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カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

天皇とは何か(1)

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 「天皇キリスト教的神である」。小室直樹はこの本で、実にヤバイところを突いています!

 

小室直樹著『天皇恐るべし―誰も考えなかった日本の不思議』<NESCO BOOKS>文藝春秋, 1986年

天皇恐るべし―誰も考えなかった日本の不思議 (NESCO BOOKS)

天皇恐るべし―誰も考えなかった日本の不思議 (NESCO BOOKS)

 

以下は、金井が立てた仮説と持論です。

 

八百万(やおよろず)の神といいますが、アニミズム的な多神教は、日本人の原風景と言っていいくらい本質的な問題です。なぜ日本人は、何でもアリの多神教文化を持っているのか。それは実は、古代日本が多民族共生社会であったからです。古代において、アジア大陸の東の果てにある日本列島が人種のるつぼとなっていたことは、日本人のDNAを研究した学者たちによって、すでに証明されているようです。

 

だからこそ、多様性を持つ雑多な人々を一つにまとめる強力な統合原理が、必要となったのでしょう。その日本人を統合する原理=象徴(シンボル)が「天皇(ミカド)」であり、その統合の正統性とプロセスを説いたのが、古事記(712年に撰進)や日本書記(720年に撰進)などの記紀です。

 

3世紀の前半、邪馬台国=ヤマトでは、太陽神に仕える卑弥呼(日巫女)が女王として君臨していました。この一神教祭政一致のクニが、軍事的・政治的・宗教的な征服によって、この島々に統一王朝を築きました。その太陽神=天照大御神と一体化した女王の子孫が大王(オオキミ)であり、「天皇」です。最初に天皇号を用いたのは天武天皇(在位673年〜686年)のようです。

 

天皇」の語源については諸説あるようです。中国が起源と思われますが、古代中国では「天子」とも言われました。日本神話に記述されているように、大王(おおきみ)を天の神々の子孫とすることによって、支配者としての正統性を民に認めさせようとしたのでしょう。

 

明治時代に創られた国家神道のルーツは、江戸時代後期の国学者平田篤胤キリスト教を取り込んで作った復古神道だと言われます。しかし、ヤマト王権がこのような神話を国家の基礎に据えたのは、それよりもはるかに古い時代です。

 

大嘗祭において皇祖神が降臨する。それによって、人間=皇太子が現人神=天皇になる。これは日本教天皇教の最大の神秘です。天皇の最重要任務は祭儀であり、天皇は大祭司です。「天皇」という存在の本質は、その宗教性にあります。

 

それゆえ、鎌倉幕府の成立以降、政治的実権は武士の手に渡ったものの、日本を統合する原理=象徴としての天皇の尊厳・権威は保たれ、継承されていきました。そして、尊皇倒幕、明治維新帝国主義の運動において、天皇教の一神教的性格が極めて有効に機能したのです。天皇制は、伊藤博文明治憲法制定時に述べたとおり、キリスト教の代替として日本の独立を守り支えたのです。

 

何しろ江戸時代までの日本は、政治的には諸国・諸藩による連邦国家でした。錦の御旗が無ければ、バラバラになって、欧米帝国主義の餌食にされたでしょう。英米仏の商人たちが幕府側と倒幕派の両方に武器弾薬を流し込んでいましたから。反間の計、漁夫の利、これは帝国主義的侵略の常套手段です。

 

この日本の歴史とアイデンティティーを我々日本のキリスト者=教会はどのように理解すべきでしょうか? これを全面否定するようなキリスト教は、日本人には受け入れがたいでしょう。しかし、偶像崇拝を取り除かなければ、真のキリスト教とは言えません。この相反するように思えるベクトルを統合する「日本のキリスト教」とはいかなるものか。これが我々に課された大問題であると思います。

 

2000年の歴史において、キリスト教は世界の各地で同様の問題にぶつかり、まがいなりにもそれらを解決してきました。クリスマスやイースターなどに、その苦闘の痕跡が残っています。このような宗教的な問題の解明と解決に取り組むこと無しには、日本の福音化は実現しないでしょう。

 

皇室を始め日本が丸ごとキリスト教国に変わること、これは夢想ではないかもしれません。日本の宗教改革、これこそ、キリスト教会が果たすべきミッションでしょう! 

 

昭和天皇キリスト教に関心の理由」

週刊朝日  2014年10月3日号)

http://dot.asahi.com/wa/2014092500074.html?page=2