私どもの教会では、ここ1~2年の間に、敬愛する兄姉が次々と天に召されました。どなたも主の恵みによって守られて、立派に天国に凱旋されました。分けても堀江優(まさる)兄の御召天は、特筆すべき教会の重大事と思います。
弱さのうちにこそ
2011年12月末、優兄が精密検査を受けて入院された時、すでにガンは末期でした。これは極秘でしたが、私は葬儀について御希望をうかがっておりました。
「この1年、金井先生御夫妻が来られてから、私が願っていたことを皆できた。これはうれし涙です。一日一日、神によって生かしていただくのみ。天での生活に移されていくために、心が備えられています」。
それから1年間、優兄は医師の指示に従って治療を続けられました。苦しい闘いでしたが、周囲に気づかれぬよう強く己を保っておられました。何よりも明子夫人の徹底した食事の管理が功を奏したようです。
「弱さのうちにこそ、主の力が現わされる」
これが優兄のライフメッセージでした。
召天そして遺作展
優兄には、ぜひ実現したいと願っていたことが、一つありました。優兄が描いた全作品を一つの会場で展示するという企画です。この願いに沿った展示会の準備が進んでいました。
しかし、残念ながら、その展示会が始まる前に、2013年1月9日、優兄は平安のうちに天に召されました。享年79。
1月11日に神戸大石教会で告別式を行い、1月13日に追悼礼拝を行いました。これは優兄が初めてで、以後、慣例となりつつあります。
「葬儀は近親者のみでつつましく行い、皆さんには、今度の作品展を葬儀と思って、ぜひ見に来ていただきたい」と言い遺して逝かれました。
「水彩画家 堀江優遺作展」は2013年5月4日から7月15日まで神戸市立小磯記念美術館で開催されました。
約百点の作品、そのほとんどが聖書の人物を主題とした大作です。
21世紀に極東の地で、これほど壮大な聖書物語のパノラマを見るとは!
これは世界の人々に知っていただきたい快挙です!
子どもたちを愛して
さて、優兄が御生涯において成し遂げられた偉業として、三つのものを挙げることができるように思います。画業がその1つであることは、言うまでもありません。
2つ目は教育活動です。優兄の御尊父・堀江博牧師は、児童伝道・教会学校のエキスパートとして高名な御方です。優兄は博師が発行する『おさなご新聞』の挿絵を描き、自らもCS教師となって長年、児童伝道に尽力されました。
また、神戸大学教育学部を卒業後30年以上、小学校の教師として奉職されました。声楽やピアノなど音楽にも秀でておられました。
神戸大石教会の1階に『愛の主』という絵が展示されています。ひとりの幼子を見つめるイエス様の絵です。この絵が今も優兄の思いを語っています。
神戸大石教会を愛して
三つ目は文筆・編集の活動です。『群乃足跡』、『一伝道者・堀江博』、『堀江博説教集 キリストの芳しい香り』、『おおいししんぶん』等、神戸大石教会から発行された諸文書は、堀江優兄入魂の傑作です。
私は着任後2年近く、堀江家と病院に通って、優兄から神戸大石教会八十余年の歴史について拝聴しました。そして優兄に信徒の皆様の家系図を書いていただきました。これが家庭訪問や葬儀、召天者合同記念礼拝など牧会活動に大変役立っています。
病床で最後に優兄が語ったお言葉は「リバイバル」でした。その夢が今、実現しつつあります。
「彼は死にましたが、その信仰によって、今もなお語っています」
(ヘブル11:4)