大学に入学してすぐ私は、千葉から東京・杉並の荻窪栄光教会まで、往復に4時間かけて足繁く通った。森山諭牧師に心酔していたから。
最初に出席した礼拝の後で、聖歌隊の練習に出るよう誘われた。日本の聖歌の父、中田羽後師が牧会して育てた聖歌隊である。
その頃、指導しておられたのは西脇達子先生だった。
翌週の礼拝で、早くも前に出て歌うことになった。その頃ちょうど大勢の信徒が韓国旅行に行っており、帰ってきたら、知らない顔が聖歌隊にあるので、驚かせてしまったかもしれない。この長身では隠れようがない。
その頃、ちょうど男子の隊員が少なくて、礼拝の開会唱と閉会唱の時に、バスは私独りだけということがあった。バスだけが歌う部分があって、自信が全然無かったので、ひたすら逃げたい気分、早く終わってくれ!って感じであった。聴いている会衆の皆様の方が、冷や汗をかいていたかもしれない。
荻窪では、毎年クリスマスの前にメサイア公演をしており、夏頃から毎週、礼拝後にその練習をした。「えっ、バスなのに、こんな高い音出すんですか?」 発声法から教えていただいたのだが、無理でしょ、これは!?
しばらくして教会学校や青年会、求道者会などの奉仕が忙しくなり、聖歌隊を抜けてしまったのだが、実に貴重な経験と学びをさせていただいた。忍耐と愛をもって指導してくださった先生方、先輩諸氏に感謝するのみである。