日米安保条約は、共産主義(マルクス・レーニン主義)勢力=ソビエト連邦・中華人民共和国・北朝鮮の拡張を防ぐことを主たる目的として1951年に制定され(旧安保条約)、1960年の改定を経て(新安保条約)、日米同盟体制が強化されてきました。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 - Wikipedia
在日米軍基地、在日米軍専用施設は、沖縄県の面積の約10%、沖縄本島の面積の約18%を占めています。米軍をこれほど沖縄に集中させる必要があるのか、という疑問は、長年にわたって続いています。
米軍関係者の沖縄県民に対する暴行事件は後を絶たず、とりわけ今回(4月28日発生)の強姦・殺人・死体遺棄という凶悪な犯罪が起こるに及んでは、沖縄県民・日本国民の怒りが爆発するのは当然でしょう。これは許されない悪です。
この事件が発覚してすぐに、「沖縄から米軍基地を全面撤去する」ことを訴える発言が、民間人のみならず、公職にある人たちからも出ました。心情的には理解できます。しかし、政治や行政の要職にある方々には、深慮の上、責任ある発言をしていただきたく願います。
琉球朝日放送 報道制作部 ニュースQプラス » 嘉手納基地前で4000人が抗議
沖縄における米軍人・軍属による度重なる凶悪犯罪に抗議するとともに日米地位協定の抜本的改正と在沖米軍基地全面撤去を求める要請
問題のポイントは、沖縄の米軍基地は不要か、ということです。ソビエト連邦は1991年に解体されましたが、中国の超大国化によって、新たな冷戦時代に入ったという見方もあります。
もし、米軍が沖縄から完全に撤退したならば、中国の軍拡が著しいため、数年のうちに、自衛隊だけでは中国軍の進攻を防ぐことができなくなります。
ただし、私見では、沖縄の米軍基地は、縮小されていくでしょうけれど、完全な撤去は無いでしょう。それでも、国防政策においては、中国の沖縄侵略について、少なくとも対策を検討すべきでしょう。
なぜなら、中国に沖縄(琉球)の領有権を主張する言論が実際にあり、中国政府は沖縄で秘密工作を続けていると思われるからです。
中国の沖縄での秘密工作とは その1 米調査委員会が暴いた活動 | NEXT MEDIA "Japan In-depth"[ジャパン・インデプス]
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「米軍基地撤去」が完全に実現して、沖縄が中国軍に占領されたら、どうなるでしょう?
中国共産党政府は、戦後70年間、今日に至るまでジェノサイド(民族抹消行為)を繰り返し行ってきました。文化大革命(1966-1976年)においては、30万人のモンゴル人が虐殺されたと言われます。内モンゴル自治区では殺戮だけでなく、モンゴル人に対する強姦や暴行が横行しました。モンゴル人は強制移住させられ、母国語の使用が禁止されました。
少数民族に対する虐殺・虐待は、新彊ウイグル自治区やチベット自治区などでも行われてきました。
中国共産党政府が今でもキリスト教会・キリスト教徒を迫害していることは、よく知られた事実です。
ローマ法王もたじろぐ「反キリスト」中国の教会弾圧 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
中国政府は、13億の人民を養い、経済発展を続けるために、海外から膨大な量の食料と資源を輸入する必要があります。そのために近年、中国は特に海軍を強化して、海洋進出を行っています。
東シナ海と南シナ海で、中国が領土・領海を拡大しようとしていることは明らかです。中国政府は、1992年に尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島を中国の領土であると規定した「領海法」を施行しました。
中国人民解放軍は「第一列島線」というラインを設定しています。第一列島線は、九州、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島を結ぶラインです。このラインの内側は、有事にあたって中国の海軍と空軍が必ず制海権・制空権を保持する、というのです。それを目標として、中国軍は戦力を整備し、作戦活動を練成しています。中国政府はその区域を「海洋領土」と呼び、そこで海底資源など様々な調査を行っています。
尖閣諸島の問題はよく知られていますが、要するに、中国は東シナ海と南シナ海において公然と侵略を進めているのです。
中国共産党政府の支配下に置かれることを、誰が望むでしょうか。それを望まないのであれば、「米軍基地完全撤去」というイデオロギーの宣伝戦から距離を置くべきでしょう。米軍基地を縮小するとしても、実際にどの程度の軍事力を沖縄に配備しておく必要があるのか、よくよく計算する必要があるでしょう。
中国13億人の数の力は、やはり圧倒的なものです。中国が経済成長を続けて、軍拡を進めていけば、そのパワーは米国に迫り、その地位を脅かすことになるでしょう。片や日本は少子化・超高齢化・人口減少・財政危機の時代です。今、国の舵取りを過てば、大変なことになるでしょう。
それにしても、日本の中国に対するODA(政府開発援助)は、1979年から開始されて、2013年度までの累計で総額3兆6000億円以上になっています。その中国が毎年、国家予算の1割以上を軍事費に使って、日本の安全保障体制を脅かしているのですから、たまったもんじゃありませんね (> <;)
中国の軍事力や日中の軍事的衝突については、ここ数年、様々な研究が為されており、いくつかのシミュレーションが発表されています。現時点では、駐日米軍+自衛隊の軍事力は、中国軍に対して明らかに優位を保っています。また、現時点では、「自衛隊だけでも中国軍の侵攻を防ぐことができる。尖閣諸島を占拠されても奪還できる」という意見もあります。しかし、問題はこれから後です。
中国は国家予算の1割以上を軍事費に使って、急速に軍事力を強化しています。その一方で、駐日米軍は、米国議会の決議による「リバランス」政策によって、縮小せざるを得ません。ただし、米国政府は東アジアの安全保障を重視しているため、世界の他の地域に比べれば、その縮小の規模は小さいでしょうけれど。
私見では、日米中が全面戦争を起こす可能性は小さいと思います。なぜなら、経済的に世界のトップ3を占めるこの三国は、経済的相互依存性が高いからです。懸念されるのは、中国軍の尖閣諸島や沖縄、南西諸島に対する短期間の侵攻です。
たとえば、2016年11月8日の米国大統領選挙でトランプ候補が勝って、本当に駐日米軍を大規模に縮小したら、どうなるでしょうか。それは中国に対して悪いシグナルを送ることになりかねません。