KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

聖書のメッセージやキリスト教の論説、社会評論などを書いています。

バプテスト教会のDNA〈英米篇〉【目次】

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日本バプテスト同盟

 

 この連載記事では、日本バプテスト同盟が生まれた歴史的事情をふまえて、バプテスト教会のDNA――歴史的に形成され、継承されつつ変化してきた固有の性質を伝える情報――について英米を中心として考察したく思います。 


■■■■■■■■■■■■■■ 目 次 ■■


序論 日本バプテスト同盟のアイデンティティー 

kanai.hatenablog.jp
第1章 正統的キリスト教

kanai.hatenablog.jp

1.1 見えざる公同教会
1.2 正統的キリスト教
1.3 聖書の正典
1.4 コルプス・クリスチアヌムと新プロテスタンティズム
1.5 ランドマーク主義という虚構

第2章 プロテスタント
2.1 マルティン・ルター
2.2 聖餐論争
2.3 カルヴァン主義とアルミニウス主義
2.4 アナバプテスト

第3章 バプテスト教会の成立 
3.1 ピューリタニズム
3.2 ジェネラル・バプテスト
3.3 パティキュラー・バプテスト
3.4 フラーイズム
3.5 アメリカのバプテスト

第4章 アメリカのバプテスト教会の発展 
4.1 大覚醒
4.2 海外宣教
4.3 日曜学校運動
4.4 南北の分裂と戦争
4.5 社会的福音
4.6 マーティン・ルーサー・キング

第5章 リベラリズムファンダメンタリズムの間
5.1 自由主義
5.2 根本主義
5.3 新正統主義
5.4 新福音主義
5.5 原理主義

結論 日本バプテスト同盟のDNA 

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www.baptist-faith-community-bfc.net

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kgujesus.kanto-gakuin.ac.jp

kgulibrary.kanto-gakuin.ac.jp

The Baptist Heritage (English Edition)

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見えてくるバプテストの歴史

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  • 作者:松岡 正樹
  • 発売日: 2011/06/01
  • メディア: 単行本
 
近代バプテスト派研究

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福音宣教の使命に生きる教会

福音宣教の使命に生きる教会

  • 作者:松田 和憲
  • 発売日: 1999/01/25
  • メディア: 単行本
 

 <参考文献>
日本バプテスト同盟『JAPAN BAPTIST』(旧号)
日本バプテスト同盟総務部委員会編『宗教法人 日本バプテスト同盟 諸規程集』日本バプテスト同盟、2017年
日本バプテスト同盟編『信徒の手引き』日本バプテスト同盟、2017年、改訂11版
メアリング、ハドソン著、大竹庸悦、藤原三千男訳『バプテスト教会の形成』日本バプテスト同盟、2011年、第3版
出村彰監修、バプテスト史教科書編纂委員会編『見えてくるバプテストの歴史』関東学院大学出版会、2011年

関東学院大学キリスト教と文化研究所バプテスト研究プロジェクト編『関東学院大学 キリスト教と文化研究所 研究論集① バプテストの歴史と思想研究』関東学院大学出版会、2017年
関東学院大学キリスト教と文化研究所バプテスト研究プロジェクト編『関東学院大学 キリスト教と文化研究所 研究論集② バプテストの歴史と思想研究』関東学院大学出版会、2018年
関東学院大学キリスト教と文化研究所バプテスト研究プロジェクト編『関東学院大学 キリスト教と文化研究所 研究論集③ バプテストの歴史と思想研究』関東学院大学出版会、2019年
村椿真理著『バプテストの教会契約(約束に生きる真の教会をめざして)』ヨルダン社、1993年
村椿真理著『バプテストの伝統・信仰(わたしたちの教会)』日本基督教団神戸聖愛教会、1991年
斎藤剛毅編『資料・バプテストの信仰告白ヨルダン社、1980年
高野進著『近代バプテスト派研究』ヨルダン社、1989年
H・ホイーラー・ロビンソン著、高野進訳『バプテストの本質』ヨルダン社、1985年
松田和憲著『福音宣教の使命に生きる教会』新教出版社、1991年
日本基督改革派教会信条翻訳委員会訳『ウェストミンスター信仰告白新教出版社、1989年、13版
古谷圭一著「イングランド市民革命とプロテスタント各教派の成立」『キリスト教と文化』第14号、関東学院大学キリスト教と文化研究所、2016年
ビル・J. レナード著、矢野眞実訳「ジョン・スマイスとトマス・ヘルウィス:恩寵の即興演奏者」バプテストフォーラム(WEB)、2017年
津田真奈美著「ジョン・スマイスとトマス・ヘルウィスの「分裂」をめぐって(ヤーノル説の検討による考察)」『人文学と神学』第14号、2018年
B. R. ホワイト著、金丸英子訳『17世紀イギリス・バプテスト』バプテストフォーラム(WEB)、2017年、2020年
金丸英子著「ジョン・スマイスによる「信仰者のバプテスマ」理解の一考察(『野獣の性格(The Character of the Beast)』における「Actual Faith」の概念から)」『神学論集』第69巻 1号、西南学院大学、2012年
金丸英子著「初期イングランド・バプテストの協働(浸礼のバプテスマ理解とその執行を巡る論争)」、バプテストフォーラム(WEB)、2017年
金丸英子著「第二ロンドン信仰告白に見る、17世紀イギリス・バプテストの教派アイデンティティーについて(1)(ウェストミンスター信仰告白との比較から)」『西南女学院大学紀要』第9号、西南女学院大学、2005年
金丸英子著「アメリカのバプテストと讃美歌」『神学論集』第68巻 1号、西南学院大学、2011年
金丸英子著「南部バプテストと反ミッション主義者たち」『神学論集』第75巻1号、西南学院大学、2018年
フスト・ゴンサレス著、石田学・岩橋常久訳『キリスト教史 下巻』新教出版社、2003年
井上正己監訳『キリスト教2000年史』いのちのことば社、2000年
小田垣雅也著『キリスト教の歴史』講談社学術文庫、1995年
荒井献編『使徒教父文書』講談社文芸文庫、1998年
マルティン・ルター著、徳善義和ほか訳『ルター著作選集』教文館、2012年
F・ビュッサー著、森田安一訳『ツヴィングリの人と神学』新教出版社、1980年
出村彰著『再洗礼派(宗教改革時代のラディカリストたち)』日本基督教団出版局、1970年
天利信司著『バプテスト(その名称、信仰、使命、特色)』バプテスト文書刊行会、1995年
ジョン.T.クリスチャン著、天利信司訳『バプテスト教会史(初代から現代にいたる新約教会の歴史)』バプテスト文書刊行会、1979年
E.H.ブロードベント著、古賀敬太訳『信徒の諸教会(初代教会からの歩み)』伝道出版社、1989年
M・B・ワインクープ著、大江信訳『ウェスレアン=アルミニアン神学の基礎』福音文書刊行会、1972年
エルンスト・トレルチ著、内田芳明訳『ルネサンス宗教改革岩波文庫、1959年
エルンスト・トレルチ著、深井智朗訳『近代世界の成立にとってのプロテスタンティズムの意義』新教出版社、2015年
赤木善光著『宗教改革者の聖餐論』教文館、2005年
大木英夫著『ピューリタン(近代化の精神構造)』中央公論社、1997年18版
尾形守著『リバイバルの源流を辿る』マルコーシュ・パブリケーション、2000年
W.E.アレン著、岸義紘訳『リバイバルの歴史(その記録と秘訣)』荻窪栄光教会出版部、1973年
立石靖夫著『リバイバル人物伝(福音宣教に生涯を捧げた人々)』新生宣教団、1999年
チャールズ・フィニー著、角笛出版翻訳委員会訳『上よりの力』角笛出版、2000年
R. A. ベルツ著、森渓川訳『チャールズ・フィニー』新生運動、1980年
森渓川著訳『ドワイド・ムーデー』新生運動、1980年
カール・バルト著、小川圭治、岩波哲男訳『ローマ書講解』平凡社ライブラリー、2001年
K. バルト、E. トゥルナイゼン著、加藤常昭訳『神の言葉の神学の説教学』日本基督教団出版局、1988年
小田垣雅也著『現代のキリスト教講談社学術文庫、1996年
野村達朗編著『アメリカ合衆国の歴史』ミネルヴァ書房、1998年
森孝一著『宗教からよむ「アメリカ」』講談社選書メチエ、1996年
森本あんり著『アメリカ・キリスト教史(理念によって建てられた国の軌跡)』新教出版社、2006年
森本あんり著『反知性主義アメリカが生んだ「熱病」の正体)』新潮選書、2015年
木田献一、高橋敬基著『聖書解釈の歴史(宗教改革から現代まで)』日本基督教団出版局、1999年
W. E. ホーダーン著、布施濤雄訳『現代キリスト教神学入門』日本基督教団出版局、1969年、1997年(14版)
カール・F・ヴィスロフ著、鍋谷堯爾・勝原忠明訳編『現代神学小史』(改訂新版)いのちのことば社、1999年
宇田進著『福音主義キリスト教福音派いのちのことば社、1993年
青木保憲著『アメリ福音派の歴史(聖書信仰にみるアメリカ人のアイデンティティ)』明石書店、2012年
藤本満著『聖書信仰(その歴史と可能性)』いのちのことば社、2015年
ジョージ・エルドン・ラッド著、榊原康夫、吉田隆訳『新約聖書と批評学』聖恵授産所出版部、1991年
山本貴裕著「ファンダメンタリズムと金ぴか時代のアメリカ文化」『広島大学 欧米文化研究』1号、広島大学、1994年
栗林輝夫『ブッシュの「神」と「神の国アメリカ(宗教が動かす政治)』日本基督教団出版局、2003年
三浦俊章著『ブッシュのアメリカ』岩波新書、2003年
飯山雅史著『アメリカの宗教右派中公新書ラクレ、2008年
アリスター・マグラス著、島田福安訳『キリスト教の将来と福音主義いのちのことば社、1995年
A.E.マクグラス『ポスト・モダン世界のキリスト教(21世紀における福音の役割)』教文館、2004年
ミラード・J・エリクソン著、安黒務訳『キリスト教教理入門』いのちのことば社、2019年
G.M.バーグ/D.ラウバー編、本多峰子訳『だれもが知りたいキリスト教神学Q&A』教文館、2016年
八木谷涼子著『なんでもわかるキリスト教大事典』朝日文庫、2012年
日本基督教協議会文書事業部キリスト教大事典編集委員会編『キリスト教大事典』教文館、1973年(2版)
小林貞夫著『日本基督教団 実録 教団紛争史』メタ・ブレーン、2011年
キリスト教年鑑編集部編『キリスト教年鑑2006年版』キリスト新聞社、2005年

 

復活の福音(第一コリント15:1-22)

日本バプテスト同盟 西岡本キリスト教
2020年4月26日 復活節第3主日礼拝


2020年4月26日「復活の福音」第一コリント15:1-22


■聖書朗読
  コリントの信徒への手紙 一 15章1~22節(新共同訳) 


 1
兄弟たち、わたしがあなたがたに告げ知らせた福音を、ここでもう一度知らせます。これは、あなたがたが受け入れ、生活のよりどころとしている福音にほかなりません。2 どんな言葉でわたしが福音を告げ知らせたか、しっかり覚えていれば、あなたがたはこの福音によって救われます。さもないと、あなたがたが信じたこと自体が、無駄になってしまうでしょう。3 最も大切なこととしてわたしがあなたがたに伝えたのは、わたしも受けたものです。

すなわち、キリストが、聖書に書いてあるとおりわたしたちの罪のために死んだこと、4 葬られたこと、また、聖書に書いてあるとおり三日目に復活したこと、5 ケファに現れ、その後十二人に現れたことです。6 次いで、五百人以上もの兄弟たちに同時に現れました。そのうちの何人かは既に眠りについたにしろ、大部分は今なお生き残っています。7 次いで、ヤコブに現れ、その後すべての使徒に現れ、8 そして最後に、月足らずで生まれたようなわたしにも現れました。

9 わたしは、神の教会を迫害したのですから、使徒たちの中でもいちばん小さな者であり、使徒と呼ばれる値打ちのない者です。10 神の恵みによって今日のわたしがあるのです。そして、わたしに与えられた神の恵みは無駄にならず、わたしは他のすべての使徒よりずっと多く働きました。しかし、働いたのは、実はわたしではなく、わたしと共にある神の恵みなのです。11 とにかく、わたしにしても彼らにしても、このように宣べ伝えているのですし、あなたがたはこのように信じたのでした。


 12
キリストは死者の中から復活した、と宣べ伝えられているのに、あなたがたの中のある者が、死者の復活などない、と言っているのはどういうわけですか。13 死者の復活がなければ、キリストも復活しなかったはずです。14 そして、キリストが復活しなかったのなら、わたしたちの宣教は無駄であるし、あなたがたの信仰も無駄です。15 更に、わたしたちは神の偽証人とさえ見なされます。なぜなら、もし、本当に死者が復活しないなら、復活しなかったはずのキリストを神が復活させたと言って、神に反して証しをしたことになるからです。16 死者が復活しないのなら、キリストも復活しなかったはずです。17 そして、キリストが復活しなかったのなら、あなたがたの信仰はむなしく、あなたがたは今もなお罪の中にあることになります。18 そうだとすると、キリストを信じて眠りについた人々も滅んでしまったわけです。19 この世の生活でキリストに望みをかけているだけだとすれば、わたしたちはすべての人の中で最も惨めな者です。


 20
しかし、実際、キリストは死者の中から復活し、眠りについた人たちの初穂となられました。21 死が一人の人によって来たのだから、死者の復活も一人の人によって来るのです。22 つまり、アダムによってすべての人が死ぬことになったように、キリストによってすべての人が生かされることになるのです。

 

■説教  「復活の福音」 金井 望

 

  1.この福音によって救われる


 この「コリントの信徒への手紙 一」は、紀元55年の初め頃に、使徒パウロが第3回宣教旅行(53-57年)の途中、エフェソ(エペソ)で書いたものです(使徒19章)。パウロは第2回宣教旅行(49-52年)において、50年の秋から52年の春までコリントに滞在して伝道しました(使徒18章)。パウロが自らの意思で一つの場所にこれほど長く滞在するのは、珍しいことでした。パウロは、地中海世界全体に宣教を拡大していくために、コリント(Korinthos)の町が重要だと思っていたのです。

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パウロの宣教旅行

 コリントはギリシア本土とペロポネソス半島を結ぶ地峡に位置しており、エーゲ海アドリア海を結ぶ東西貿易の中継地として栄えた国際商業都市でした。2万人を収容する大劇場など優れた建築物がたくさんありました。コリントの名が広く知られていたのには、もう一つ理由がありました。この町の西南にそびえるアクロ・コリント山(標高575m)の頂上に女神アフロディトの神殿があり、神殿売春婦である巫女が1000人もいたのです。「コリント」は道徳的な退廃の代名詞でした。


ja.wikipedia.org

Laudate | 聖書を読もう!コリントの信徒への手紙

アクロコリントス - Wikipedia

アプロディーテー - Wikipedia


 パウロは、コリントの教会の問題を人づてに聞いていました(1:11)。教会の中に分裂が生じ、信徒の中には道徳的に堕落する者があり、裁判沙汰が起こっていました。偶像崇拝は信徒たちにとって身近な問題でした。コリント教会の信徒たちには霊的な賜物が豊かに与えられていましたが、教会の秩序が崩れて、混乱が生じていました。.
.
 パウロは、この「コリントの信徒への手紙 一」の1章から14章まで、こうした諸問題について指導してきましたが、15章ではコリントの信徒たちの根本的な、最も重要な問題にメスを入れました。それは、パウロがほんの数年前に伝えた「福音」の根本的・中心的・最重要な「キリスト」の真理を、彼らが正しく理解して、しっかりと保持しているのか、怪しいという問題でした。倫理的な問題が生じた場合、その背景に教理・世界観の歪みや誤謬、無理解が存在するケースが、多いのです。1節から3節の前半まで読んでみましょう。

1 兄弟たち、わたしがあなたがたに告げ知らせた福音を、ここでもう一度知らせます。これは、あなたがたが受け入れ、生活のよりどころとしている福音にほかなりません。2 どんな言葉でわたしが福音を告げ知らせたか、しっかり覚えていれば、あなたがたはこの福音によって救われます。さもないと、あなたがたが信じたこと自体が、無駄になってしまうでしょう。3 最も大切なこととしてわたしがあなたがたに伝えたのは、わたしも受けたものです。

 使徒パウロは歴史上最大の影響力を持った神学者・宣教者です。けれども彼が人々に告げて回った「福音」は彼が考えだしたものではありません。それは「わたしも受けたものです」とパウロは正直に告白します。この最初期キリスト教の宣教の使信を「ケーリュグマ」と言います。それを正確に伝えて、保持することが、死活問題でした。何しろこの地方は古くから偶像崇拝が盛んであり、さらに世界中から様々な宗教が流入していたため、キリスト教も混淆宗教となり、異端となる者が少なくなかったのです。

 聖書・キリスト教の根本的な教理は、神とキリストから直接的に与えられた真理ですから、これに足すことも引くことも、他のものを掛け合わすことも、してはなりません。キリストの福音を正しく理解して信じ、その真理に堅く立ち続けることが大切です。「この福音によって救われる」からです。

  2.イエス・キリストの死と復活は事実である


 では、私たちを救う「福音」の内容は何でしょうか。3節から11節までを読んでみましょう。

(1) キリストが、聖書に書いてあるとおりわたしたちの罪のために死んだこと
(2) 葬られたこと
(3) 聖書に書いてあるとおり三日目に復活したこと
(4) ケファに現れ、その後十二人に現れたこと
(5) 次いで、五百人以上もの兄弟たちに同時に現れました。
(6) 次いで、ヤコブに現れ、その後すべての使徒に現れ、
(7) そして最後に、月足らずで生まれたようなわたしにも現れました。 

 ここで第一に重要な事実は、紀元30年の春にエルサレム城外で、神の御子イエス・キリストが十字架で処刑されて死んだこと。それが私たちの身代わりであって、私たちの罪――神の律法に違反したために、神に対して負っている負債――を、キリストが贖って――完済して――くださったことです。これは旧約聖書に預言されていたとおりであって、神の御計画によって成された一方的な恵みです。

 

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イエス・キリストの十字架刑

 第二に重要な事実は、イエス・キリストが死後三日目に復活したことです。「葬られた」というのは、仮死状態で蘇生したのではなくて、完全に死んだ状態であったイエスが陰府(よみ、ハデス)からよみがえったことを意味しています。イエスは脇腹に槍を刺されて、水と血が流れ出たため、蘇生は不可能でした(ヨハネ19:34)。

 

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イエス・キリストの復活

  第三に重要な事実は、復活したイエス・キリストが40日間、使徒たちや他の弟子たち、多くの民衆に、その姿を現わされたことです。ケファ(ペトロ)と主イエスの兄弟ヤコブキリスト教会全体のリーダーとして、特別にここに名が記されています。主イエスの肉の弟たちや妹たち(マルコ6:3)は、復活以前には兄イエスをキリストだとは信じていませんでした(ヨハネ7:5)。ところが、イエスが復活し、昇天した後は、彼らも弟子に加わりました(使徒1:14)。

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キリストの昇天

 第四に重要な事実は、復活されたイエスがその肉体をもって最後に、パウロに現れてくださったことです。大勢いた弟子たちの中でも、イエスの宣教にずっと従ってきた「12弟子」が特別に「使徒」と認められていました。パウロはそうではないばかりか、イエスの弟子たちを捕縛・投獄して死に追いやっていた男です。パウロ使徒としての資格を疑う人たちに対して、パウロはここで弁明している次第です。パウロを最後としてその後は、イエスを直接見た証人として「使徒」と呼ばれる人は絶えました。今日「使徒」を名乗る人たちは偽者です。

 

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The Conversion Of St Paul

  3.キリスト者はキリストと同様に復活する

 イエス・キリストの復活が歴史上の事実であるという真理こそ、私たちキリスト者にとって救いの確かな保証となっています。復活によって、イエスが天から降って来た神の御子キリストであることが、証明されました。イエスが罪の力=死の力を打ち破ったから、私たちは、罪が贖われ、永遠の命が与えられていることを、確信できるのです。

20 しかし、実際、キリストは死者の中から復活し、眠りについた人たちの初穂となられました。21 死が一人の人によって来たのだから、死者の復活も一人の人によって来るのです。22 つまり、アダムによってすべての人が死ぬことになったように、キリストによってすべての人が生かされることになるのです。

 イエスの復活は「初穂」です。イエスは「第二のアダム」「新しいアダム」となりました。イエスは、彼をキリストと信じる者たちに、新しい永遠の命を与えて、霊的に新生させます。イエスも私たちも霊的に「新人類」なのです。

 多くのギリシア人は肉体を悪、霊魂を善と見て、「肉体は霊魂を閉じ込める牢獄だ。死によって霊魂がそこから解放されることが救いだ」と考えました(霊肉二元論)。しかし聖書は、肉体も神が創造した善いものだ、と教えます。私たちは死んでも、キリストが再臨される時に、肉体が復活して、キリストと同様に永遠の栄光の体に変えられます。天国は、食べたり飲んだり歌ったり踊ったりできる楽しい世界です。

 

 この世にあっては、誰もが多くの問題にぶつかり、悩みが絶えません。けれどもイエス・キリストは今も生きておられ、どこまでも私たちと共にいてくださいます。この揺れ動く世界にあって、変わることがない確かな福音の真理に堅く立ち続けましょう。 

 

 

ごあいさつ |西岡本キリスト教

  

キリストを最初に礼拝した羊飼いたち(ルカ2:8-20)

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<聖書朗読> ルカによる福音書2:8-20


 8 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。10 天使は言った。

「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」

13 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。

 14 「いと高きところには栄光、神にあれ、
   地には平和、御心に適う人にあれ」

 15 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、

「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」

と話し合った。16 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。17 その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。18 聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。19 しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。


<説教>「キリストを最初に礼拝した羊飼いたち」


  イエス・キリストが赤子となってお生まれになった日、最初のクリスマスが何月何日であったのか、それはわかりません。クリスマスを12月25日としているのは、一年で最も日照時間が短いこの季節に行われた祭りのなごりです。けれども、この時期は、聖書が語るクリスマスのテーマに最も適合していると思います。すなわち、「暗い闇の世に生きる人々に、明るい希望を与え、いのちを与える救い主を、神が送ってくださった」というのが、クリスマスの重要な意義なのです。

 この世界には霊的な深い闇があります。人の心にも暗い闇があります。私たちも御言葉によってキリストの光を照らしていただきたく思います。

 

  1.主の栄光の輝き


 赤子のイエス様がマリアの胎からお生まれになったその日の夜、ひとりの天使が野にいる羊飼いたちに現れました。すると、神である〈主の栄光〉が周りをまぶしいほど明るく照らしました。

 主の栄光はかつて、モーセが造った幕屋とソロモンが造った神殿に満ちていました(出エジプト40:34-38、歴代誌下5:13-14、7:1-3)。しかし、エズラが再建した第二神殿には、その栄光はありませんでした。ところが、イエス様がお生まれになった時、ベツレヘムの郊外で突然、主の栄光が現れたのです。しかも、その栄光を見たのは、預言者でも王でも祭司でもない、羊飼いたちです。

 この時、〈彼らは非常に恐れた〉。当然です。けれども、天使は彼らに言いました、

「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる」

祭司ザカリアも主の母マリアも、天使が現れた時に恐れを感じました。天使は彼らにも「恐れるな」と言って、喜ばしい知らせ=「福音」を伝えました(1:12-13、30)。

 恐れに支配されやすい弱い私たちを救うために、今も主は私たちのところに来てくださり、光を照らしてくださいます。

 

  2.家畜部屋に生まれたキリスト


 イエス様が誕生された頃にちょうど、ローマ〈皇帝アウグストゥス〉の勅令によって〈最初の住民登録〉が行われました。人々は皆、自分の出身地に行って、そこで登録をしなければなりませんでした。日本で言えば、戸籍の本籍地のようなものでしょう。

 ベツレヘムダビデ王の出身地ですから、その子孫が大勢集まっていたでしょう。人口が1000人に満たない小さな町ですが、この時ばかりは人があふれていました。そのためヨセフとマリアは「宿屋」に泊まることができず、マリアは家畜小屋で出産をすることになってしまいました。

 「宿屋」と訳されているギリシア語の単語には、「客間」という意味もあります。この小さな町に宿屋があったでしょうか。おそらくヨセフとマリアは親戚の家を訪ねたものの、客間はすでに満員で、家畜部屋に泊まることになったのでしょう。当時のその地方の民家では、牛やロバ、ヤギなどが土間にいて、居間や客間は高床式になっており、動物の体温で人は暖をとっていたようです。

 イエス様が生まれたのは馬小屋だとよく言われますが、聖書には「飼い葉桶」が出てくるだけで、馬小屋とは書かれていません。この物語で重要なシンボルとなっている飼い葉桶は、石灰岩をくり抜いて造られたものでした。その冷たい石の飼い葉桶に藁を敷き詰めて、赤子のベッドとしたのです。

 この地方は石灰岩でできた丘陵地のため、洞窟がたくさんあり、それらは住居や家畜部屋として利用されていました。イエス様が生まれた場所と言われる聖誕教会は、洞窟の上に建てられています。

 

  3.キリストの降誕を知らされた羊飼いたち


 さて、町の喧騒をよそに、羊飼いたちは郊外の丘で〈野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をして〉いました。そもそも1000年前、ダビデ王は少年時代に、羊飼いをしていました。だのにこの時代には羊飼いは、戒律を守らない穢れた人と見なされて、ユダヤ社会から疎外されていました。

 牧羊のために羊飼いは安息日を守らない。羊の体液に触れて穢れているから、神殿や会堂の礼拝に参加することができない。他人の土地に生えている草を、自分の羊に食べさせている。野宿しているから、家の女性たちを守ることができない。学校に通わないので、文字が読めない――。そんな理由で彼らは人々から蔑視されていたのです。

 しかし、天使はこの羊飼いたちに告げます。

「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである」

 神は俺たちを見捨てていない! 俺たちのために救い主を送ってくださった! ――これは本当に喜ばしい知らせでした。
 そこにさらに〈天の大軍が加わり、神を賛美して〉言いました。


「いと高きところには栄光、神にあれ、
地には平和、御心に適う人にあれ」

 

 神の見方は、人とは異なります。神の御心は、このような「罪人」とされた人たちを救うことにあったのです。


  4.平和をもたらす福音


 天使たちが離れ去った後、羊飼いたちは、

「すぐに、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」

と互いに語りました。

〈そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当て〉ました。なんと、牛や馬などが口を突っ込み、よだれを垂らして餌を食べる飼い葉桶が、〈主メシア〉の〈しるし〉だとは!〈主〉は神の御名であり、〈メシア〉は神が特別に任命して遣わす救世主です。


 〈その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせ〉ました。これまで羊飼いたちは、町の人々の交わりから疎外されていました。しかし、今や彼らは町の人々に積極的に関わっています。

 イエス・キリストの福音は、神と人の間に和解をもたらすばかりでなく、人と人の間にも〈平和〉をもたらします。

 

 神の御子イエス様は、神から離れて、社会の片隅に潜んでいる、心寂しい罪人の友となられました。家畜部屋に生まれて、飼い葉桶に寝ていたイエス様は、私たちの心にも宿ってくださいます。

 「その名はインマヌエル(神は私たちと共におられる)と呼ばれる」(マタイ1:23)。このすばらしい救い主の降誕を共に喜び、祝いましょう。

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