松江バンドの野外伝道(日本イエス・キリスト教団のルーツ06)
<大江邦治師が語られた逸話>
バックストン先生が松江の赤山で義塾を開かれておった時分のことです。
先生は股引きをはいて、麦わら帽子をかぶり、日本人が着るような服装をして、おっしゃった。
「みんな、野外伝道に行こう」
笹尾先生も米田豊先生も私も、みんな若かった。バックストン先生は、私らを連れて毎日のように、松江の町に伝道に行っておられました。
ところが、ある時、20人近くの子どもたちが、袋の中に石や砂を詰めて、私らに投げてきたんです。
わしゃ、もうびっくりして、ほんと泡食って逃げた。結核を患ってたんだけども、身の危険を感じて、もう無我夢中で逃げた。若い人たちはみんな逃げたんです。
ところが、バックストン先生は、ただひとり、じっとその砂煙の中に立っていらっしゃいました。そして、両手を挙げて、涙を浮かべて祈られました。
「どうぞこの松江の人たちを救いたまえ」
「この何も知らない子どもたちを救いたまえ」
本当にキリストの霊に満たされた人の姿を見ました。
(参照:山田晴枝「ステパノの殉教」月刊ベラカ2013年3月号 第111号 p.11〜12)
<聖句>
そのとき、イエスはこう言われた。
「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分ではわからないのです」
(ルカ福音書23:34)