





2023年10月に開戦したパレスチナ・イスラエル戦争と2024年4月から断続的に続くイラン・イスラエル戦争は、多数の犠牲者を出しながら、なかなか収まらない。今年2月に米軍が直接、軍事介入をしてイランと戦う構図になったため、今、世界中の目が中東に注がれている。日本は原油の供給をペルシア湾沿岸地域に大きく依存しているため、ホルムズ海峡の封鎖は日本経済にとって致命的ともなりかねない重大な問題である。本稿では中東における紛争の根源を深堀りしていきたい。
1.約束の地は誰のものか
まず中東紛争に関わる現代史を、ごく簡単に振り返ってみよう。
離散民(ディアスポラ)としてのユダヤ人の歴史は、バビロン捕囚(紀元前597年、前586年、前581年、前578年)から始まった。紀元後1世紀のユダヤ戦争(66~73年)でユダヤの地はローマ帝国によって徹底的に滅ぼされ、祖国を追われたユダヤ人はその後1800年以上、安息の地を持たない離散民となった。
ヨーロッパで迫害を受けていたユダヤ人は19世紀後半から、神によって祖先に与えられた「約束の地」パレスチナに移住するようになった。シオニズムの始まりである。
現代のイスラエル・ユダヤ人とパレスチナ・アラブ人の間にある領土問題の直接的な原因は、第一次世界大戦(1914~1918年)の最中にイギリス政府がアラブ人のフセイン(「フセイン-マクマホン書簡」1915年)、フランス政府(「サイクス・ピコ協定」1916年)、ユダヤ人のロスチャイルド(「バルフォア宣言」1917年)を相手に行った「三枚舌外交」にある。
フセイン・イブン・アリーフセインは預言者ムハンマド(マホメット)の血統を継ぐハーシム家の首長であり、メッカとメディナの管理権を持つシャリーフ(太守)であった。イギリスが彼に近づいたのは、反乱によってオスマン帝国を内部から崩壊させるためであった。その見返りとしてイギリスは、アラブの独立を保証した。
その一方で、イギリスとフランスとロシアはサイクス・ピコ協定で、三国によるアラブ地域の分割を密約していた。
さらにイギリスはバルフォア宣言でウォルター=ロスチャイルドに、パレスチナにユダヤ人居住地(ナショナル・ホーム)を建設するために支援をすると、約束したのである。ウォルター=ロスチャイルドはユダヤ系大財閥の当主であり、シオニズムのリーダーであった。
その後、1933年から1945年にかけて600万人ものユダヤ人が、ナチス・ドイツとその協力者によって虐殺された(ホロコースト)。そのため、難を逃れてパレスチナに入植するユダヤ人が急増した。
国際連合は1947年11月に、パレスチナを分割して、アラブとユダヤの二国家を建設する決議を採択した(パレスチナ分割決議)。その決議では、当時、人口の33パーセントを占めていたユダヤ人にパレスチナの56パーセントの土地が割り当てられ、人口の67パーセントを占めていたアラブ人に43パーセントの土地が割り当てられた。ユダヤ人国家には大都市と肥沃な平野があったが、アラブ人国家の土地の大部分は荒野であった。ユダヤ人はこの決議を受け入れたが、アラブ諸国はこれを拒否した。
1948年5月14日にイスラエル国は独立を宣言した。すると翌日、これに反対するアラブ諸国の軍隊がパレスチナに侵攻し、第一次中東戦争が勃発した。この戦争は事実上イスラエルの勝利に終わり、イスラエルは分割決議より広大な地域を占領した。それによって70万人以上のパレスチナ人が難民となった。
その後イスラエルとアラブ諸国は1956年に第二次中東戦争、1967年に第三次中東戦争、1973年に第四次中東戦争と、断続的に交戦した。第三次中東戦争でイスラエルはシナイ半島、ガザ地区、東エルサレム、ヨルダン川西岸、ゴラン高原を占領した。そのためパレスチナ難民があふれ出て、ヨルダンなど周辺国に亡命した人々も多かった。
1979年にイスラエルはエジプトと単独講和を結び(キャンプ・デービッド合意)、シナイ半島をエジプトに返還したが、他の占領地では実効支配を続けた。
1988年にパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長はパレスチナとイスラエルの2国家共存に方向転換して、パレスチナの独立宣言を行った。1993年にイスラエルとPLOは協定を結び、イスラエルを国家として、PLOをパレスチナ自治政府として相互に承認することとなった(オスロ合意)。1990年代から2010年代にかけてイスラエルとパレスチナは和平協議を重ねた。
2006年1月、イスラム武装組織ハマスがパレスチナ立法評議会の選挙で過半数の議席を獲得し、勝利した。ハマスは2007年にパレスチナ自治政府(ファタハ)を追放して、ガザ地区を支配した。ハマスの正式名称は「イスラム抵抗運動」(Ḥarakat al-Muqāwama al-Islāmiyya)であり、1987年にエジプトの「ムスリム同胞団」の分派として生まれた組織である。
2023年10月7日、ハマスをはじめとするパレスチナ武装勢力がイスラエルに侵攻し、約1,200人を殺害した。そして、約250人を人質としてガザ地区に連行した。これに対してイスラエルは、ガザ地区で大規模な空爆を行い、地上侵攻を開始した(2023年パレスチナ・イスラエル戦争)。
この中東紛争の根は、恐ろしく深いものである。その本質は、神がアブラハムの子孫に与えた「約束の地」の所有権をめぐる問題である(創世記12:7, 13:14-17, 15:7,18-21, 17:8, 24:7, 26:2-3, 28:4,13, 35:12)。アブラハムは今からおよそ4000年も前にいた人物であるが、ユダヤ人もアラブ人も「アブラハムの子孫」として、「約束の地」の所有権を主張しているのである。
約束の地とは具体的には、エジプトとの境界になっている川(ワディ・エル・アリシュ)とユーフラテス川の間にある土地(同15:18)、「カナンの全土」(同17:8)である。ちなみに「パレスチナ」(Palestine)という地名は「ペリシテ人(Philistines)の地」という意味であり、ペリシテ人は旧約聖書の時代におけるイスラエル民族の仇敵であった。


ユダヤ教の聖典であるヘブライ語聖書の創世記は、アブラハムの世継ぎが正妻サラの子イサクであることを明記している(創世記15:4, 17:19,21, 26:2-4,24)。神はアブラハムに〈イサクから出る者があなたの子孫と呼ばれる〉と言われた(同21:12)。その唯一の特別な「祝福」はイサクから息子ヤコブに受け継がれている(創世記27:29, 28:3-4,13-14, 32:30, 35:11-12)。このヤコブの別名が「イスラエル」である(同32:29, 35:10)。
ところが、イスラム教徒の聖典=クルアーン(コーラン)では、アブラハムの世継ぎがエジプト出身の女奴隷ハガルの子イシュマエルに替えられている(クルアーン2:125-127)。生まれたのはイシュマエルの方がイサクより先ではあるが……。
旧約聖書の諸文書は紀元前に書かれたものであり、クルアーンが書かれたのは紀元後7世紀である。クルアーンは旧約聖書を部分的に原材料として用いているが、イシュマエルの子孫を自称するムハンマド(マホメット)やアラブ人に都合よく内容を改竄して、記されたのである。
3.神の祝福はイスラエルだけのものか
創世記21章によれば、イシュマエルとイサクが幼少の頃に、一つのトラブルが起こっって、二人は離れることとなった。
〈アブラハムはイサクの乳離れの日に盛大な祝宴を開いた。サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、アブラハムに訴えた。「あの女とあの子を追い出してください。あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません」。このことはアブラハムを非常に苦しめた。その子も自分の子であったからである。神はアブラハムに言われた。「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。すべてサラが言うことに聞き従いなさい。あなたの子孫はイサクによって伝えられる。しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。彼もあなたの子であるからだ」。
アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさ まよった。革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の灌木の下に寝かせ、「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。神は子供の泣き声を聞かれ、天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。「ハガルよ、どうしたのか。恐れることはない。神はあそこにいる子供の泣き声を 聞かれた。立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。わたしは、必ずあの子を大きな国民とする」。神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。神がその子と共におられたので、その子は成長し、荒れ野に住んで弓を射る者となった。彼がパランの荒れ野に住んでいたとき、母は彼のために妻をエジプトの国から迎えた〉(創世記21:8-21)
イシュマエルは〈野ロバのような人となり、……彼はすべての兄弟と対立して暮らすようになる〉(創世記16:12, 25:18)。〈イシュマエルの子孫が住んだのは、ハビラからエジプトに近いシュルまでの、アシュルに向かう地域であった〉(同25:18)。
イシュマエルが生きた状況は厳しいように見える。けれど、神はハガルに対して〈私はあなたの子孫を大いに増やす〉と約束された(同16:10)。そして神はイシュマエルについて〈私は彼を祝福し、子孫に恵まれる者とし、その子孫を大いに増やす。……彼は十二人の族長をもうけ、私は彼を大いなる国民とする〉と約束された(同17:20, 21:18)。神は、イサクの息子ヤコブ(イスラエル)と同様に、イシュマエルにも族長となる12人の息子たちを与えて、彼らの子孫にも大きな祝福を約束しておられるのである(創世記16:10, 17:20, 21:13,18, 25:12-18)。我々はこのことにも留意が必要である。
実際、今日の世界において、イシュマエルの子孫を自称するアラブ人は、西アジア、アラビア半島、北アフリカなどに広がり、人口はおよそ4億人に及ぶ。また、イスラム教はアーリア系のイラン人やインド人、テュルク系のトルコ人、マレー系のインドネシア人など世界に広がり、今日ムスリム(イスラム教徒)は世界人口の4分の1、およそ20億人もいると言われている。
なお、創世記には、イサクとイシュマエルが争ったという記録は無い。アブラハムが死去した時に、彼らは一緒に父の葬りをしている(創世記25:7-10)。
4.イスラエルが受け継いだ祝福
さて、イサクにはエサウとヤコブという双子の兄弟が生まれた。彼らは激しい跡目争いをした。
〈イサクは年を取り、目がかすんで見えなくなってきたとき、上の子のエサウを呼んで言った。「息子よ」。彼が、「はい」と答えると、イサクは言った。「御覧、私は年を取って、いつ死ぬか分からない。だから、狩りの道具、弓矢を持って野に行き、私のために獲物を捕って来てくれ。そして私の好きなおいしい料理を作り、それを持って来て、私に食べさせてほしい。死ぬ前に私自ら、お前を祝福したいのだ」〉(創世記27:1-4)
エサウが獲物を捕りに野に出かけている間に、イサクの妻リベカがヤコブに入れ知恵をした。エサウは毛深いので、子ヤギの皮を身につけて、彼になりすまし、自分が作ったおいしい料理をイサクのところに持って行け、と言うのである。ヤコブはそれに従い、エサウが受け嗣ぐはずであった「祝福」を奪い取ってしまった。
イサクはヤコブを祝福してこう言った。
〈ああ、わが子の香りは、主が祝福された野の香りのよう だ。
神があなたに、天の露と肥沃な地を、
豊かな穀物と新しいぶどう酒を、与えてくださるように。
もろもろの民はあなたに仕え、諸国の民はあなたにひれ伏すように。
あなたは兄弟の主となり、母の子らはあなたにひれ伏すように。
あなたを呪う者は呪われ、あなたを祝福する者は祝福される〉(創世記27:27-29)
こうしてヤコブは、神がアブラハムに約束した「祝福」を受け継いだ。エサウが狩りから戻った時には、時すでに遅し。エサウはヤコブをひどく恨み、彼を殺そうと決心した。それを知った母リベカは、ヤコブを彼女の兄ラバンのもとへ逃がした。
それから二十年後、ヤコブは家族と奴隷と家畜を連れて、帰郷した。ヤコブは兄を恐れて、七度地にひれ伏した。〈するとエサウは走り寄ってヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた〉(同33:4)。ふたりは和解することができたのである。
それからしばらく後に、神がヤコブに現れ、彼を祝福してこう言われた。
〈あなたの名はもはやヤコブとは呼ばれない。イスラエルがあなたの名となる。……私は全能の神である。産めよ、増えよ。あなたから一つの国民、そして諸国民の集まりが起こり、あなたから王たちが出る。私は、アブラハムとイサクに与えた土地をあなたに与える。また、あなたに続く子孫にこの土地を与える〉(同35:10-12)
こうしてヤコブからイスラエル12部族が生まれることなった。そのうちの一つユダ族が中心となってユダヤ人が形成されることとなる。
一方、兄エサウは三人の妻を持ったが、そのひとりは〈イシュマエルの娘でネバヨトの姉妹バセマトである〉(同36:3)。エサウは死海の南方、セイル山地に住み、彼の子孫がエドム人となる。
5.アブラハムの子孫とは誰か
創世記には、「アブラハムの子孫」として祝福にあずかる第三の者たちがいることが、明記されている。それは「地上のすべての氏族」(創世記12:3,28:14)、「多くの国々の民」(同17:4-6)、「地上のすべての国の民」(同18:18, 22:18, 26:4)である。
〈主はアブラムに言われた。「あなたは生まれた地と親族、父の家を離れ、私が示す地に行きなさい。私はあなたを大いなる国民とし、祝福し、あなたの名を大いなるものとする。あなたは祝福の基となる。あなたを祝福する人を私は祝福し、あなたを呪う人を私は呪う。地上のすべての氏族はあなたによって祝福される」〉(創世記12:1-3)
アブラハムからおよそ2000年後の紀元後1世紀中葉に、これらの創世記の記録を根拠として、全世界の「異邦人」(ユダヤ人以外の民族)が神の民に加わる時代が来た、と主張する男が現れた。それは使徒パウロである。
アブラハム(旧名アブラム)は子が無いまま老齢になったため、家僕を養子として跡継ぎにしようと考えた。ところが神である主は彼に〈あなた自身から生まれる者が跡を継ぐ〉と言われた(創世記15:4)。〈アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた」(同15:6)。老夫婦の死んだような体から約束の子イサクが生まれたのである。
パウロはこの創世記のテキストを根拠として、いわゆる信仰義認の教理を打ち立てた。
〈それは、「アブラハムは神を信じた。それが彼の義と認められた」と言われているとおりです。ですから、信仰によって生きる人々こそアブラハムの子孫であるとわきまえなさい。聖書は、神が異邦人を信仰によって義とされることを見越して、「すべての異邦人があなたによって祝福される」という福音をアブラハムに予告しました。それで、信仰による人々は、信仰の人アブラハムと共に祝福されるのです〉(ガラテヤの信徒への手紙3:6-9)
〈こうして、恵みによって、アブラハムのすべての子孫、つまり、律法に頼る者だけでなく、彼の信仰に従う者も、確実に約束にあずかれるのです。アブラハムは、神の前で、私たちすべての者の父であって、「私はあなたを多くの国民の父とした」と書いてあるとおりです。彼はこの神、すなわち、死者を生かし、無から有を呼び出される神を信じたのです〉(ローマの信徒への手紙4:16-17)
今や〈口でイエスは主であると告白し、心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、あなたは救われるからです。人は心で信じて義とされ、口で告白して救われるのです〉(ローマ10:9)。
ユダヤ教は、改宗を希望する異邦人に対して、割礼や律法の遵守という条件を課した。ところが、キリスト教は無条件で神の「恵みのみ」、人の「信仰のみ」で誰でも救われる、あらゆる民族・あらゆる国の民が救われる、としたのである。
パウロが説いた次のフレーズは、当時の世界において革命的であった。
〈あなたがたは皆、真実によって、キリスト・イエスにあって神の子なのです。キリストにあずかる洗礼(バプテスマ)を受けたあなたがたは皆、キリストを着たのです。ユダヤ人もギリシア人もありません。奴隷も自由人もありません。男と女もありません。あなたがたは皆、キリスト・イエスにあって一つだからです。あなたがたがキリストのものであるなら、とりもなおさず、アブラハムの子孫であり、約束による相続人です〉(ガラテヤ3:26-29)
今日、キリスト教徒は全世界に広がり、およそ25億人、世界人口のおよそ3分の1を占めている。
6.天にあるエルサレム
キリスト教徒がめざす「約束の地」は地上のエルサレムではない。それは天にあるエルサレムである。
〈あなたがたが到達したのは、シオンの山と生ける神の都、天のエルサレム、無数の天使たち、天に登録されている長子たちの大集会、すなわち教会、すべての人の審判者である神、完全な者とされた正しい人たちの霊、新しい契約の仲介者イエス、それに、アベルの血より優れたことを語る注がれた血です〉(ヘブライ12:22-24)
アブラハムがめざし、最後に到達した約束の地は、天にある都エルサレムであった。
〈信仰によって、アブラハムは、他国人として約束の地に寄留し、同じ約束を共に受け継ぐイサク、ヤコブと共に幕屋に住みました。アブラハムは、堅固な土台の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し、建設されたのは、神です〉(ヘブライ11:9-10)
〈彼らはさらにまさった故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。……事実、神は、彼らのために都を用意しておられたのです〉(同11:16)
イエス・キリストが再臨される時に、天にある都エルサレムが降ってくる。その時に「約束の地」が完成されるのである。
〈また私は、新しい天と新しい地を見た。最初の天と最初の地は過ぎ去り、もはや海もない。また私は、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために装った花嫁のように支度を整え、神のもとを出て、天から降って来るのを見た。そして、私は玉座から語りかける大きな声を聞いた。「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となる。神自ら人と共にい て、その神となり、目から涙をことごとく拭い去ってくださる。もはや死もなく、悲しみも嘆きも痛みもない。最初のものが過ぎ去ったからである」〉(ヨハネの黙示録21:1-4)

7.ユダヤ教徒もイスラム教徒もキリスト教徒も
こうして人類の歴史と聖書において表された神の遠大な計画を俯瞰するときに、宗教・宗派・国籍・民族の違いを超えて、神が万民を救い、祝福しようとされていることに、我々の目は開かれる。ただし、その救いを実現する道は一つだけ。十字架で死んで、復活したイエスをキリスト(救い主)と信じることである。
ユダヤ教徒は、まだメシア(キリスト)が来ていないと思っているが、彼らが待ち望んいるメシアがあの「ナザレのイエス」であることを、やがて知ることになる。
〈真実な証人にして死者の中から最初に生まれた方、地上の王たちの支配者、イエス・キリストから、恵みと平和があなたがたにあるように。私たちを愛し、その血によって罪から解放してくださった方に、私たちを御国の民とし、またご自分の父である神に仕える祭司としてくださった方に、栄光と力が世々限りなくありますように、アーメン。見よ、この方が雲に乗って来られる。すべての人の目が彼を仰ぎ見る。ことに、彼を突き刺した者たちは。地上の部族は皆、彼のために嘆き悲しむ。然り、アーメン〉(ヨハネの黙示録1:5-7)
〈彼らは新しい歌を歌った。
「あなたは、巻物を受け取り、その封印を解くのにふさわしい方です。
あなたは、屠られて、その血により、神 のために
あらゆる部族と言葉の違う民、あらゆる民族と国民の中から人々を贖い
彼らを私たちの神に仕える御国の民、また祭司となさったからです。
彼らは地上を支配するでしょう」〉(同5:9-10)
イスラム教徒は、終末時代に救世主マフディーが現れて、世界に正義と平和をもたらすと信じているが、旧約聖書が預言している救世主はイエス・キリストである。我々キリスト者は、イエス・キリストにあって全世界の民が一つとなり、完全な平和が実現することを証ししつつ、異教の人々と共に平和を創り出す者でありたい。
〈平和を造る人々は、幸いである
その人たちは神の子と呼ばれる〉(マタイ5:9)


日本バプテスト同盟 門真キリスト教会
2026年2月8日 主日礼拝 説教 金井望牧師
*********************
「いざローマへ」(使徒言行録28章1〜16節)
*********************
【聖書テキスト】
使徒 28.1-31
【中心聖句】
パウロは彼らを見て、神に感謝し、勇気づけられた。(使徒28:15)
【説教要旨】
1.親切な人々
パウロ一行が乗った船は漂流して、マルタ島の沖に漂着した。そこは現在、「聖パウロ湾」と呼ばれている。船は浅瀬に乗り上げて壊れた。乗員は全員、岸まで泳いで、なんとか無事に上陸した。時は11月であり、冷たい雨と風に彼らの身は凍えた。
すると、この島に古くから入植していたフェニキア系の住民が、彼らに大変親切にしてくれた。たき火を焚いて彼らを暖め、家に招き入れてくれたのである。
神は異教徒や信仰の無い人たちをも用いて、私たちキリスト者を助けてくださる。
2.主のいやしのわざ
一行がたき火にあたっていた時に、パウロが薪を火にくべると、その中からまむしが出てきて、彼の手に咬み付いた。住民は、ギリシア神話の正義の女神ディケーが彼を罰したのだ、と思った。しかし、パウロがまむしを振り落として、何の害も受けないので、今度は住民が「この人は神だ」と言い出した。
主イエスは弟子たちにこうおっしゃった。「蛇やさそりを踏みつけ、敵のあらゆる力に打ち勝つ権威を、わたしはあなたがたに授けた。だから、あなたがたに害を加えるものは何一つない」(ルカ10:19)。「手で蛇をつかみ、また、毒を飲んでも決して害を受けず、病人に手を置けば治る」(マルコ16:18)。パウロも主イエスの権威と力によって守られていたのである。
その後、近くに住んでいた島の長官プブリウスがパウロたちを歓迎して、三日間、手厚くもてなしてくれた。彼の父親が熱病と下痢で苦しんでいたため、パウロはその父親に手を置いて祈り、病をいやした。パウロが他の病人たちもいやしたので、島の人々から大変感謝された。人々はパウロ一行に必要な物を持ってきてくれた。
神は今も、選び遣わした者たちを最後まで守ってくださる。そして神は私たちを通して周囲の人々にも祝福を与えてくださる。
3.信仰の兄弟姉妹の交わり
それから3か月間、パウロの一行はマルタ島で冬を越した。春になって船便が再開されたので、彼らはイタリアに渡っていった。プテオリに入港すると、パウロたちはその町で信仰の兄弟姉妹たちを見つけ、7日間そこで交流を楽しんだ。
そこから一行がローマに向かって陸路を進むと、ローマの兄弟たちが途中の町々まで迎えに来てくれた。パウロは彼らと会ったことを、神に感謝し、勇気づけられた。
こうしてパウロはローマに到着し、一軒の家に幽閉されることとなる。一緒に困難な旅を乗り越えてきた弟子たちやローマの兄弟姉妹たちの存在が、パウロには大きな慰めとなり、励ましとなり、助けとなった。
私たちも主にある兄弟姉妹の交わりを大切にして、困難を乗り越え、宣教を進めていきたい。
