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カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

集団的自衛権の行使容認について(3)

論説 主張! 軍事・安全保障 ロシア 中国 外交・国際関係 憲法 戦争 政治 韓国 社会倫理 アジア アメリカ キリスト教倫理 帝国主義 日本

  1.何に反対しているのか?

7月1日に集団的自衛権の行使容認閣議決定されたことについて、多数の批判の声があがっています。しかしその中には、集団的自衛権の行使そのものに反対する人もいれば、国会や国民レベルでの話し合いと理解が不十分なまま閣議決定を強行したその政治手法に反対する人もいます。

 

  2.集団的自衛権の行使が必要な場合が実際にある

 

筆者は、集団的自衛権国連憲章に明記された、すべての国が持つ当然の権利であり、わが国もその行使が認められるべきだ、と考えます。

そもそも日米同盟関係にある以上、米軍が攻撃を受けた場合自衛隊がこれを助けるのは当然です。それを日本の防衛国益に必要な場合に限定するとしても、そういう事態は起こりえます。

また、日本が国連平和維持活動に参加する場合においても、共に活動する他国の軍隊が攻撃を受けたときに、自衛隊が実力を行使して助けるのは当然でしょう。

 

  3.憲法自衛隊集団的自衛権について明記すべきだ

 

しかしながら、今回の安倍政権閣議決定に関しては、大いに問題があると考えます。国会国民レベルでの議論を深めて、十分な理解を得ること。その上で、憲法第9条改正して、自衛隊集団的自衛権について明記することが必要だと思うのです。

民主主義立憲主義法治主義シビリアン・コントロールというものは、具体的には、このような手続きを行っていくということです。

国家のあり方を規定する根幹である憲法に、自衛隊集団的自衛権が明記されないままに、閣議決定とその他の法整備によって、この国家の重大事を動かしていく。それこそ国の将来を危うくするやり方ではないでしょうか。

 

  4.時間の猶予が無いほどに、国際情勢は緊迫しているのか?

 

ただし、実際に集団的自衛権を行使するためには、それに必要な法整備2年くらいかかると予想されています。

ましてや憲法改正して、自衛隊集団的自衛権について明記するとなれば、衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成と、国民投票も必要ですから、その議論と手続きにどれほどの時間がかかることでしょうか。

今、日本を取り巻く国際情勢は、そのような時間の猶予が無いほどに、緊迫しているということであれば、今回の安倍政権閣議決定も仕方が無い、と言えるのかもしれません。

実際のところ、日本を取り巻く国際情勢は、どうなっているのでしょうか。ちょうど最近、『平成26年版 防衛白書』が発行されましたので、筆者もこれをじっくり読んでみたいと思っています。

http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/

 

  5.日本周辺の空域と海域の緊張した情勢

 

ここで、『平成26年版 防衛白書』から、気になったところを少し拾い出してみます。


平成25年度の航空自衛隊による緊急発進(スクランブル)の回数は810回ですが、そのうち対中国機が415回、対ロシア機が359回ありました。この10年間、どちらも増加傾向にあります。
http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2014/pc/2014/html/n3111000.html


ロシア東部軍管区には、空軍海軍を合わせて約330機の作戦機が配備されています。ロシアの太平洋艦隊は、ウラジオストクペトロパブロフスクを主要拠点として配備・展開されています。主要水上艦艇が約20隻と潜水艦が約20隻(うち原子力潜水艦約15隻)あり、約28万トンを含む艦艇が約240隻あって、合計約55万トンとなっています。 

http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2013/pc/2013/html/n1144000.html

 

ニューズウィーク』によると、中国は、年に3隻のペースで潜水艦を建造しており、すでに原子力潜水艦28隻を含めて合計51隻の潜水艦を配備しています。中国はロシアから中古の空母を購入して研究していますが、2020年までに3つの空母打撃群を構築する予定です。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/08/post-3354_1.php

 

ジャーナリストから「近年、中露関係の深化が顕著に見られるようになっている」という指摘も為されています。
http://webronza.asahi.com/synodos/2014072200001.html

中国は、北極海航路として欧州諸国との貿易を拡大することを望んでいるので、ロシアとの関係改善・緊密化が重要な課題となっているのです。

 

  6.ロシアの動きを注視せよ!

 

北朝鮮核ミサイル開発や、韓国による竹島の軍事的占領中国の著しい軍備拡張と尖閣諸島周辺での行動については、わが国民に広く知られています。
しかし、日本と東アジアの安全保障に関して、近年はどうも中国北朝鮮韓国の動向に関心が集まり過ぎているきらいがあります。
筆者がそれらに加えて気になっているのは、ロシアの動きです。

 

ロシア軍は8月12日に、国後島択捉島軍事演習を開始しました。東部軍管区の太平洋艦隊航空機空挺軍を含む1000人以上がこれに参加しています。
日本政府は13日、北方領土での演習に抗議しました。ところが、ロシアのジョスキー駐日臨時代理大使は「自国内の演習で問題ない」との認識を表明したのです。
北方領土はもちろん、千島列島の帰属は国際法上、未解決の問題です。それなのにロシアは、わが国の北方領土を自国領として既成事実化しようと、謀っているのです。

 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20140816-OYT1T50120.html

 

  7.クリミア半島の奪取は他人事ではない


ロシアがウクライナ領である南部クリミア半島実力行使で強引に編入したことは、決して他人事ではありません。

欧米諸国はこれに強く抗議していますが、日本政府は消極的です。プーチン大統領の機嫌を損ねたら、北方領土返還の機会を作ることはもはや不可能となる、と考えているからです。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/195469.html

しかし、ロシアの不法行為を許していたら、中国による南沙諸島の占領を責めることができなくなります。そして、それが中国による尖閣諸島占領の正当化につながるでしょう。竹島の問題も無関係ではありません。

幕末から今日に至るまで、ロシアの東アジアへの進出が、日本の存亡に関わる大きな脅威となっており、日本の政治・外交・軍事に大きなプレッシャーを与えてきたことを、忘れてはなりません。

 

こうした世界の現実を踏まえて、日本の集団的自衛権行使の問題が、積極的に「平和を作り出す」方向で解決することを願います。