そこで正月の十三日に王の書記官が召し集められ、王の総督、各州の知事および諸民のつかさたちにハマンが命じたことをことごとく書きしるした。すなわち各州に送るものにはその文字を用い、諸民に送るものにはその言語を用い、おのおのアハシュエロス王の名をもってそれを書き、王の指輪をもってそれに印を押した。
そして急使をもってその書を王の諸州に送り、十二月すなわちアダルの月の十三日に、一日のうちにすべてのユダヤ人を、若い者、老いた者、子供、女の別なく、ことごとく滅ぼし、殺し、絶やし、かつその貨財を奪い取れと命じた。
この文書の写しを詔として各州に伝え、すべての民に公示して、その日のために備えさせようとした。
急使は王の命令により急いで出ていった。この詔は首都スサで発布された。時に王とハマンは座して酒を飲んでいたが、スサの都はあわて惑った。
 

 

【メッセージ】

エステルが王妃となり、モルデカイが王の命を救ったことは、ユダヤ人に有利な状況をもたらすと期待されたでしょう。ところが現実は全く逆でした。

事件の発端は、モルデカイが帝国の首相ハマンに対して、土下座して平伏する礼をとらなかったことでした。その敬礼は王命によるものであり、他の官吏は皆、従いました。ペルシアでは、そのような敬礼は普通に行われていた習慣でした(ヘロドトス)。

「あなたは、なぜ王の命令に背くのか」。

同僚たちは彼に毎日、忠告しましたが、モルデカイは断固として、その敬礼をしませんでした。

「捕囚民のくせに、帝国の首相たるわしにひれ伏さぬとは!」。

ハマンは激怒して、モルデカイのみならず、ユダヤ人を殲滅しようと図りました。ハマンはイスラエルの宿敵アマレク人の子孫だという伝承もあります(ヨセフス)。この暴虐は尋常ではありません。

イスラエル民族は、アッシリアやバビロニアによって捕囚とされ、この頃にはペルシア帝国の各地に離散していました。それでも彼らが民族としてのアイデンティティーを失わないのは、彼らが主の律法を保持していたからです。

ハマンは、それを見抜き、それが帝国に不都合であると、アハシュエロス王に訴えました。王は了解し、玉璽である指輪をハマンに委ねてしまったのです。

クロス大王がエルサレムの神殿再建を支援したように、ペルシアは帝政治下の諸民族の宗教に対して、基本的に寛容でした。多元主義です。ただし、その寛容は、帝国への絶対的忠誠を条件としました。

この世界帝国の宗教政策は、後代まで規範となります。帝国の象徴である皇帝の肖像を拝みさえすれば、どの宗教でも原則的に許されることになるのです。しかし、主の民は「それにひれ伏してはならない」のです(出エジプト20・5)。

 
【祈り】

 唯一の神、主よ。

偶像に満ちたこの国をきよめてください。

新年が同胞の目覚める年となりますように。

イエスの御名によってお祈りします。アーメン