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系図の福音

f:id:nozomu-kanai:20171204205819j:plain写真:横山匡

2017年12月3日(日)主日礼拝説教@神戸大石教会

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【聖書朗読】マタイの福音書1章1〜17節

マタイ 1.1-25
【説教題】「系図の福音」 金井 望 牧師
【中心聖句】
アブラハムの子孫、ダビデの子孫、イエス・キリストの系図の書。(マタイ1:1私訳)
ヤコブはマリアの夫ヨセフを生んだ。彼女によって、キリストと呼ばれるイエスが、生まれた。(マタイ1:16私訳)
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【説教要旨】

 今日からアドベント待降節)が始まる。これは、2000年前に神の御子イエス・キリストがこの世に来られたことを覚える時であり、これから起こるキリストの再臨に備える時でもある。キリスト来臨の意味について学んでいきたい。

 

  1.新しい人類と新しい天地

 ギリシア語の原文ではマタイ福音書の最初は「Biblos geneseōs」である。

Matthew 1:1 Interlinear: A roll of the birth of Jesus Christ, son of David, son of Abraham.
これは、70人訳聖書(ヘブライ語聖書のギリシア語訳)の創世記2:4「(天地)創造の経緯」と 5:1「(アダムの)歴史の記録」を踏襲している。 

Kata Biblon - Genesis 2 - Greek Septuagint Interlinear

Kata Biblon - Genesis 5 - Greek Septuagint Interlinear

「創世記」(Genesis)という書名は、この「geneseōs」に由来する。すなわち、キリストの降誕によって、アダムから始まった人類に代わる「新人類」の歴史が始まり、この天地に代わる新天新地の創造が始まったのである(ローマ5:12-19参照)。 

ローマ 5.1-21

 

  2.ユダヤ人の王

 日本には戸籍という世界的に珍しい制度がある。「住民票の現住所と異なる実家の住所に本籍地がある」というケースが、珍しくない。戸籍を調べれば、家系図を作ることが可能である。日本最古の系図とされる海部(あまべ)氏系図は、西暦1世紀頃にまで遡ると言われる。

勘注系図 1 はじめに
 ところが、西暦の始まりとなったイエス・キリストは、さらに二千年前のアブラハムにまで遡る系図を持っている。

マタイ 1.1-25

千年前のダビデ王から始まるユダの王家に、イエス・キリストは歴史上の事実として降誕したのである。

 

  3.罪人たちの末裔

 イエスの系図に4人の女性の名がある。この女性たちは異邦人であり、スキャンダラスな問題に関係している。タマルはカナン人であり、舅ユダによって子をもうけた(創世記38章)。ラハブはカナン人の遊女であった(ヨシュア記2章)。ルツは、イスラエル人が憎むモアブ人であった(ルツ記)。バテ・シェバはダビデ王と姦淫の罪を犯した(第二サムエル11章)。

 聖なる神の御子イエスは、「ご自分の民をその罪から救う」(1:21)ために、罪人たちの末裔として、この世に下ってこられたのである。このキリストの謙卑によって、地上のいかなる悪人でも救われることができる道が、開かれた(ピリピ2:6-11)。

ピリピ 2.1-30


 この大いなる救い主イエスを讃えよ!