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カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

都心回帰時代の宣教と牧会

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  1.丘陵地・山地の住宅地における高齢化の問題

私が住んでいる神戸市は、六甲山地が市域の大きな部分を占めています。
神戸市と建設・不動産の企業が、近郊の丘陵地や山地を造成して広大な住宅地を開発したことは、神戸市を大きく発展させた快挙でした。

しかし、坂が多いそれらの地域は、今では高齢者に住みづらい街となっている場合が多いようです。
また、昭和の高度成長期に建てられた家宅や集合住宅は、階段や敷居が多くて、バリアフリーの配慮がありません。
足腰の弱った高齢者が独力で暮らすには、困難な場合が多いのが実情です。

  2.海岸平野に林立する高層マンション

近年は、海岸に近い平野部の地価が下がり、比較的安価な高層マンションやタワーマンションが次々と建築されています。

土地が平らで歩きやすく、住居もバリアフリーのフラットな造りになっていて、エレベーターもありますから、高齢者も暮らしやすいのが人気の理由の一つでしょう。

都市部は病院や福祉施設が多いので通院・通所がしやすく、買い物も便利なので安心できるというのも、高齢者には大きなメリットでしょう。

「高層マンションや超高層のタワーマンションは、地震が心配だ」という声もあります。しかし、最近の耐震技術が導入されているマンションならば、安心できるようです。

  3.都心回帰の大きな流れ

かつて海岸部は工業地帯であり、平野部は環境面で悪条件がありました。
しかし、環境規制が厳しくなり、環境技術が著しく発達したため、公害の問題はかなり解決されました。
グローバルな産業構造の変化によって、海岸部に集中していた工場は移転したり縮小したりするところが多く、その跡地に新しい快適な住空間と都市空間が生み出されています。

鉄道やバスなどの公共交通網が張り巡らされ、新幹線の駅や空港へのアクセスが便利な都市部は、ビジネス世代にも人気があります。
最新のファッションやグルメ、アミューズメント、アートなどを楽しめる都市部は若年層にも人気があります。

昭和の高度成長期には都心部の人口が減少して郊外へ移るドーナツ化現象が進行しましたが、近年は逆に都心回帰が大きな流れとなっており、これは今後も続くでしょう。

  4.地域住民の変化と宣教・牧会の課題

私が牧会している神戸市灘区の教会は、まさにこのような海岸部・都市部にあります。
近年、教会堂の周りに5つの高層マンションが次々と立って、圧倒される感じがあります。

この教会は宣教開始から84年の歴史を経ています。
宣教・教会形成の初期には、教会堂まで30分以内で行ける地域に住んでいる信徒が大半でした。
しかし、今は教会堂まで30分以上かかる地域に住んでいる信徒が大半です。

古い住宅地に住んでいた旧住民が郊外へ移住した。
新しいマンション群に新住民が流入している。
この地域の状況に対応した宣教と教会形成が必要となっていることを痛感します。

  5.古い皮袋と新しい皮袋

郊外から遠距離を教会まで通ってこられる高齢の信徒の方々を、フォローアップし、ケアすることが、牧師と信徒リーダーの重要な役割です。
教会堂まで通うことが困難になる高齢の信徒が、少しずつ増えています。
車による送迎や家庭訪問を行うと共に、インターネットによる主日礼拝の同時中継にも取り組んでいます。

それと同時に、新しい若い住民に伝道していくことと、他の地方や海外から移住してくる異文化のクリスチャンを受け入れることも、重要な課題となっています。
古い皮袋を守りつつ、新しい皮袋でそれを包む作業。
これを成し遂げなければ、教会の将来が危ういとさえ感じます。

  6.地域社会における宣教協力のポテンシャル

都市郊外や過疎地にある教会にはまた、それぞれの深刻な人口問題が起こっているでしょう。
このような時代と環境の変化に、一つの地域教会の努力だけで対応できるでしょうか? それは賢明な対応でしょうか?
教団・教区や、あるいは教団を超えた宣教協力に有効な活路があるかもしれません。
これは重要で緊急に検討・対策が必要な課題だと思いませんか?

<参考>

団塊 駅近タワマン族」 週刊朝日 2015年2月13日号

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16692