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ヒラステーリオン(贖罪蓋)の奥義

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古代ユダヤのエルサレム神殿には、聖所の最奥に、幕で仕切られた「至聖所」という場所がありました。そこには、モーセの十戒が刻まれた2枚の石板を納めた「契約の箱」がありました。金で覆われたその箱は、金の板によって蓋をされていました。その金の板をヘブル語では「カッポーレット」、ギリシャ語では「ヒラステーリオン」と言います。

 

新改訳の新約聖書では、これを「なだめの供え物」(ローマ3:25)あるいは「贖罪蓋(しょくざいがい)」(ヘブル9:5)と訳しています。

フランシスコ会訳の新版は、どちらも「贖いの座」と訳しています。工夫が見られます。

 

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〔口語訳〕神はこのキリストを立てて、その血による、信仰をもって受くべき【あがないの供え物】とされた。

〔新改訳第3版〕神は、キリスト・イエスを、その血による、また信仰による、【なだめの供え物】として、公にお示しになりました。

〔新共同訳〕神はこのキリストを立て、その血によって信じる者のために【罪を償う供え物】となさいました。

〔岩波訳〕神はその彼を、信仰をとおしての、〔また〕彼の血による、【贖罪の供え物】として立てた。

フランシスコ会訳2011〕神はこのキリストに血を流させ、信じる人のための【「贖いの座」】として彼を公に示されました。

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〔新改訳第3版〕

また、第二の垂れ幕のうしろには、至聖所と呼ばれる幕屋が設けられ、そこには金の香壇と、全面を金でおおわれた契約の箱があり、箱の中には、マナの入った金のつぼ、芽を出したアロンの杖、契約の二つの板がありました。また、箱の上には、【贖罪蓋】を翼でおおっている栄光のケルビムがありました。(ヘブル9:3-5)

第二の幕屋には、大祭司だけが年に一度だけ入ります。そのとき、血を携えずに入るようなことはありません。その血は、自分のために、また、民が知らずに犯した罪のためにささげるものです。(ヘブル9:7)

しかしキリストは、すでに成就したすばらしい事がらの大祭司として来られ、手で造った物でない、言い替えれば、この造られた物とは違った、さらに偉大な、さらに完全な幕屋を通り、 また、やぎと子牛との血によってではなく、ご自分の血によって、ただ一度、まことの聖所に入り、永遠の贖いを成し遂げられたのです。(ヘブル9:11-12)

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ヒラステーリオンは、人類の罪を完全に赦し、清めるために、御自身を犠牲として死なれた、イエス・キリストの十字架を象徴する予型だったのです。