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カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

大東亜戦争のコンテクストを考える

朝日新聞は8月5日付と6日付の紙面で慰安婦問題を考える」という大特集を組みました。そして、1982年9月2日以来16回も同紙で取り上げてきた「韓国・済州島で、女性たちを慰安婦とするために強制連行した」という吉田清治の証言を、虚偽と認め、記事を取り消しました。今日、日韓関係を揺るがしている従軍慰安婦問題を引き起こした報道が大誤報であったのです。これは非常に重大な問題です。

参照:「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断:朝日新聞デジタル

これをきっかけに国内外で、大東亜戦争(アジア太平洋戦争)に関して各方面から様々な意見が噴出しています。

以下、筆者の思うところを簡単にまとめて、書いてみます。

  1.帝国主義の時代

 

まず、大東亜戦争日中戦争、アジア太平洋戦争)については、幕末の黒船来襲からひと続きの大きな流れ=帝国主義の時代という歴史的コンテクストにおいて考えるべきです。すなわち、欧米列強によって、アジアも含めて全世界が分割され、植民地化された時代であったのです。

帝国主義とは、一つの国家権力が他民族や他国の領土を侵略して、強権的な支配介入を行うことです。

幕末に日本は、米国をはじめ欧州諸国不平等な条約を結ばされました。明治維新以降、日本政府は富国強兵に全力を注ぎ、外交努力を続けて、その条約改正に尽力しました。

日清戦争日露戦争の勝利によって、ようやく日本は欧米諸国と対等に交渉することができるようになり、関税自主権など国家としての主権を確立することができたのです。

対欧米に限定して見れば、幕末以降に日本が行った諸々の戦争は、日本という民族国家が生き延びるために行った自衛の戦争と見ることもできます。

大東亜戦争」には、アジアの諸国・諸民族を欧米列強の支配から解放する、という大義名分がありました。日本政府は、アジアのリーダーとして「大東亜共栄圏」を築く、というビジョンを掲げました。

 しかし同時に日本は、「脱亜入欧」、すなわち欧米列強と同列の「帝国」を目指して、アジア・太平洋の諸地域で帝国主義な侵略と支配を行っていたのです。それが現地の人々に多くの利益を与えたという面もありますが、帝国主義という基本的な性格は否定できません。

つまり、日本にとって大東亜戦争(アジア太平洋戦争)は侵略自衛両面の意味があり、それが、あの戦争について簡単に批評することができない複雑さを生んでいるのです。

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出典

http://ryotaroneko.ti-da.net/e6498616.html


  2.米国の対日経済封鎖


戦前の米国日本国力の差は、大人と子どものようでした。石油をはじめとする鉱物資源が乏しい日本が、米国を相手に戦争を行うなど、あまりにも無謀なことでした。しかし、いかにしても逃れられない、日本を対米戦争へと追いやる大きな濁流があったのではないでしょうか。
戦前の日本の外交や軍事行動には、関東軍の暴発(1931年満州事変)や国際連盟脱退1933年)など、戦争へと突き進む大きなミスがいくつもありました。しかし、対米開戦に至った理由は、それだけではありません。
1941年8月、米国は日本に対する石油の全面禁輸を行いました。当時、日本は石油の大部分を米国からの輸入に頼っていたため、米国はこれによって日本を開戦へと追い込んだのです。

12月8日真珠湾攻撃よりも前に、日本軍のマレー半島進攻が始まっていました。インドネシア石油をはじめとする、東南アジア資源の確保が日本の死活問題でした。
なぜ米国は、「ABCD包囲網」(アメリカ・イギリス・中華民国・オランダによる経済包囲)を作り、対日資産の凍結屑鉄石油などの対日禁輸を行って、日本を開戦へと追い込んだのか。それは、東アジアで欧米の植民地支配を受けない独立国大日本帝国の存在を、欧米列強が許しておけなかったからです。

日本は連合国に敗れましたが、戦後、アジア太平洋地域の人々は、次々と独立を勝ち取ることができました。

 

  3.戦没者の死の意味


大東亜戦争(アジア太平洋戦争)で失われた日本の戦闘員及び非戦闘員(民間人)は、おびただしい数です。日本の戦没者の数は300万人を超えると言われます。
太平洋では戦線が予想しないほど伸びてしまい、補給艦が米軍によって次々と撃沈されました。そのため食料・燃料・武器弾薬・人員などの補給が甚だ不足し、戦闘もままならず餓死した兵士が何十万人もいました。
米軍は沖縄地上戦を行いました。その犠牲者は18万人以上と言われます。米軍の攻撃は日本本土では空爆原爆投下のみで、地上戦を行っていません。それは、日本人を恐れていたからです。東京大空襲では10万人以上、広島の原爆投下では9〜12万人、長崎の原爆投下では7万人以上が死にました。
非戦闘員である日本の民間人大量虐殺した米国の罪は、恐ろしく大きなものです。
大東亜戦争(アジア太平洋戦争)における日本人の戦没者においては、その一つとして無意味な死はありません。決して犬死になどではありません。
その証拠に、日本独自の民族・国家・言語・伝統・文化・国土が現在に到るまで存続しているではありませんか!
ーー自らの命を犠牲にしてでも守るべき尊厳・価値がある。それは「われわれの国体」、すなわち「日本の文化・歴史・伝統」であり、「われわれの歴史的連続性・文化的統一性・民族的同一性の、他にかけがえのない唯一の象徴」たる「天皇」であるーー。三島由紀夫は、そのような美学に生きて死んだ人の代表格でしょう(『文化防衛論』10-11頁参照)。

文化防衛論 (ちくま文庫)

文化防衛論 (ちくま文庫)

 

 筆者には理解しがたい部分もありますが、そのような信念を持って死んだ人が戦没者にはたくさんいたのです。

それなのに、米国が都合良く改竄した歴史観を無批判に受容して、殉死した先人たちの尊いを日本語でもって汚す日本人がいることは、大変残念です!

では、現代の日本人は有意義な人生を生きて、意味のある死を遂げているのでしょうか。もし、それができていないとしたら、それこそ先人たちの努力と苦難と死が無駄になってしまうでしょう。