KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

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人類の起源について

最近の人類学の研究の成果を、そのほんの一部ですが、簡単にメモとしてまとめます。この分野は私の専門ではありませんが、何か参考になれば幸いです。

 

【参考文献】溝口優司『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』ソフトバンク新書(2011)

 

生物学の分類は、界>門>綱>目>科>属>種、となっています。生物学における「人類」はすべて、動物界>脊髄動物門>哺乳綱>サル目>ヒト科であり、現生人類ホモ・サピエンス(新人)は、ヒト科>ヒト属>ヒト種です。

 

猿人、原人、旧人、新人という名称は、外国ではあまり使われていません。新人であるホモ・サピエンスの一部が、旧人であるネアンデルタール人より古くから棲息していたことが判明するなど、事実が名称と合わなくなったからです。しかし、日本ではなじみが深く、それぞれ共通点のあるくくりなので、猿人、原人、旧人、新人という従来の分類法で以下は、まとめます。

 

1.猿人

 

現在、最も古いとされる人類は2001年に中央アフリカのチャドで発見された猿人・サヘラントロプスです。700万〜600万年前に棲息していたとされます。

 

猿人は他にも、ヒト科>アウストラロピテクス属など数種類あります。直立二足歩行がその特徴です。猿人の脳は300〜500cc程度です。

 

アウストラロピテクス(420万〜200万年前)から最初のヒト属である「ホモ・ハビリス」(250万〜150万年前)につながっていると考えられています。ホモ・ハビリスの脳は500〜800cc程度で、道具を作っていました。

 

人類は原人になる前に、アフリカを出て、ユーラシアに拡散していったようです。

 

2.原人

 

200万年前頃に、ホモ・ハビリスの中から原人ホモ・エレクトスが誕生したと考えられています。脳の大きさは猿人とホモ・サピエンスの中間(700〜1200ccくらい)で、骨格のバランスはホモ・サピエンスとほぼ同じ、地上生活に完全に適応しています。

 

3.旧人

 

そして、80万年前頃までには、ホモ・エレクトスからホモ・ハイデルベルゲンシス(旧人)が誕生したと考えられています。旧人の脳は1000〜1500cc程度です。

 

ネアンデルタール人旧人)は10万年前頃に、ヨーロッパに棲息していたホモ・ハイデルベルゲンシスの中から誕生したと考えられています。ネアンデルタール人は埋葬の習慣があり、精巧な石器を作り、狩猟をしていました。ネアンデルタール人は3万5000年前頃に滅びました。

 

4.新人

 

ホモ・サピエンス(新人)は10数万年前に、アフリカに棲息していたホモ・ハイデルベルゲンシスの中から誕生したと考えられています。新人の脳は1200〜1500cc程度です。ホモ・サピエンスは10万年前頃までにアフリカを出て、中東に達していたようです。クロマニヨン人はヨーロッパにいたホモ・サピエンスです。

 

5.現生人類

 

現在、人類学では、ミトコンドリアDNAの研究によって、現生人類ホモ・サピエンスの「アフリカ単一起源説」が主流となっています。「現代人のミトコンドリアDNAの起源は、アフリカにいた一人の女性のミトコンドリアDNAだ」とする「イブ仮説」が、大筋において認められているのです。

 

ただし、ほとんどの現代人のDNAの中に、ネアンデルタール人由来のDNAが1〜4パーセント含まれているようです。すなわち、ネアンデルタール人ホモ・サピエンスの交配が行われていたわけです。

 

旧約聖書・創世記の人類史は、イスラエル民族の視点から過去を振り返って記した神学的な歴史物語です。聖書の扱う「人」は現生人類であって、生物学の「ヒト」や人類学の「人類」とは異なります。けれども、「人間とは何か」と問う神学的な作業において、生物学や人類学の成果は参考になるものでしょう。

 
アフリカで誕生した人類が日本人になるまで (ソフトバンク新書)

アフリカで誕生した人類が日本人になるまで (ソフトバンク新書)