KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

聖書のメッセージやキリスト教の論説、社会評論などを書いています。

福音主義

バプテスト教会のDNA〈英米篇〉【目次】

日本バプテスト同盟 この連載記事では、日本バプテスト同盟が生まれた歴史的事情をふまえて、バプテスト教会のDNA――歴史的に形成され、継承されつつ変化してきた固有の性質を伝える情報――について英米を中心として考察したく思います。 ■■■■■■■■■■■■■■ 目…

ルターの十字架の神学/隠された神

マルティン・ルター 筆者はこの小論で、ハイデルベルク討論において明らかにされたマルティン・ルターの啓示論について考察したく思う。このテーマにおいてキーワードとなるのは、「隠された神」と「十字架の神学」である。Ⅰ.隠された神と啓示された神 1.…

金井塾ご案内(2020年5月)

金井塾 ご案内(2020年5月)金井塾は、福音主義の信仰に立って、牧師・信徒説教者・教会学校教師をめざす方々に必要な聖書教育と神学教育を行っています(超教派)。日本基督教団のCコースなど教師検定試験を受験する方々に、最適な個別指導を行っています…

聖書信仰の問題ってナニ?

【序】問題の経緯 年末の26日に藤本満師が「『聖書信仰とその諸問題』への応答1」という連載ものの記事を山﨑ランサム和彦師のブログで発表されました。これは、日本の福音派の聖書学徒には、必読の重要なエッセイです。 『聖書信仰とその諸問題』への応答…

LGBTについて

杉田 水脈 (@miosugita) | Twitter 杉田発言の波紋 LGBTに関する杉田水脈(すぎたみお)議員の発言が今、波紋を呼んでいます。ここ数日、左派やリベラル派の政治家・マスコミ・市民運動家などが一斉に、杉田議員に対する批判を繰り広げています。 LGBT(…

ルターと神の母マリア

11月6日(月)から8日(水)までお茶の水クリスチャンセンターで日本福音主義神学会 第15回全国研究会議が開催されました。今回のテーマは『3つの「のみ」の再発見 ~宗教改革500年によせて~』というものでした。 www.facebook.com 日本福音主義神学会部会研究…

金井塾 ご案内

金井塾は、福音主義の信仰に立って、 牧師・信徒説教者・教会学校教師をめざす方々に必要な聖書教育と神学教育を行っています(超教派)。 日本基督教団のCコースなど教師検定試験を受験する方々に、最適な個別指導を行っています。 礼拝や集会に出張して、…

聖書深読み

■四色ボールペン聖書読解法 この写真に写っている聖書は、私が10歳の時に父からもらったものです。小磯良平画伯の挿し絵が挟まれているのが、良かったのでしょう。私は、この聖書のテクストのほぼ全体に、4色の色鉛筆でサイドラインを引きました。 【黄】…

パウロと第二神殿期ユダヤ教

最近、New Perspective(s) on Paul(NPP)について日本福音主義神学会やクリスチャン新聞などで解説や批評が為され、N.T.ライトの著書が和訳されて発行されたこともあって、関心を持たれる方々が広がっているようです。kanai.hatenablog.jphttp://kanai.hate…

聖書翻訳と信条

新改訳聖書 第3版 1.新改訳聖書の改訂現在、新日本聖書刊行会と日本聖書協会が、それぞれ聖書翻訳事業を行っています。新日本聖書刊行会は2016年度に『新改訳聖書』の改訂版を発行する予定です。 公式ウェブサイトを見ると、『新改訳聖書』の特長として次…

ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】(1)

V.ヴァイタ著『ルターの礼拝の神学』【要約】 Vilmos Vajta 博士はハンガリーに生まれ、スウェーデンで学び、ドイツ・ストラスブールにあるルーテル世界連盟のエキュメニカル・インスティテュートの主事として活躍した人物である。彼が“Die Theologie des G…

日本の伝道と教会形成について

1.伝道至上主義の問題 私は、日本のキリスト者の皆様に、「伝道至上主義」の間違いに気づいていただきたい、という個人的な願いを持っています。それは、伝道の重要性を否定するということではありません。伝道至上主義の弊害を克服して、より良い宣教と教…

今、日本の政治を考える(1)

1.政治という作業政治や行政というものは、日々緊迫した問題が次々に発生する国際社会と国内社会の現実に向き合って、様々なファクターを考慮し計算し連絡・調整・協議を重ねて決断を下し、問題を処理していく仕事です。白か黒か、賛成か反対か、正か誤か…

実在論と唯名論がキリスト教に与えた影響について

序 西洋中世のスコラ学において、普遍的なものと個々の事物の関係について論争があった。いわゆる「普遍論争」である。 一方において、「普遍的なものが個物に先だって存在する」という主張が為された。これが「実在論」(Realism)である。これに反対して、…

福音主義における聖書釈義について(JETS研究会議 感想)

日本福音主義神学会 第14回全国神学研究会議テーマ:「福音主義神学、その行くべき方向 - 聖書信仰と福音主義神学の未来 -」 Evangelical Theology, Where Should We Be Going ?日 時:2014年11月4日(火)〜11月6日(木)会 場:関西聖書学院(奈良県生駒市…

小島伊助 名言集

バックストン、ウィルクスに代表される松江バンド、日本伝道隊、そして日本イエス・キリスト教団の信仰の本質を、教団初代委員長・小島伊助師はズバリ断言しています。 「福音とはただ教理だけではない。福音とは何であるか、すなわち御子イエス・キリストで…

なぜ日本イエス・キリスト教団では幼児洗礼を行っていないのか

幼児洗礼 - Wikipedia 筆者は関西聖書神学校を卒業してから、日本イエス・キリスト教団の教職となり、8年間伝道牧会をした後、神戸ルーテル神学校のM.Div課程で学んでおります。伝道牧会をしながらなので、十分な時間はとれないのですが、ここでの学びは非…

聖書のみ!(聖書と信条の規範性について)

1.「規範する規範」と「規範された規範」 「聖書のみ」。これは宗教改革の基本原理の一つである。ルターやメランヒトンは神の言葉である聖書の権威によって、ローマ教皇の権威に対抗し、ローマ教会の教えと実践の誤りを批判した。人の言葉に絶対的な権威を…

幼児洗礼についてどう考えるか

幼児洗礼 - Wikipedia キリスト教には多くの教派がありますが、「洗礼」(浸礼、バプテスマ)という基本的な儀礼に関しては、「幼児洗礼」を行う教派と「成人洗礼」を行う教派、洗礼を行わない教派に大別できます。幼児洗礼とは一般的に、信者である両親が、…

預言・聖書・教会・神学

1.どうしたら、神のみ心を知ることができるか私たちキリスト者は、神のみ心にかなった、正しい選択をしたい、あるいは、しなければならない、と思っています。では、何によって、どのようにしたら、神のみ心=ご意志を知ることができるのでしょうか。これ…

ホーリネス運動とリバイバリズム(日本イエス・キリスト教団のルーツ 04)

この2月に、日本の各地でケズィック・コンベンションが開催されています。日本イエス・キリスト教団の母体である日本伝道隊は、1903年に本場・英国のケズィック・コンベンションにおいて持たれた祈り会から始まったミッションです。ケズィック・コンベンシ…

バックストンは教会形成に関心が無かったのか(日本イエス・キリスト教団のルーツ03)

B. F. バックストンは「教会形成に関心が無く、説教の目標は個人の回心と聖霊による「きよめ」に集中する」という意見があります(山口陽一「日本プロテスタント・キリスト教史における説教」『福音主義神学 第43号』21頁、2012年)。これは全くの誤解です!…

「現代のパウロ解釈を考える」(福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議 の感想)

先日、2012年11月19日(月)に、日本福音主義神学会 西部部会 秋季研究会議が、神戸神学館で行われました。 今回のメインテーマは「現代のパウロ解釈を考える」というもので、New Perspective on Paul (以下、NPPと略す)を積極的に評価する見地から鎌野直…

関西聖書神学校と日本イエス・キリスト教団の信仰的立場について(日本イエス・キリスト教団のルーツ02)

1.聖書はこう言っている! 「ルターはこう言った。カルヴァンはこう言った。ウェスレーはこう言った。聖書はこう言っている」。 関西聖書神学校の初代校長であり、半世紀にわたって校長を務めておられた沢村五郎師は、このように教えておられた、と私は父…

「約束による相続人」ガラテヤ人への手紙3章15~29節

【金言】もしあなたがたがキリストのものであれば、それによって アブラハムの子孫であり、約束による相続人なのです。(ガラテヤ3:29) 1.約束の有効性 パウロはこれまで、律法の行いではなく、キリストに対する信仰によって人は義と認められる、と説い…

「信仰による祝福」ガラテヤ人への手紙3章1~14節

【金言】このことは、アブラハムへの祝福が、キリスト・イエスによって 異邦人に及ぶためであり、その結果、私たちが信仰によって約束の御霊を受けるためなのです。(ガラテヤ3:14) 1.律法か信仰か、肉か御霊か 3章からいよいよ本論に入る。 パウロはま…

キリスト者の聖潔について(マルティン・ルターの著作より)

わたしたちの主であり師であるイエス・キリストが、「悔い改めよ……」[マタイ4・17]と言われたとき、彼は信ずる者の全生涯が悔い改めであることを欲したもうたのである。(ルター『贖宥の効力を明らかにするための討論』提題一、) この悔い改めは、キリ…

キリスト者の聖潔について(ジャン・カルヴァンの著作より)

キリストとの神秘的結合について語られるのを聞くとき。聖潔がそれに至る道であることをわれわれは思いおこすべきである。 聖潔は、われわれがそれによって、神との交わりを獲得する功績ではなく、われわれをキリストに結合させ、彼に従うことができるように…

『教会福音讃美歌』について

教会福音讃美歌 『教会福音讃美歌』という新しい讃美歌集が発行された。これを見て、疑問に思ったことがある。 (1)なぜ文語体の「主の祈り」や「使徒信条」がそれぞれ二つずつ掲載されているのか? 『讃美歌21』のように文語体と口語体で違う形のものが複…

メランヒトンとカルヴァン

1.宗教改革の4大人物ドイツの宗教改革において中心となったのは、ルターやメランヒトンなどルター派の人々であった。 スイスの宗教改革においては、ツヴィングリやカルヴァンなど改革派の人々が中心となった。 ■■■■■■■■■■■■ マルティン・ルター(1483年頃…