シリア内戦への軍事介入について
(序)シリア内戦とは
シリア内戦の死者は、すでに10万人を超えました。「化学兵器」(サリン?)が使用された、という情報もあります。アメリカ政府は、早急に軍事介入する方向で、動いています。
今シリアで起きている内戦状態は、「アラブの春」に影響を受けて、2011年1月から始まったものです。その根本的な原因は、1970年の革命以後、ハーフィズ・アル=アサド、バッシャール・アル=アサド父子が大統領として長期にわたって行ってきた独裁政治にあります。
国内の政治問題に外国が介入するのは大変難しいことですが、そうせざるを得ない状況に至ったかと思われます。では、どのような介入の方法が良いのでしょうか。
(1) 国連は動けるか
正論としては、国連の旗の下に多国籍の軍隊を投入して、内戦停止、平和維持活動を行うのがベストでしょう。
しかし、2011年10月と2012年2月に提示された、シリアを非難する国連安保理決議案は、ロシアと中国の拒否権発動によって否決されています。
シリアに関係する諸国の関係は複雑であり、なかなか国連の旗が立てられません。
(2) 多国籍軍の介入は可能か
今回は「化学兵器使用」という特別な問題があります。それが事実であれば、国連安保理を通さずに、NATOあるいはアラブ連盟などが多国籍軍を投入しても、国際的な理解が得られるかもしれません。
しかし、欧州諸国は、「大量破壊兵器」をめぐるイラク戦争の過誤があるため、国軍の投入に国民の支持が得難く、慎重にならざるを得ない状況です。
また、シリア政府や反体制勢力が、多国籍軍の介入をすんなり受け入れるとは思えません。
(3) アメリカの単独行動は支持を得られるか
オバマは、ブッシュ前大統領の単独行動主義に異議を唱え、国際協調路線をとると約束して、大統領になった人物です。それでも今回は、「アメリカ単独ででもシリアに軍事介入する」と言うのですから、よほど覚悟しているのでしょう。勇敢な態度です。
しかし、アメリカが単独で軍事介入した場合、その後、どのような展開になるでしょうか。アメリカが「世界の警察」であると、シリア政府や反政府勢力が認めるでしょうか。
シリアにはキリスト教とイスラム教の長い歴史があり、宗教的・民族的な事情が非常に複雑です。親イスラエル路線を貫いてきたアメリカに対する反発もあるでしょう。
このような諸々の事情があるため、シリアもアフガンやイラクのように泥沼化する危険性が多分にあります。
米国の政界は、単独行動に賛否両論あるようです。米国の世論調査では、軍事行動に賛成と答えた人が42%、反対は50%です。
これは遠い外国の話ではなくて、自分たちの国のあり方が問われる問題だと、我々も考えるべきではないでしょうか。
<米政府 議会や世論も見極め判断へ>
<米・オバマ大統領、シリア武力行使に踏み切る場合の理解求める>
8月31日(土)14時19分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20130831-00000952-fnn-int&1377931221
<シリア 軍事行動への不安高まる><トルコ国境地帯に難民が殺到>