KANAISM ーカナイズムー

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

教会を建て上げる幸い(マタイ16:13-20)

 

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日本バプテスト同盟 西岡本キリスト教

■聖書朗読 <マタイによる福音書16:13~20>

(13) イエスは、フィリポ・カイサリア地方に行ったとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。(14) 弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」(15) イエスが言われた。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」(16) シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。(17) すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。(18) わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。(19) わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」(20) それから、イエスは、御自分がメシアであることをだれにも話さないように、と弟子たちに命じられた。

 

■説教要旨 「教会を建て上げる幸い」

 

 先日、私は同盟総会に出席させていただき、全国から集まってこられた牧師・信徒の兄弟姉妹と良き交わりを持たせていただきました。今年のテーマは「小さな群れよ、恐れるな」(ルカ12:32)でした。少子高齢化によって人口が減少し、「地方消滅」と言われる時代にあって、我々の同盟もまた厳しい状況にあることは否めません。けれども、人口の少ない地方圏でたくさんの教会を生み出して、存続してきたこの群れは、今も素晴らしい可能性を持っています。「教会」とは何でしょうか。その存在意義や目標は何でしょうか。主の教えに耳を傾けたく思います。

 

  1.主は弟子たちに正しい信仰の告白を求めている

 

フィリポ・カイサリア地方>はヘルモン山南麗にある岩の多い台地です。ガリラヤ湖北岸から40キロメートルほど北にあり、ヨルダン川の水源地の一つとなっています。ヘロデ大王の息子である領主フィリポが、ここにある町を拡張して、フィリポ・カイサリアと改称しました。この町には、ギリシア神話のパーン神を礼拝する聖所や、ローマ皇帝を崇拝する神殿がありました。

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  パーン:下半身は山羊で、頭に2本の角がある

 

この偶像崇拝の盛んな地で、イエスは弟子たちに<人々は、人の子のことを何者だと言っているか>と尋ねました。<人の子>はメシアの称号です(ダニエル7:13)。


弟子たちは答えました、<「洗礼者ヨハネだ」と言う人も、「エリヤだ」と言う人もいます。ほかに、「エレミヤだ」とか、「預言者の一人だ」と言う人もいます>。ガリラヤの領主ヘロデ・アンティパスは、殺害したバプテスマのヨハネのよみがえりではないか、と恐れていました(14:1-2)。<エリヤ>は紀元前9世紀後半に北王国イスラエルで活動した預言者であり、<エレミヤ>は南王国ユダの末期からバビロン捕囚時代にかけて活動した預言者です。両者とも、メシアの先駆けとして再来する、と人々は信じていました(マラキ4:5、Ⅱマカベア2:1-12、ラテン語エズラ記2:18)。


エスは彼らに尋ねました、<それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか>。これにペトロが答えました、<あなたはメシア、生ける神の子です>。正解です。命無き偶像とは違い、イエスは生きている救い主です。ローマ皇帝は人間に過ぎませんが、イエスは天から降って来た<神の子>です。

 

  2.教会の土台は正統的な信仰告白である

 

ペトロの信仰告白を聞いて、イエスは彼に言いました、<ヨハネの子シモン、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは人間ではなく、わたしの天の父である>。漁師であるシモンは「無学な普通の人」(使徒4:13)です。使徒パウロのように律法の専門教育を受けた学者ではありません。けれども、神が啓示によって彼にこの真理を悟らせたのです(Ⅰコリント12:3)。


続いてイエスは彼にこう言いました、<わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府(よみ)の力もこれに対抗できない>。<ペトロ>と<>(ペトラ)は掛け言葉です。ペトロは12使徒の代表として信仰を告白しました。教会は、使徒直伝の信仰告白を基礎として、その上に建て上げられる霊的な神の家です(エフェソ2:19-22)。

 

  3.主イエス・キリストが教会を建て上げている

 

主イエスは、明確な目標をもって宣教を進め、弟子を訓練しました。<わたしは……わたしの教会を建てる>。これがその目標です。<教会>の原語「エクレーシア」は、70人訳ギリシア語聖書でヘブライ語聖書の「カーハール」(神の選民イスラエルの集会)の訳語として使用された語です。すなわちイエスは、イスラエルに代わる新しい神の民を形成しているのです(ガラテヤ6:16)。イエスは自身の命を犠牲として教会を贖いました(エフェソ5:25)。今も、教会の主であるイエスの熱心が、教会を建て上げているのです。

 

  4.教会を建て上げる幸い 

 

エスはペトロに<天国の鍵>を授けました。ペトロはその鍵を用いて宣教の扉を開きました(使徒2:41、10:48)。この鍵は<教会>に授けられたものであり、「ペトロの後継者」だけが所有するものではありません(マタイ18:18)。

 

エスはペトロに<あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる>と言いました。教会は地上において天国を代表する公的機関です。「聖なる公同の教会」が持つ霊的な権能は、絶大です。

 

エスは<陰府>(よみ。ハデス)を征服して復活しました(Ⅰペトロ3:19-22、コロサイ2:10-15、黙示録1:17-18)。<陰府>は悪魔悪霊の牙城であり、死者の霊魂が囚われている牢獄です。

 

我々教会は<天国の鍵>を用いて、陰府の<>(直訳。複数形)に囚われていく人々を解放し、天国に移し入れなければなりません。宣教とは霊的な救出戦に他ならないのです(使徒26:18)。

 

この霊的な奥義を悟って、実行する教会は幸いです。