KANAISM BLOG ー真っ直ぐに行こうー

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教会の権能

2018年2月11日 顕現後第6主日 礼拝説教
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【聖書朗読】マタイの福音書16章13〜20節

マタイ 16.1-28

【説教題】「教会の権能」金井 望 牧師

【中心聖句】

わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。黄泉(よみ)の軍閥もそれに打ち勝つことはできません。わたしは、あなたに天国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。(マタイ16:18-19)

Matthew 16:18 Interlinear: 'And I also say to thee, that thou art a rock, and upon this rock I will build my assembly, and gates of Hades shall not prevail against it;

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  1.信仰の告白


 <ピリポ・カイザリヤの地方>はヘルモン山南麗にある岩の多い台地である。ガリラヤ湖北岸から40キロメートルほど北にあり、ヨルダン川の水源地の一つである。ヘロデ大王の息子である領主ピリポがここの町を拡張して、ピリポ・カイザリヤと改称した。「カイザリヤ」は、ローマ皇帝ティベリウスに敬意を表して、ピリポが付けた名である。

カエサレア・ピリピ - Wikipedia

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 この町にはギリシア神話のパン神を礼拝する聖所や皇帝を崇拝する神殿があった。この偶像崇拝の盛んな地で、イエスは弟子たちに「人々は人の子をだれだと言っていますか」とお尋ねになったのである。<人の子>とは来るべきメシヤという意味である。

私がまた、夜の幻を見ていると、見よ、人の子のような方が天の雲に乗って来られ、年を経た方のもとに進み、その前に導かれた。

(ダニエル7:13)

 弟子たちは答えて言った、

バプテスマのヨハネだと言う人がおり、エリヤだと言う人もいます。また他の人たちはエレミヤだとか他の預言者のひとりだ、と言っています

 ガリラヤの領主ヘロデ・アンティパスは、イエスは<バプテスマのヨハネ>のよみがえりではないか、と恐れていた(14:1-2)。<エリヤ>は紀元前9世紀後半に北王国イスラエルで活動した預言者であり、<エレミヤ>は南王国ユダの末期からバビロン捕囚時代にかけて活動した預言者である。エリヤとエレミヤはメシアの先駆けとして再来する、と人々は信じていた(マラキ4:5、第2マカベア2:1-12、エズララテン語版2:18)。

 そこでイエスは彼らに言われた、

それでは、あなたがたは、わたしをだれと言うか

シモン・ペテロが答えて言った、

あなたこそ、生ける神の子キリストです

この答は正しい。命の無い偶像と異なり、イエスこそ<生ける神の子キリスト>、真の救い主である。

 

  2.イエス・キリストの教会

 

 この答を聞いて、イエスは彼に言われた、

ヨナの子シモン、あなたは幸いです。あなたにこの事を示したのは、血肉ではなく、天にいますわたしの父です」。

漁師であるヨナの子シモンは「無学な、ただの人」(使徒4:13)であるが、神が啓示によって彼に真理を悟らせなさったのである。

 イエスは言われた、

そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。そして、わたしはこのの上にわたしの教会を建てます。黄泉(よみ)の軍閥もそれに打ち勝つことはできません」。

<ペテロ>と<岩>(ペトラ)は掛け言葉である。ペテロは12使徒の代表として信仰を告白した。教会の土台は使徒伝来の正統的信仰告白である。

あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエスご自身がその礎石です。(エペソ2:20)

  主イエスは明確な目的と目標をもって宣教を進め、弟子を育成訓練された。その目的・目標とは、キリストの<教会>を建て上げることである。<教会>の原語「エクレーシア」は70人訳聖書でヘブライ語聖書の「カーハール」(イスラエルの会衆)の訳語として使用されたギリシア語である。すなわち、選民イスラエルに代わる新しい神の民を、主は形成しておられたのである。

どうか、この基準に従って進む人々、すなわち神のイスラエルの上に、平安とあわれみがありますように。(ガラテヤ6:16)

 教会は主イエス・キリストのものであり、イエスご自身が今も教会を建て上げておられる。

 

  3.教会の権能

 
 イエスはペテロに言われた。

わたしは、あなたに天国の鍵を授けます。あなたが地上でつなぐことは、天でもつながれ、あなたが地上で解くことは天でも解かれます

 実際にペテロは<天国の鍵>を用いて宣教の扉を開いていった(使徒2:41、10:48)。ただし、この鍵は教会に授けられたものであり、ペテロ個人の所有ではない。

まことに、あなたがたに告げます。何でもあなたがたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたがたが地上で解くなら、それは天においても解かれているのです。(18:18)

 四つの福音書において「エクレーシア」という語が用いられているのは、マタイ福音書の16章と18章だけである。このテキストは、主イエスご自身が直接語られた教会論を伝えており、非常に重要である。

 教会は地上において天国を代表する公的機関である。その権能は極めて重大なものである。死んで復活されたイエスは黄泉を征服された(第一ペテロ3:19、22、エペソ4:8-10、ピリピ2:6-11、コロサイ2:10、13-15、黙示録1:18)。

 教会は<天国の鍵>を用いて、悪魔のもとにある諸勢力を打ち砕き、人々を解放して、神の国に移し入れなければならない。宣教は霊的救出戦なのである。

 私たちも主の助けにより大胆に信仰を告白し、堅固な教会を建て上げて、救霊戦を続けよう。