【金言】ですから、兄弟たちよ。ますます熱心に、あなたがたの召されたことと 選ばれたこととを 確かなものとしなさい。(ペテロ第二 1:10)
1.ペテロの遺言
この書は、使徒ペテロが紀元66年頃にローマで書いた手紙=回覧状と思われる。宛先は「ペテロの手紙第一」と同じく、小アジアの各地にいる信徒たちだろう(3:1)。
最初期のキリスト教会において、<使徒>は特別な立場にあった。特にペテロは、全体のリーダーとして大きな責任を負っていた。
<私がこの幕屋を脱ぎ捨てるのが間近に迫っているのを知っている>と彼は記す(1:14)。間もなく捕らえられて殉教することを、覚悟していたのである。この手紙はペテロの遺言と言えよう。
2.異端的偽教師の出現
「内憂外患」という言葉がある。第一の手紙では敵は外側にいたが、第二の手紙では敵が内側にいる。城外の敵を防ぐよりも、城内の反逆者に対処する方が困難である。
ペテロはこの手紙で「知る」「知ること」「知識」といった語を多用する。これは本書のキーワードである。
――神秘的な体験によって得られる「知識」によって、人は本来の自己が神と同質であることを認識する。そして、魂は肉体という牢獄から脱出して、至高神のもとに帰ることができる――。
問題となっていたのは、このようなグノーシス主義の原初的な思想運動のようである。
3.神の召しと選び
この問題に対処するために、ペテロはまず、我々キリスト者が神によって<召されたことと選ばれたこと>を確認し、確信して、信仰を確立するように、と勧めた。
私たちが救われたのは、自分の知識や体験によるのではない。
それは、神が
①私たちを選び、
②世から召し出して、
③救い主イエス・キリストを知らせ、
④主イエスが成し遂げられた贖いの恩恵によって私たちの罪を赦し、きよめて、
⑤新しい霊的生命を与え、神の子として生まれ変わらせてくださった
からである。
神の絶対的な主権によってなされたみわざであり、神の一方的で完全な恵みである。
その目的・目標は、私たちが、
<世にある欲のもたらす滅びを免れ、神のご性質にあずかる者となる>ことであり、
<私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの永遠の御国に入る>ことである。
これは神の確かな約束である。
この信仰に堅く立とう!