カナイノゾム研究室

聖書のメッセージや社会評論などを書いています。

福音派と共産党の共闘?(4)

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最近、筆者は、①小林多喜二の母・セキの一生を描く三浦綾子著『母』、②プロレタリア文学の金字塔・小林多喜二原作『蟹工船』劇画版、③高橋秀典著『聖書から見るお金と教会、社会』を読みました。

小林多喜二をはじめ、共産党に身を投じた人々の多くが求めたのは、①人間の「尊厳」が社会的に広く認められて、②法律と公権力によって「人権」が守られ、③「貧困」を克服して、④誰もが人間らしい生活ができるようにすることだったのではないでしょうか? しかし、多喜二の「優しい心」は、共産党に入党してから、母親にも理解できないほど変わってしまったように思いました。

ちなみに、三浦綾子さん御自身は、共産主義を支持しておられません。小林多喜二の親族にはクリスチャンが多くいて、お母様もキリスト信仰をお持ちになったようです。

「持っている者はさらに与えられ、持っていない者は持っている物まで取り上げられる」。これは聖書の格言です(マルコ4:25)。

①資本を持つ者が、資本を持たない労働者を「搾取」することによって、さらに富を集積していく。②拝金主義によって、人間の尊厳は侵され、失われる。③社会の秩序を保ち、資源や食糧を確保し、市場を拡大するために、国家は警察と軍隊を必要とする。④領土や利権をめぐる国家間の争いや対立が、戦争に至ることもあるーー。

これらは資本主義の必然であって、現代の世界も①わずかな超富裕層への富の集積、②貧困層の増大、③テロリズムと戦争、④難民問題に苦悩しています。

マルクス主義共産党とは、「資本主義の根本問題を解決するためには、労働者が団結して社会主義革命を起こすしかない」というイデオロギーであり、運動です。共産党がめざす社会主義革命とは、①武力によって既存の体制を打倒して、②独占資本を解体し、③生産手段を国有化・公有化するものであり、④国際的・全世界的な革命を推進するものです。

しかし、20世紀に展開された共産主義運動は、共産党員という新たな支配階級=特権階級を生み出しました。②計画経済は非効率的で、環境破壊が著しく、多くの国家が破綻しました。③貧困問題を解決することができず、恐ろしいほど多くの人命が飢餓によって失われました。④政治は共産党一党独裁となり、首脳部に反対する者が大勢、粛清されました。⑤著しい軍拡を続けて、世界の各地で侵略戦争を起こしました。マルクス主義共産党の運動が、資本主義の根本問題を解決できないことは、100年に及ぶ壮大な「社会実験」によって実証されているのです。

 

高橋秀典師は、①社会的弱者も「神のかたち」に創造された者として、その尊厳が保たれなければならない。②キリスト者は、保守と革新という枠組みの対立を超えたヴィジョン・新たな価値観を提示すべきだ。③「互酬」「再分配」「市場交換」という三つの経済原理の調和が重要だ。④神の平和(シャローム)をこの地に広げるという共同体的な信仰の運動、これこそ今、私たちが必要とする新たな宗教改革ーーと説いておられます。そして、それらがみな、聖書から学ぶことができる知恵である、というのです。筆者も高橋先生のご意見に賛成する者です。


カール・ポラニ
は経済人類学的なアプローチによって、現代経済の原理的な問題を明らかにしましたが、それに応えてピーター・ドラッカーは現代「社会」の具体的なトランスフォーメーションについて論じていたように思います。このふたりの巨人が同郷で、親友であったというのは、神の配慮かと思います。


日本ではドラッカーを「経営の神様」のごとく崇めていますが(笑)、後期のドラッカーは「ソサエティーやコミュニティーこそ、21世紀の最も重要な問題だ」と主張していたように思います。現代資本主義が最も発達した米国は「貧困大国」でもありますが、その社会を支えているのは、巨大な非営利組織の活動です。アメリカでは、市民が現代資本主義の弱点を補っているのです。

もちろん政府の公的な補助金や企業の献金もあるわけですが、何と言ってもアメリカの富は超富裕層に著しく偏在しています。そこが法人資本主義の日本と大きく異なるところです。ビル・ゲイツの呼びかけに応えて、アメリカの超富裕層が財産の半分を慈善事業に寄付したこともありました(2010年)。アメリカの資産家やエリートは、社会に貢献する活動に熱心に取り組んでいます。その動力となっているのはやはり、アメリカ的なキリスト教精神と愛国心でしょう。

日本では「少子高齢化=人口減少時代において必要とされる社会の変革を担うのは、政府か企業か市民か。コストは誰がどのように負担するのか」という差し迫った問題があります。法人税所得税、固定資産税、相続税、消費税など税制の調整が必要であり、年金・健康保険・介護保険の保険料と給付の調整も必要です。伝統的な地縁共同体や血縁共同体は瓦解しつつあります。今後、インターネット・AI(人工知能)・ロボットの発達が、生産の領域だけでなく、再生産の領域を含めて、現代社会の全体を大きく変えていくでしょう。

 

今、日本の政治・経済・社会は、従来の単純化した枠組みを乗り越える、新しい枠組みを必要としています。そこに日本のキリスト教は、どのように絡んでいくのでしょうか。

 

母 (角川文庫)

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映画『母 小林多喜二の母の物語』主演・寺島しのぶ 監督・山田火砂子 原作・三浦綾子 製作・現代ぷろだくしょん 

 

図書カード:蟹工船青空文庫

 

 『マンガ蟹工船』 - 白樺文学館 多喜二ライブラリー (作画: 藤生ゴオ、解説: 島村輝)

http://www.takiji-library.jp/collection/read/kanikousen/kani_cmc.pdf

劇画「蟹工船」 小林多喜二の世界 (講談社+α文庫)

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聖書から見るお金と教会、社会

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ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

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ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

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21世紀の資本

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[新訳]大転換

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ネクスト・ソサエティ

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ドラッカー名著集 4 非営利組織の経営

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そうだったのか!現代史 (集英社文庫)

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そうだったのか!現代史〈パート2〉 (集英社文庫)

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【討論】シリーズ「日本の敵」:日本共産党とは何か?[桜H28/10/15]

 

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