KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

聖書のメッセージやキリスト教の論説、社会評論などを書いています。

キリスト教史

正統と異端

「異端」や「カルト」という言葉は、一般の新聞やテレビのニュース、インターネットなどでも、しばしば見聞きします。クリスチャンなら、教会を探す時に、「異端」とか「カルト」とか言われるところは避けようとするでしょう。しかし、「異端」「カルト」と…

カトリックとプロテスタント

いきなりですが、質問させていただきます。(1) カトリック教会とプロテスタント教会の違いを、ご存知でしょうか?(2) なぜプロテスタントは、カトリック教会から分離独立したのでしょうか?(3)プロテスタントで洗礼を受けていても、カトリック教会では聖餐(…

戦争と平和をめぐる諸問題について

第6回日本伝道会議 神戸アナロギア社会委員会 研究発表「戦争と平和をめぐる諸問題について」レジュメ 金井 望(日本イエス・キリスト教団神戸大石教会 牧師) 日時 2015年7月21日(火)午後4時から 場所 活けるキリスト一麦西宮教会 【はじめに】 今回は…

帝国主義=グローバリズムと一体化したキリスト教の超克

kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp kanai.hatenablog.jp この30年ほど、長い長い旅をしてきた。自分なりにいろいろなことを考えて、いろいろ…

ルターのユダヤ人差別について

『ユダヤ人と彼らの嘘について』(1543年版)の表紙 1.16世紀のドイツにおけるユダヤ人差別16世紀、宗教改革が行われた時代のドイツでは、それぞれの領主がその領邦の宗派を選択する権利を持っていました。ローマ・カトリックかルター派(プロテスタント)…

ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】(1)

V.ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】 Vilmos Vajta 博士はハンガリーに生まれ、スウェーデンで学び、ドイツ・ストラスブールにあるルーテル世界連盟のエキュメニカル・インスティテュートの主事として活躍した人物である。彼が“Die Theologie des G…

【ブックガイド】竹下節子著『キリスト教の真実』

【ブックガイド】 キリスト教の真実―西洋近代をもたらした宗教思想 (ちくま新書) 作者: 竹下節子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2012/04 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (5件) を見る いい加減な内容のキリスト教批判本…

エキュメニカル運動略史

1.危機の時代と新しいポテンシャル 19世紀に欧米に起こった産業革命=工業化の波は、列強の帝国主義的侵略と植民地支配となって全世界に波及した。同時期に欧米のキリスト教に起こったリバイバリズム(信仰復興運動)は、多数の宣教団を生み出し、世界各地…

中国宣教略史(1)

前回は、西欧、アフリカ、南北アメリカの視点から帝国主義とキリスト教宣教の歴史的問題について考察した。今回は、中国におけるキリスト教宣教の歴史を簡単にたどり、欧米の帝国主義が中国宣教に及ぼした影響について考察してみたい。 1.景教の流行と消滅…

帝国主義と世界宣教

www.pewforum.org ピュー・リサーチ・センターの2011年の統計によると、世界には21億8千万人のキリスト教徒がいる。世界人口のおよそ3分の1がクリスチャンである。そのうちローマ・カトリックが半数で約11億人、プロテスタントは37パーセントで約8億人、…

実在論と唯名論がキリスト教に与えた影響について

序 西洋中世のスコラ学において、普遍的なものと個々の事物の関係について論争があった。いわゆる「普遍論争」である。 一方において、「普遍的なものが個物に先だって存在する」という主張が為された。これが「実在論」(Realism)である。これに反対して、…

「滅びの奴隷」第二ペテロ2:12〜22

【金言】彼らは、むなしい大言壮語を吐いており、誤った生き方をしていて、ようやくそれをのがれようとしている人々を肉欲と好色によって誘惑し、その人たちに自由を約束しながら、自分自身が滅びの奴隷なのです。 (ペテロの手紙第二 2:18~19) 1.理性…

「滅びをもたらす異端」ペテロ第二 2:1~14

【金言】彼らは、滅びをもたらす異端をひそかに持ち込み、自分たちを買い取ってくださった主を否定するようなことさえして、自分たちの身にすみやかな滅びを招いています。(第二ペテロ2:1) 1.偽教師の出現 この手紙が書かれた頃に教会をかき乱してい…

「牧者の心」ペテロ第一 5:1~14

【金言】 あなたがたのうちにいる、神の羊の群れを、牧しなさい。強制されてするのではなく、神に従って、自分から進んでそれをなし、卑しい利得を求める心からではなく、心を込めてそれをしなさい。(第一ペテロ5:2) 1.牧羊の使命 主イエスは復活され…

世界の王なるキリスト(マタイ2:1~15)

神の御子イエスが、ひとりの赤子となって、この世に来られた。その時に、ほとんどのユダヤ人は、これを無視あるいは敵視した。ところが、「東方の博士たち」が砂漠を越え、1000キロ以上も旅をして、幼いキリストを礼拝した。この東方の博士たちとは何者であ…

正統的キリスト教とは何か -アリウス主義とニケア正統主義の闘い-

正統的キリスト教とは何か。その基準はどのようなものか。この問題について議論することが教会会議の重要な目的の一つであり、この問題に答える文書が「信条」である。アリウス主義とニケア正統主義の闘い、原ニケア信条とニケア・コンスタンティノポリス信…

初期キリスト教は、なぜローマ帝国に広まったのか

1.ディアスポラ・ユダヤ人の拡散 紀元30年の春に、エルサレムで「イエス」というひとりの男が、ローマの総督ピラトのもとで、十字架刑に処された。しかし、イエスは三日目に復活して、彼の信奉者たちにその姿を現した。彼を「キリスト」と信じる者たちは…

教会史を学ぶ意義

1.教会史とは何か 「教会史」とは何か。端的に言えば、それは「教会」の「歴史」に関する研究である。 「教会」とは何か。教会とは、イエスをキリストと信じる者たちの集団であり、イエス・キリストをかしらとする共同体である。 「歴史」とは何か。歴史と…

松江バンドの野外伝道(日本イエス・キリスト教団のルーツ06)

<大江邦治師が語られた逸話> バックストン先生が松江の赤山で義塾を開かれておった時分のことです。 先生は股引きをはいて、麦わら帽子をかぶり、日本人が着るような服装をして、おっしゃった。 「みんな、野外伝道に行こう」 笹尾先生も米田豊先生も私も…

ホーリネス運動とリバイバリズム(日本イエス・キリスト教団のルーツ 04)

この2月に、日本の各地でケズィック・コンベンションが開催されています。日本イエス・キリスト教団の母体である日本伝道隊は、1903年に本場・英国のケズィック・コンベンションにおいて持たれた祈り会から始まったミッションです。ケズィック・コンベンシ…

バックストンは教会形成に関心が無かったのか(日本イエス・キリスト教団のルーツ03)

B. F. バックストンは「教会形成に関心が無く、説教の目標は個人の回心と聖霊による「きよめ」に集中する」という意見があります(山口陽一「日本プロテスタント・キリスト教史における説教」『福音主義神学 第43号』21頁、2012年)。これは全くの誤解です!…

「現代のパウロ解釈を考える」(福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議 の感想)

先日、2012年11月19日(月)に、日本福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議が、神戸神学館で行われました。 今回のメインテーマは「現代のパウロ解釈を考える」というもので、New Perspective on Paul (以下、NPPと略す)を積極的に評価する見地から鎌野直…

関西聖書神学校と日本イエス・キリスト教団の信仰的立場について(日本イエス・キリスト教団のルーツ02)

1.聖書はこう言っている! 「ルターはこう言った。カルヴァンはこう言った。ウェスレーはこう言った。聖書はこう言っている」。 関西聖書神学校の初代校長であり、半世紀にわたって校長を務めておられた沢村五郎師は、このように教えておられた、と私は父…

宣教師と商人と軍隊 ー 文明社会とキリスト教の関わりについて ー

生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。(創世記1:28) 土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。(同3:17) フクシマの原発事故以降、日本…

ヒロシマとナガサキへの原爆投下の罪責について

序 米国の戦争責任を問う 8月は、私たち日本人にとって、アジア・太平洋戦争について考える重要な意味を持っています。ここでは、広島と長崎への原爆の投下に関する米国の罪責について考えてみようと思います。 敗者である日本人は、いわゆる東京裁判で戦争…

ロックミュージックのプロテスト精神について

U2 ボーカル、エレキギター、ベースギター、ドラムスなどによって奏でられるロックミュージック(ロック)は、現代の代表的な音楽の一つです。インパクトの強いメロディーとリズムを特徴としますが、歌詞にもメッセージ性のあるインパクトの強いものが多く見…

歴史を学ぶ意義について(日本イエス・キリスト教団のルーツ・序文)

自分(たち)は、何者であり、時間的・空間的・社会的な全体像の中でどこに位置しており、どのような意味・目的を持っているのか。 このいわゆる「アイデンティティー(Identity)」を理解することは、人間にとって、個人であれ集団であれ、欠くことのできな…

キリスト教は日本に根づくことができるか ー 遠藤周作の問題提起についてー

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