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カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

【推薦書】『ブッダのことば』

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【推薦書】

中村元訳『ブッダのことば:スッタニパータ』岩波文庫
 

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

 

 

生・老・病・死。人間の根源的な四つの苦しみ「四苦」を、どうしたら解決することができるのか。ガウタマ・シッダールタ=いわゆる「釈迦」は考え抜いて、苦行を重ね、瞑想して悟った。
(「シャカ」「釈迦」は本来、部族の名。「釈迦牟尼」「釈尊」は「シャカ族の聖者」の意。「ブッダ」「仏陀」は「悟った人」の意)。


若い人が年老いていく、健康な人が病にかかる、生けるものが死んでいく。これが道理であり、自然だ。
若いこと、健康であること、生きていることが当たり前だと思って、それに執着するから、それを失うことを恐れるのだ。

執着心を捨てて、あるがままを受け入れるなら、心は静かな平安を得ることができる。

これが諦観であり、涅槃である。

 

この釈迦の透徹した無常観には、神も仏も永遠も輪廻転生も入り込む場がありません。彼の世界観は現代で言えば、「エントロピーエコロジー」でしょう。

 

釈迦は、悟りを開いて輪廻を解脱し、涅槃の境地に至った「超人」的存在とされます。しかし、彼は一神教的な意味での「神」ではありません。しかし、なかなか執着を捨てられぬ凡夫は、釈迦を神格化して拝んでしまうのです。

 

釈迦は「自分が死んだら、遺骨はガンジス川に流すように」と弟子に命じたようです。ところが、釈迦の入滅後、彼の神格化が始まり、釈迦の遺骨=仏舎利を神聖視して、仏塔に収め、崇めるようになりました。仏舎利のインフレーションが起こって、釈迦の体はウルトラマンよりも大きくなったようです。

 

釈迦のみを崇拝する上座部仏教小乗仏教)は、スリランカ東南アジアなどで今も続いています。

 

釈迦の言葉は長年にわたり口頭で伝承されました。それが文書化して原始仏典になったのは、釈迦が入滅してから二百年以上も後です(ガウタマ・シッダールタの生没年については諸説ありますが、紀元前5世紀頃でしょう)。それゆえ、確実にそれが釈迦自身の言葉だと言うことはできません。

 

大乗仏教が生まれたのは、釈迦の入滅から500年くらい経った後、すなわち紀元前後、場所はインドの北西部・ガンダーラ(現在のアフガニスタン東部からパキスタン北西部にかけて存在した古代の王国)あたりです。

 

大乗仏教では、釈迦以外にも、無数の菩薩(求道者)が成道して、ブッダ(覚者)=如来(完徳者)になっていると考えます。そして、インドやペルシアの宗教、ユダヤ教キリスト教、その他諸々の宗教から影響を受けて、無数の救済者=を生み出しました。特に神秘主義的な影響を受けた仏教は、密教と呼ばれます。

 

大乗仏教は広大無辺なシンクレティズム(宗教混淆)ですから、一つの宗教とは言えません。日本の仏教の99パーセントは大乗仏教です。中央アジア、中国、朝鮮を経て日本に伝わった大乗仏教は、日本独自の信仰と文化を持つ、日本仏教や新興宗教に発展しています。