IT社会のトレンドについて考察してみようと思います。
まず、ここ20年ほどの間にITの覇者となった企業の戦略の変化を、コンシューマー中心の視点で簡単にまとめてみます。
【IBM】は、1980年代から90年代にかけてハードウェア(PC/AT)とOS(DOS/V, OS/2)、ソフトウェアを扱って、ビジネスとコンシューマー両方の事業を展開していたが、ハード部門は売却して、企業向けのビジネスソリューションに集中した。
【Microsoft】は、1980年代から90年代にかけてOS(MS-DOS, Windows)で覇権を握って、MS-Officeなどソフトウェアでも独占的な地位を獲得。ネットやハードウェア(Surface)にも手を伸ばしている。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1210/31/news101.html
【APPLE】は、1980年代から90年代にかけてハードウェア(Macintosh)とソフトウェアのセットで事業を続けて苦戦したが、2000年代に携帯端末(iPod, iPhone, iPad)で圧倒的なシェアを獲得。Macが息を吹き返し、ネット事業が拡大している。
【Google】は、2000年代にネット検索で覇権を握り、ネットの王者となったが、OS(Android)や各種のソフトウェア、さらにハードウェア(Nexus)にまで手を伸ばしている。
http://www.google.co.jp/nexus/7/
こうして見ると今、iPad、Nexus、Surfaceなどタブレット型の端末が重要な戦場になっていることがわかります。
実際、たとえば、電車に乗っている人たちの様子を見ると、どうでしょうか? かつてはガラパゴス・ケータイを使っている人が多かったのですが、ここ1〜2年の間にスマホ派が圧倒的に増えました。そして、今、より画面が大きいタブレットを使う人が増えています。
タブレット市場では iPad のシェアがダントツです。ただし、9.7インチのディスプレイを持つ iPad は、女性が好む小さめのバッグには入れにくいですし、650 g 超の重さがあるので、片手では扱えません。そのため、 7インチのAndroid モデルのタブレットが、最近よく売れるようになりました。
【Samsung】の GALAXY Tab の7インチモデルは 380g ほど。Google の Nexus 7 は340 g 、【Amazon】の Kindle Fire HD は 395g です。これなら、通勤電車で立ちながら見るのも、苦にならないでしょう。
http://www.samsung.com/jp/consumer/mobilephone/mobilephone/tablets
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B008UAAE44/ref=famstripe_kt
そこで、APPLEも 7.9インチ・ディスプレイの iPad mini を出さざるを得なくなったわけです。mini の Wi-Fiモデルは、なんと 308 g です!
これらのタブレットは、何に使われているのでしょうか? ここ1〜2年の間に、スマホやタブレットの普及と共にユーザーを急増させているのが、【Twitter】や【Facebook】など SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。Google も Google+ というSNSを始めました。
筆者は、 SNS が持つ、大きなポテンシャルに注目しています。インターネットの時代におけるハードウェアやソフトウェアの主たる役割は、サービスの基盤を提供することです。ユーザーにとってより重要なのは、サービスの内容とクオリティーです。
この先、IT業界のバトルは、どのような展開を見せるでしょうか? 生き残るのはどこか? 覇者となるのは、どこでしょうか?