KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

聖書のメッセージやキリスト教の論説、社会評論などを書いています。

沖縄!!

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  1.繰り返される、米兵による沖縄の女性に対する暴行


 昨年10月に沖縄本島中部で女性を暴行してけがを負わせたとして、集団強姦致傷罪などに問われた米海軍の2人の被告に対して、今日3月1日、那覇地裁は、上等水兵(24)に懲役10年(求刑同12年)、3等兵曹(23)に懲役9年(求刑同10年)の実刑判決を下しました。

判決では、「(被害者の)肉体的、精神的苦痛は察するに余りある」とし、裁判長は、判決を言い渡した後、両被告に「厳しい判決と思っているかもしれないが、被害者や裁判員の県民感情はもっと厳しいものだ」とメッセージを読み上げました。

戦後、沖縄では、米兵による女性に対する暴行事件が絶えません。

 
  2.米兵による少女暴行事件と沖縄県民の抗議行動

1995年(平成7年)9月に米兵による少女暴行事件が起きた後、私は抗議集会デモに参加するために、初めて沖縄に行きました。

 

この事件は、3人の海兵隊が、12歳の女子小学生を、レンタカーで待ち伏せして、拉致し、粘着テープで目や口をふさいで、手足を縛り、1.5キロ離れた場所まで連れて行って、集団強姦した、という非常に悪辣な事件でした。計画的な犯罪です。

沖縄県民の怒りは爆発しました。同年10月21日に宜野湾市で開催された、この事件に抗議する県民総決起大会には、大田昌秀沖縄県知事(当時)をはじめ、約8万5000人の県民が参加しました。この事件は、日本だけでなく、世界的に報じられました。

 

  3.日本本土の防護壁とされた沖縄

 

私が沖縄に行ったのは労働組合の派遣によるものでしたが、抗議活動の他に、太平洋戦争・沖縄戦戦跡見学やひめゆり平和祈念資料館見学、戦争体験者によるレクチャー、米軍基地見学などもあり、貴重な学習の機会となりました。太平洋戦争末期において、沖縄の人々は米軍の圧倒的な軍事力による地上戦の犠牲となりました。

沖縄戦の時に住民や兵隊など約1000人が避難生活をしていたという洞窟(避難壕)には、たくさんの遺骨が、あちらこちらに残っていました。沖縄戦では、住民の集団自決など悲惨な出来事が数多くありました。

 

  4.「戦後」は終わっていない


沖縄に行ってみて痛感したのは、沖縄の人たち(ウチナーンチュ)我々ヤマトの者たち(ヤマトンチュ)問題意識の落差でした。

 

戦後、日本本土は、沖縄に米軍基地を押し付けたまま、「平和」と「繁栄」をむさぼってきました。第二次大戦中に東西冷戦はすでに始まっており、戦争末期にはソ連による侵攻シベリア抑留という大問題が起こりました。1950年には朝鮮戦争も起こりました。米軍の駐留が無ければ、戦後日本の平和と発展は有りえませんでした。

 

沖縄は1972年(昭和47年)に日本国に復帰しましたが、未だに沖縄本島では面積の約19%米軍基地が占めています。沖縄県が日本の国土面積に占める割合は0.6%ですが、日本にある米軍専用施設の面積の約75%沖縄県に集中しています。沖縄県民にとって米軍基地の存在は、切実な日常的問題なのです。


他の日本人に、彼らほど切実に基地問題を考えている人が、どれほどいるでしょうか。沖縄の新聞の一面に大きく出た米軍関係の事件が、沖縄県外では、ほとんど報じられていなかったりします。この問題意識の落差! ヤマトンチュにとって「戦後は終わった」のかもしれませんが、少なくともウチナーンチュにとって「戦後」は終わっていないのです。


  5.沖縄県民の人権と日本国の主権を確保しよう

日本に駐留する米軍には治外法権が認められています。そのために沖縄の人々が怒りに震えることが、どれほどあったことか!! 日米地位協定によれば、被疑者が米兵の場合、その身柄が米軍基地や米国本土などアメリカ側にあるときは、起訴されるまで、日本側に被疑者の身柄は渡されません。日本の捜査当局は被疑者の取り調べもままならないわけです。

そのために、沖縄の住民に対して重大な犯罪を犯しながら、米国本土に帰還して、逮捕・刑罰を逃れた米兵たちもいます。こんなことを許してきたのは、国辱です。ウチナーンチュの怒りをヤマトンチュも共有すべきです!

米国は自由主義・民主主義の伝道者を自認していますが、アメリカが主張する「自由」とは、誰にとっての自由なのかキリスト教国であり、世界のリーダーであるアメリカに内在する帝国主義人種差別・民族差別を甘く見てはいけません。

沖縄県民の人権を守る闘いは、黒船来航=開国=不平等条約締結の時から続く、日本国の主権を確保する闘いの延長線上にあるのです!

 

  6.新しい安全保障体制の構築へ

 

21世紀に生きる我々は、20世紀の国際政治の力学であった、軍事的な均衡による安全保障のシステムを、変えていかなければなりません。軍拡や戦争をしたら、お互いに損となる。平和に共存することが、お互いに利益となる。そのような相互依存・共存共栄の仕組みを作ることが必要です。軍拡、兵器輸出、戦争、侵略によって利益をむさぼっている者たちの存在が、問題の根底にあるからです。

 

軍事力に依らない安全保障体制を構築する。これができれば、米軍基地問題も根本的に解決することができます。もちろん、沖縄の負担を軽減することは急務ですが。

日本国憲法の平和主義をグローバル・スタンダードにする。これこそ我々日本人が理想とし、目標とすべきことです。そのために1億2千万の民が知恵を絞るべきです! いや、世界中の民が知恵を絞るべきなのです!! 核兵器原発に代表される現代の問題は、一国、一地域だけでは済まない、グローバルな危機をもたらすのですから。

 

現代の大衆は無力化したのでしょうか。否、コンピュータとインターネットの発達は、我々一般市民に新しい可能性をもたらしています。「現地」「現場」で起こっていることを、ダイレクトに、リアルタイムで伝えることができるからです。沖縄の人もヤマトの人も、本当の自由・独立を獲得するために、連帯して、理解を深め、協力して問題を解決していきましょう!!

  

 

<参考>

 

沖縄タイムス『集団暴行裁判:「県民感情もっと厳しい」』

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-03-02_45957

 

NHK NEWS WEB『女性乱暴の米兵2人に懲役10年と9年』

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130301/k10015889671000.html

 

Wikipedia『沖縄米兵少女暴行事件』

http://ja.wikipedia.org/wiki/沖縄米兵少女暴行事件

早稲田大学『オピニオン』「No.280 再び起こった米兵少女暴行事件」
http://www.waseda.jp/jp/opinion/2007/opinion280.html

 

『米兵による戦後沖縄の女性に対する犯罪』

http://www.jttk.zaq.ne.jp/baags702/beiheiokinawahannzai.htm


『沖縄の米軍基地の現状と課題 』
http://www.jca.apc.org/HHK/Stat.Okinawa/9802-1.html


米田はる香『沖縄戦を伝えるということ』

http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/user/yamataka/03yoneda.pdf

 

ひめゆり平和祈念資料館』

http://www.himeyuri.or.jp