これは、筆者の属する日本バプテスト同盟に関して書いた提案です。参考まで。
今我が国は少子高齢化・高度情報化・グローバリゼーション・異文化共生といった巨大な変化のただ中にあります。これは日本バプテスト同盟の諸教会にも、顕著に現れている現象です。逆ピラミッドの人口構成ですから、牧師も信徒も少子高齢化が著しく進んでいます。
同盟では近年、牧師がおらず信徒が少なくなった教会が、増加しつつあります。私は、この一年間、関西部会の諸教会を巡回して説教をさせていただき、信徒の皆様の危機感をいくらか共有させていただきました。
厳しい状況ですが、教会のともし火を消してはならないと思います。教会にのみ「天国の鍵」(マタイ16:19)があるからです。教会再建の手立てが早急に必要です! 今ならまだ間に合います。けれども、1~2年後には、再起する体力が無くなっているおそれがあります。
20代・30代・40代の青年・中年信徒が横浜・戸塚の日本バプテスト神学校で3年間、寮生活をしながら修学する――。この従来の人事システムだけでは、引退する牧師の数に対して、神学校新卒者の数が圧倒的に不足します。このままでは無牧師教会の増加と無牧師期間の長期化が避けられません。
「地方消滅」の時代と言われますが、地方圏の若年層や中年層は、進学や就職のためにどんどん東京圏に流出しています。また、ミャンマー(バプテストの信徒が多い)をはじめ外国から東京圏に流入する外国人には、プロテスタントが大勢います。東京圏では宣教を拡大するチャンスがあります。ですから、従来の神学校も継続し、発展させていくべきですが、それだけでは、少なくとも今後5年間は同盟では牧師が著しく不足します。
多くの教会で年金生活者が増加して、現役世代が減少していますから、教会の献金収入は減少傾向にあります。一教会で青年や中年の一牧師を経済的に支えるのは、困難になっています。
この問題の対応策としては、次のような方策が有り得るかと思います。
(1) 一人の牧師が、複数の教会の牧会を担当する。いわゆる「兼牧」ですが、他の教派では今や、これが常態化している教団・連合体が多数となっています。
(2) 複数の牧師・伝道師・信徒伝道者がチームを組んで、複数の教会を牧会する。いわゆる「チーム牧会」ですが、これも珍しくありません。
(3) 信徒伝道者を養成する。
(4) ローコストな年金生活者の伝道師・牧師を新たに養成する。
(5) アメリカン・バプテストなど外国のバプテスト教会から宣教師を招聘する。
(6) 他の教派・教団・連合体から牧師を招聘する。
(7) 地理的に近い教会の合併を進める。他の教団・連合体に属するバプテスト教会との合併も、有り得るかもしれません。
日本バプテスト同盟の規則は、このような様々なケースに対応できる、柔軟で幅の広いものとなっています。けれども、外部に頼らず自力で問題を解決することを重視するならば、信徒伝道者と年金生活の伝道師・牧師を新たに生み出すのが、良策と思います。
個別教会主義、信徒の平等、万人祭司、民主的会衆制、相互の連帯といったバプテストの原則を守りつつ、それを現代日本のコンテクストにおいて有効に用いる道が今、必要になっている、と言えましょう。
【提案】
①関西部会では2020年度に無牧師教会が7つとなるようです。従来の日本バプテスト神学校・関西教室だけでは、信徒伝道者の供給が間に合いません。関西部会独自で信徒聖書学校のごとき教育機関を設置して、信徒伝道者を養成し、継続的にフォローアップを行うのは、いかがでしょうか。
②日本基督教団の補教師検定試験には、大学神学部や神学校を卒業していなくても信徒が受験できる「Cコース」というものがあります。3年かけて受験しますが、私が行っている金井塾では、79 歳でこれに合格して牧師となった塾生がいます。同盟でも同様のコースを創りませんか。
③Skype(スカイプ)などのビデオ通話機能を使って、全国規模で伝道者養成のインタラクティブな通信教育を行い、「Cコース」に似た伝道師検定試験の受験生を生み出していくのは、いかがでしょうか。
【参考】日本基督教団の補教師検定試験「Cコース」の受験科目は次のとおりです。
(1年目) 説教、旧約聖書緒論、新約聖書緒論、 一般宗教史・日本宗教史
(2年目) ギリシャ語初歩、 旧約歴史、 宗教教育、 教会史・教理史
(3年目) 旧約聖書の説教・釈義、新約聖書の説教・釈義、 牧会学(論文) 、旧約聖書神学、新約聖書神学、組織神学 、教憲教規および諸規則・宗教法人法
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