KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

聖書のメッセージやキリスト教の論説、社会評論などを書いています。

「戦争法案」に反対しないクリはクリじゃない?

長老教会の牧師で日本福音同盟(JEA)社会委員を務めておられる星出卓也師が、月刊『いのちのことば』2013年9月号から2015年9月号まで24回にわたって「これって何が論点?! 」というシリーズで、政治問題についてご自分の主張を書き連ねておられました。その論調によれば、クリスチャンは安倍政権・自民党を支持してはいけないらしいです。

これって何が論点?! 第1回 憲法は、だれのためのもの? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第2回 日本国憲法は、だれが創ったの? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第3回 天皇ってどういう存在なの? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第4回 「君が代問題」ってなに? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第5回 「特定秘密保護法」ってなに? 1 | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第6回 「特定秘密保護法」の問題点 | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第7回 「初詣」には行っちゃダメ? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第8回 安倍首相の「憲法解釈」 | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第9回 「この教科書を使いなさい」 | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第10回 教科書検定って何? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第11回 「集団的自衛権」って何? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第12回 「国会」がよくわからない! | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第13回 「この教科書を使いなさい」 | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第14回 「選挙」を知ろう!(下) | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第16回 「聖絶」と戦争は違うの? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第17回 12月の解散総選挙が転機!? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第18回 アベノミクスってなんだっけ? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第19回 TPPってどんなもの? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第20回 米軍新基地建設は止められないの? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第21回 米軍新基地建設は止められないの? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第22回 原発再稼働問題はどうなった? | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 第23回 平和とは名ばかり、安保法案 | 月刊いのちのことば
これって何が論点?! 最終回 靖国問題について教えて! | 月刊いのちのことば

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www.christiantoday.co.jp

「秘密保護法反対、戦争法案反対、安倍政権反対じゃないと教会にいられないような雰囲気があって、悩んでいます」

筆者は、そのような声を、しばしば受け取っています。教会に行けなくなったという方もおられます。それは東京方面が多いのです。

国民として、またキリスト者として、国政について学び、考え、議論し、判断して、投票に行ったり、意見を表明したり、政治活動を行ったりすることは、基本的に良いことだと思います。

しかし、教会・教団・キリスト教団体の名において特定の政治的立場の声明を出したり、社会運動への参加を呼びかけたりすることには、相当の慎重さが求められると思います。なぜなら、キリスト者・信徒・牧師にも、政治に関して多様な考え・意見・立場があるからです。日本のキリスト教関係者は、政治的に偏った立場でばかり発言し過ぎではないでしょうか。

http://uccj.org/news/22404.html

http://jeanet.org/wp/wp-content/uploads/2015/06/73c03824ee7356ef7c62cb3696b10ece.pdf

http://antisecuritylow.blogspot.jp/2015/09/blog-post_20.html?m=1

特定秘密保護法に反対する牧師の会: <声明> 安全保障関連法案の成立にあたって

偶像崇拝や人権侵害など、明らかにキリスト教信仰に反する行為に反対するのは、キリスト者=教会の本質的な務めでしょう。

けれども、それ以外のことでは、聖書に照らして明らかに罪だと断定できる問題でない限り、教会・教団・キリスト教団体は、特定の政治的立場に立たない方が良いのではないでしょうか。なぜなら、そうすることによって、それに賛同しない信徒を疎外し、教会に居づらくしたりする危険性があるからです。

下世話なQ&A「クリスチャンは共産党を支持しないといけないんですか?」

「我々は平和のためにしているんだから、この運動に賛同しないクリスチャンは、解っていないか、右翼であるか、どちらかだ」。「安倍内閣・戦争法案に賛成するような牧師は牧師じゃない」。ーーそのような独善的な言動をする人たちがいます。

平和安全法制=安全保障関連法案を提案し推進した政府与党は「この名のとおり、これによって抑止力を高めて、戦争を防ぎ、平和を保持しようとしているのです」と説明しています。ところが、彼ら反対派は、それを否定して、安保法案・安保法を「戦争法案」「戦争法」と呼ぶのです。

安保法制反対派のキリスト者たちは「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」という聖句をやたらに使っています。彼らは、日米同盟、自衛隊、安保法制、集団的自衛権行使といった「武力」無しで平和を実現できると、本気で考えているのでしょうか? 彼らは国際政治や外交・軍事の専門家でしょうか? 彼らの主張する平和論は信用できるものでしょうか?

合法的なデモは、国民として許される行動です。けれども、国論を二分するような問題で、一方に偏る立場の運動を教会や教団、協教派団体にまで持ち込まないでいただきたい。これが私の願いです。

さらに、安倍総理について「サタンの手先だ」「ヒトラーだ」「殺されても仕方ない」といった過激なことを言う人たちがいます。

第二次世界大戦の時にドイツでナチズムに抵抗して、ヒトラーの殺害を企んだ牧師ボンヘッファーの影響を受けているのでしょう。両者を無理やり重ね合わせて、自分(たち)をボンヘッファーに重ねたがる。いわゆるヒロイズムでしょうか。乱暴で幼稚な行動です。

日本のキリスト教は狭いムラ社会なので、多数派や権力者は何を言っても問題ない、という誤解が生じているのかもしれません。

筆者は事実上、このような反体制的な運動を批判する形になっていると思います。それは、「反体制的な立場ではない牧師や教会もあるんだな。あっていいんだな」と気づいて、少しでも気持ちが休まる方がおられたら幸いだ、と思ってしている愚行であります。

今、異論・反論を出さないと、日本の宣教・教会形成に支障をきたすーーという危機感があって、筆者はかくのごとき愚行に踏み切りました。

読者の皆様には、お気に触ることも多々あろうかと思い、大変恐縮ですが、ご容赦いただけましたら、幸いです。

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