1.TPPこそ重要な争点だ!
今日、衆議院が解散して、政治家たちは本格的に総選挙に向かって動き出しました。今度の選挙では、脱原発や外交・国防、地方分権など、国の将来を左右する重要な争点が多くあります。TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)もその一つであり、国民の意思・判断を問うべき重大な問題です。
日本がTPPに参加することには、メリットとデメリットの両面があります。経済的な計算で見れば、プラスが大きいのかもしれません。しかし、それでも、エコロジーと安全保障の面から考えて、日本はこれには参加せず、しばらく忍耐すべきだ、と私は考えます。
2.世界的な食糧危機に備えよ!
新興国の経済成長と貧困国の人口爆発、そして地球環境の異変のために、食糧問題と資源問題が今後、極めて深刻になると予想されます。それゆえ、中国は世界の各地で農地や鉱山などを買い漁っているのです。
食糧の価格は、今、安い物でも、様々な事情によって、あっという間に上がります。しかし、一度つぶした田畑はすぐに元には戻りません。整備して、再び収穫を得るまでには、相当時間がかかります。
わが国では農業者の高齢化と後継者不足が深刻な問題となっています。農業生産の企業組織化などによって今、農業の担い手を育てて、確保しておかなければ、国内の農業生産を維持できません。それなのに、TPPによって食糧を海外からの輸入に頼るようになり、国内の農業者を失ったら、いざ食糧危機となったときに、完全にアウトです!
3.大転換期にいることを悟れ!
TPPは黒船来航に次ぐ「第二の開国」だと言う人たちもいますが、今、我々は、大局的な視点で時代の流れを読んで、賢明な判断を下す必要があります。
近年、「資本主義=市場経済は限界に達していて、すでに崩壊の過程に入っている」と言う学者が、経済学や自然科学、哲学など様々な分野にいます。今、世界は大航海時代(15世紀中葉〜17世紀中葉)以来の大転換期にあるのです。我々の発想も転換する必要があります。
大航海時代以来続いてきた「近代(modern)」の文明社会は、その存立の基盤である地球環境・生態系の破壊によって、崩壊の危機に瀕しています。情報社会のグローバル化は今後もどんどん進行するでしょう。しかし、実物経済においては、永続性のある地産地消の循環型・自立自給の経済へと転換しなければ、人類はこの危機を乗り越えることができないでしょう。
4.公的保険を守れ!
保険の問題に関しては、TPPには「公的保険の撤廃を求めない」というルールがあります。公的保険(社会保険)と民間保険は区別して考えるべきです。
戦後、日本の社会保障は、健康保険(医療保険)と国民年金を国民皆保険として、確かな基礎を築きました。高齢化の時代となって、これに介護保険が加わりました。公的保険は、生存権など基本的人権に関わる重要な制度です。この公的保険の分野まで市場開放することは有り得ない、有ってはならないことです。
しかし、国も地方も財政が厳しいため、公的保険の給付が減っていき、国民が民間保険をより重視するようになり、その市場にアメリカの企業がどんどん進出してくるということは、有り得るでしょう。 日本の社会保険制度が実質的に骨抜きにされる可能性も無くは無いのです。
5.アメリカの内政干渉を許すな!
アメリカの政府や連邦議会が直接、日本の政府や国会に介入することは、内政干渉ですから、できないし、してはならない。これが一応「常識」です。しかし、日本の政治家や官僚、学者、経営者、エコノミスト、マスコミなどを使って、間接的に、アメリカに有利な状況を作り出すことは可能です。
太平洋戦争の敗戦後、日本は進駐軍(GHQ)の支配下に置かれました。そして、日本の戦後社会の枠組み作りに、アメリカが介入しました。それ以来、今日に至るまで米軍は日本に駐留しています。それは、ソ連(ロシア)や中国、北朝鮮を牽制するためだけではないでしょう。
アメリカの国民にとって、2001年の9・11(同時多発テロ)は大ショックでしたが、2007年にトヨタがGMを追い抜いて世界一の自動車メーカーとなったことも、相当大きなショックであったと思います。それ以降の米国の政治・経済・外交の動きを観察すれば、それは明らかです。トヨタの2007年1-3月の北米における営業損益は1,620億円の黒字でしたが、2008年の同期には124億円の赤字に陥りました。
結 論
TPPの問題にこのような時代の流れ・背景があることを考慮して、今度の総選挙では、日本(国民)の利益を守れる政党・政治家はどこか・誰か、よく見極めて投票しましょう!!