いま欧州や中東、アフリカなどで起こっている問題を「キリスト教 対 イスラム教」という構図で見るべきではありません。そして、そのようなプロパガンダに乗せられて、その構図を現実化してはいけません。人々の宗教心を利用して戦いへと扇動する政治指導者やジャーナリズムは、全く不敬虔な人々であることに、注意する必要があります。
シャルリーエブドの風刺画は非道いものです。「シャルリーエブド イスラム」でググって見れば、わかります。見たくもない醜悪な絵が出てきます。
標的にされているのは、イスラム教だけではありません。キリスト教徒やユダヤ教徒も「冒涜」に怒っているのです。
敬虔なキリスト教徒が「私はシャルリ」などと言うでしょうか? フランスはキリスト教国だと思われていますが、実際に教会に一週間に一回以上行く人がどれほどいるでしょうか? それは極めて少数なのです。
「イスラム国」などイスラム過激派は「十字軍 Crusade」という言葉を使って、「キリスト教 対 イスラム教」という構図に持ち込みたがります。それによって自分たちのテロ活動を正当化し、参加者と支援者を増やして、危機を乗り越えようと、もがいているのです。
しかし、彼らがキリスト教徒だけでなく、イスラム教徒やその他の人々も無差別に大量に殺害し、あるいは拉致・監禁してきた事実を、私たちは知っています。
サミュエル・P・
「イスラム国」の中核には、かつてイラクのサッダーム・フセインに仕えたスンニ派の元バアス党員や元イラク軍人がいます。その幹部たちは、敬虔なイスラム教徒ではありません。ただし、ここ数か月の間に、かつてフセインに仕えていた、「イスラム国」の幹部たちは、空爆によって次々と死にました。
そして、より原理主義的で過激なサラフィー・ジハード主義者たちが「イスラム国」の中核において勢力を拡大しつつあるようです。
「イスラム国」は、アジア・アフリカ・ヨーロッパに広がる単一のイスラム教の国を建設することを大義として掲げています。今後は「宗教対立」を強くアピールするようになるかと思われます。
「イスラム国」のメインメンバーは約2万人と推定されていますが、地元の民兵やアルカイダ等も参加しているようです。そして、イギリス人、ドイツ人、フランス人、オーストラリア人などが「イスラム国」に共感し、義勇兵となって、次々と戦闘に加わっています。これは注意すべき重要な動きです。
それでは、なぜキリスト教国ではない日本が、有志連合に参加して「イスラム国」撲滅に協力するのか?「不法なテロリズムを許さない」という一点で説明ができるのでしょうか? 実は、有志連合の側にも不法な民衆殺戮の現実があります。
本音を言えば、日本がイラクをはじめとする中東の石油に依存しており、それを確保する必要があるからです。
有志連合の軍隊が今後、次々と戦死者を出すようであれば、「なぜ日本は自衛隊を出さないのか」という不満と要求が出てくるでしょう。我々日本国民も、その答えを考えて表明する必要があるでしょう。
平和の絆が断ち切られないように、平和の絆がつながり、強められるように、祈り、この思いを表明しましょう!

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