今、NHKオンデマンドで「ドキュメント沖縄戦」が無料で公開されています。
■ドキュメント沖縄戦
戦後70年にあたってNHK沖縄放送局が制作した、沖縄の地上戦の実態を克明に描き戦争とは何かを見つめ直したシリーズ。沖縄国際大学名誉教授の石原昌家さんが40年あまりにわたって記録した、住民の証言を収めたおよそ1000本のテープをもとに、およそ3か月にわたって続いた沖縄戦を、時系列に沿って描きました。沖縄本島各地の戦線で、住民たちは何を目撃し何を体験したのか。もうひとつの「沖縄戦 全記録」です。
2015年放送
(C)NHK
筆者は沖縄に行った時に、あちこちに遺骨が散在する洞窟を見て歩きました。地元の方々から、沖縄戦で起こったことについて説明を受けました。
激烈な地上戦において犠牲となられた沖縄の人々と日本軍の兵士に敬意と哀悼の意を表します。その犠牲の上に、今日の日本があることを忘れないようにしたく思います。
沖縄戦は1945年3月26日から始まり、5月末に第32軍首里司令部が陥落、7月2日に米軍は沖縄戦終了を宣言しました。沖縄における米軍の攻撃は極めて異常な激しさで、日本側の死者・行方不明者は18万人以上になりました。その異常な状況において、集団自決など悲惨な事態が各地で生じました。
沖縄戦の末期において、勝敗はすでに決しているのに、なぜ米軍は爆撃と火炎放射で沖縄を焼き尽くし、死者をどんどん増やしていったのか。また、なぜ米軍は日本本土で地上戦を行わず、空襲や原爆投下によって無差別に日本人を大量虐殺したのか。
その背景には、硫黄島をはじめ各地で経験した日本軍に対する恐怖感と憎悪、終戦の処理を米国に有利に持っていこうとする政治的意図など、諸々の要因が関係していました。
加えて、米軍による日本人大量虐殺の大きな背景としては、日本人をはじめとする有色人種に対する欧米人の差別意識があったのです。
昭和天皇の「終戦の詔書」(玉音放送)は、大東亜戦争の大義を明らかにしています。
朕深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、非情の措置を以て時局を収拾しようと思い、ここに忠良なる汝ら帝国国民に告ぐ。
朕は帝国政府をして米英支ソ四国に対し、その共同宣言を受諾することを通告させたのである。そもそも帝国国民の健全を図り、万邦共栄の楽しみを共にするは、天照大神、神武天皇はじめ歴代天皇が遺された範であり、朕は常々心掛けている。先に米英二国に宣戦した理由もまた、実に帝国の自存と東亜の安定とを切に願うことから出たもので、他国の主権を否定して領土を侵すようなことはもとより朕の志にあらず。しかるに交戦すでに四年を経ており、朕が陸海将兵の勇戦、朕が官僚官吏の精勤、朕が一億国民の奉公、それぞれ最善を尽くすにかかわらず、戦局は必ずしも好転せず世界の大勢もまた我に有利ではない。こればかりか、敵は新たに残虐な爆弾を使用して、多くの罪なき民を殺傷しており、惨害どこまで及ぶかは実に測り知れない事態となった。しかもなお交戦を続けるというのか。それは我が民族の滅亡をきたすのみならず、ひいては人類の文明をも破滅させるはずである。そうなってしまえば朕はどのようにして一億国民の子孫を保ち、皇祖・皇宗の神霊に詫びるのか。これが帝国政府をして共同宣言に応じさせるに至ったゆえんである。
朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力した同盟諸国に対し、遺憾の意を表せざるを得ない。帝国国民には戦陣に散り、職場に殉じ、戦災に斃れた者及びその遺族に想いを致せば、それだけで五内(ごだい、五臓)引き裂かれる。且つまた戦傷を負い、戦災を被り、家も仕事も失ってしまった者へどう手を差し伸べるかに至っては、朕が深く心痛むところである。思慮するに、帝国が今後受けなくてはならない苦難は当然のこと尋常ではない。汝ら国民の衷心も朕はよく理解している。しかしながら朕は時運がこうなったからには堪えがたきを堪え忍びがたきを忍び、子々孫々のために太平を拓くことを願う。
朕は今、国としての日本を護持することができ、忠良な汝ら国民のひたすらなる誠意に信拠し、常に汝ら国民と共にいる。もし感情の激するままみだりに事を起こし、あるいは同胞を陥れて互いに時局を乱し、ために大道を踏み誤り、世界に対し信義を失うことは、朕が最も戒めるところである。よろしく国を挙げて一家となり皆で子孫をつなぎ、固く神州日本の不滅を信じ、担う使命は重く進む道程の遠いことを覚悟し、総力を将来の建設に傾け、道義を大切に志操堅固にして、日本の光栄なる真髄を発揚し、世界の進歩発展に後れぬよう心に期すべし。汝ら国民よ、朕が真意をよく汲み全身全霊で受け止めよ。
太平洋戦争末期において米軍は、どれほど多くの日本の非戦闘員=民間人を大量虐殺したことでしょう。東京をはじめとする各地の大空襲、そして広島・長崎の原爆投下。沖縄の地上戦。これらこそ明らかに当時の国際法に違反する戦争犯罪です。
それなのに、米国の非を訴えずに、日本の非を訴える戦後の日本人! 米国による日本人のマインドコントロール=ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)の呪縛からもう解かれるべきではないでしょうか。
ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム - Wikipedia
筆者は、国家神道や軍国主義、日本の軍隊がアジア太平洋諸地域で行った暴虐を肯定するつもりはありません。けれども、「アジア太平洋戦争(大東亜戦争)は、軍国日本によるアジア太平洋諸地域に対する侵略戦争だった」という単純な見方には同意できません。
大航海時代から500年にわたって続いた、欧米列強のアジア太平洋諸地域に対する帝国主義的な侵略という大きな歴史的文脈の中で、あの戦争の意味を考えるべきだと思うのです。その構図を理解しないで、帝国主義と結びついたキリスト教を自覚・反省せず、大日本帝国の「侵略」を非難するだけの日本キリスト教を、どうして日本人が受容できるでしょうか。
幕末の黒船来航以降、日本は欧米諸国と、①関税自主権が無い、②治外法権を認める、不平等な条約を結ばされました。そこで明治時代に政府は富国強兵を図り、欧米列強と対等の立場になって、条約改正を進めました。
太平洋戦争開戦には、対日石油禁輸や排日移民法など、日本人に対する米国の差別的な政策が大きく影響しました。日本にとって太平洋戦争は、英米に対する自衛戦争であった、とも言えるのではないでしょうか。
当時、アジアで欧米列強の植民地とならずに独立を守り通したのは、日本とタイだけでした。日本が自国の独立を守り、アジア太平洋諸地域の解放をめざしていたということも、一面の真実である、と私は理解しています。
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当時、日本が独立を支援した国々もあります。
◆孫文は日本に留学して、日本から中国大陸に向けて革命運動を開始しました。日本に来た中国人留学生は一万人以上に達していたのです。
◆ファン・ボイ・チャウを始めとするベトナムの青年たちも、日本の政治家の支援によって日本に留学して、独立運動を進めました。
◆マレーシアでも日本軍が訓練所を作って現地の若者たちを教育し、日本への留学制度を作って、独立運動を支援しました。
◆インドネシアでも日本軍が独立運動のために現地の青年たちを教育・訓練しました。日本の敗戦後も日本の兵士と民間人が1000人以上もインドネシアに残って、独立戦争でオランダ軍と戦いました。
◆太平洋戦争の時期はまだアジアの諸地域は独立する力が不足していましたが、戦後は次々と独立を果たしました。
それにしても、あの大戦において沖縄の人々に負わせてしまった甚大な犠牲、そして戦後ずっと負わせ続けてきた米軍基地の重荷は、我々ヤマトンチュも理解すべきですし、その軽減を課題とするのは当然でしょう。
ただし、沖縄で二度とあのような悲劇を起こさないように、必要な防衛力は今後も沖縄と他県に配備する必要があります。先島諸島に自衛隊が配備されたことは、重要な動きです。
米国も戦争において非道なことを数々行ってきましたが、それでも米国は民主主義の国であり、法治主義と人権が尊重されています。ところが、今、沖縄を侵略する危険性があると言われる中国では、民主主義・法治主義・人権が十分に尊重されているとは言えないでしょう。中国軍が沖縄に侵攻して、沖縄が占領・支配されたら、どれほど悲惨なことになるでしょうか。チベット、新疆ウイグル、内モンゴル、香港、福建省などを見れば、ある程度わかるでしょう。
東シナ海の海底調査によって、豊富な石油資源の存在が確認されたのは、1968年のことです。それ以降に、中国が尖閣諸島の領有権を主張するようになったのです。
防衛庁防衛研究所で約20年間、中国の軍事について研究を続けていた平松茂雄氏は、1970年代から「中国海軍が東シナ海に進展してくる」と警告を発していました。
実際、中国海軍は著しく軍拡を進めてきました。
中国の尖閣諸島へのプレッシャーは、大量の漁船、海警局の重装備巡視船(実質的に軍艦)、そしてついに海軍の空母、と意図的にレベルを上げてきました。
中国初の空母「遼寧」が昨年12月23日から24日まで、黄海や東シナ海で空中給油や戦術的な訓練を行っていました。
中国海軍は24日、遼寧を中心とする艦隊が西太平洋で訓練すると発表しました。中国の空母艦隊が遠洋訓練を行うのは、これが初めてです。
24日から26日にかけて、この空母艦隊は東シナ海を走り抜け、宮古海峡を通って太平洋に出て、台湾の東側を回り込み、南シナ海に入りました。
1月8日、中国共産党の機関紙「人民日報」と中国の国営テレビCCTVは、ほぼ同時に「中国の空母・遼寧は、遅かれ早かれ第二列島線に出航し、東太平洋に達する!」と報道した。
沖縄で悲劇を繰り返さなさいために、我々ヤマトンチュも沖縄と東シナ海で起こっていることを注視して、賢明な選択・言動をしたいものです。
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