近ごろ恐ろしいなと思うのは、安保法案に反対することが絶対に正しいかのように、思い込んでいたり、あるいはそう感じさせるような発言をする人がいる、ということです。政治に、絶対的に正しい判断などあるのでしょうか?
平和安全法制等の整備について|内閣官房ホームページ
1960年の安保闘争において、国民は猛烈に日米安保改定=新安保条約に反対しました。結局、岸信介首相(当時)が安保改定を押し切って新条約が成立、その責任をとって岸内閣は総辞職しました。
diamond.jp
しかし、今あの安保改定が不要だったとか、間違っていたとか言う国民がどれほどいるでしょうか。
1960年の安保改定とは具体的に何であったのか。それは不平等条約を平等・対等な関係に改善することでした。十分とは言えませんが。
【旧安保】日本は米軍に基地を貸さねばならないが、米国には日本防衛の義務がない。
【新安保】日本が攻撃されたときは米軍が助け、日本国内の米軍施設が攻撃されたときは日本が助ける。
今年3月に総理府が発表した世論調査の結果によると、「日米安保は役に立っている」という回答が82.9%、「日本の安全は安保条約と自衛隊で守る」という回答が84.6%を占めています。
自衛隊・防衛問題に関する世論調査 2 調査結果の概要 6 - 内閣府
安保闘争の時に反対した国民のほとんどが、後にその必要性を認めたから自民党政権がずっと続いたのです。
1960年の安保改定から55年の長きにわたり、日米安保体制=日米同盟によって我々日本国民は守られて、平和に暮らしてきました。しかし、1945年から1970年まで戦後日本が共産主義勢力によって転覆され、奪われようとしていたことを、今の現役社会人は知っているでしょうか?
http://garo.co.jp/inoue/?p=820
安保闘争で負けた左翼は、その後どうなったでしょうか? 新左翼はゲリラ闘争を展開してクーデターを企て、連合赤軍あさま山荘事件に至る。滅茶苦茶です。
あさま山荘事件 - Wikipedia
今行っているデモで動員をかけている政党や労組は、安保闘争の残党です。デモの参加者に60歳代や70歳代が多いのは、そういう事情です。リベンジだと思ってやっているのです。その中には過激なテロを繰り返した中核派も大勢いるではありませんか。
www.news-postseven.com
ドキュメンタリ宣言 カメラが見た右翼と左翼
安倍晋三首相は岸信介の孫です。また同じような結末かもしれませんが、おかしなことをする人たちが出ないことを願います。
「大勢の国民がこの国の行方を憂慮して、積極的に意思を表しているんだから、いいことじゃないか」という意見も見聞きします。確かにそのプラス面は認められるでしょう。しかし、人間には悪しき欲望があり、狂気があります。大きな集団となった時には、それが増幅される危険性があります。
日本が太平洋戦争に突き進んでいったのは、軍部に対する国民の熱狂的な支持があったからです。それは国粋主義的な教育の効果と言えますが、国民を鼓舞して熱狂させたのは大新聞各社をはじめとするマスコミでした。戦後はそれとは逆で、左翼的な思想運動が東アジアの国々で公教育を支配しており、日本のマスコミにも大きな影響を与えてきました。
戦後、中国、北朝鮮、韓国が行ってきた反日教育は恐ろしいものです。反日思想に染まった大衆には、政府でも抑え難いパワーがあり、それが日本との緊張関係を招いているという面もあります。東アジアでは、テロよりもこの大衆運動の方が恐ろしいのです。
終戦後、GHQが日本人に行った「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(WGIP)は、反日教育と同質のものです。それが終戦後間もない時期に公教育を受けた世代、すなわち今85歳くらいから下の世代に、強力に影響を与えました。いわゆる東京裁判史観=自虐史観と呼ばれる思想が埋め込まれたのです。
http://ironna.jp/article/1818ironna.jp
www.sankei.com
プレスコード - Wikipedia
http://www.pcf.city.hiroshima.jp/virtual/VirtualMuseum_j/visit/est/panel/A4/4104_1.htm#
sahorimatu.exblog.jp
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を開発したのは米国の政府機関であり、それは戦争と戦後処理における重要な心理戦でした。その世界観と歴史観、すなわち東京裁判史観に基いて、終戦後まもなく鳩山一郎や岸信介など一部の政治家が戦犯とされ、政界から追い出されました。米国のエージェントであった吉田茂が自由党党首=首相となって勢力を拡大しました。
しかし、GHQ=マッカーサーは日本の事情を知るにつれて、この国の統治における天皇制の重要性を悟りました。東西冷戦と朝鮮戦争の危機に直面したため、GHQは天皇を政治的に利用し、鳩山一郎や岸信介ら真正保守派を許して、味方に付けました。朝鮮戦争やベトナム戦争へと続く東西冷戦時代に対応するために、米国政府は日本政治の保守化を容認したわけです。
kanai.hatenablog.jp
ところが、米国が作った精巧な心理戦の道具である「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を、左翼勢力=反日勢力が取り込んで、戦後ずっとこれを大いに利用しました。今回の安保法案に対する反対運動にも、その影響が根強く残っているのではないでしょうか。