1.日ユ同祖論
読者の皆様は、「日ユ同祖論」という「学説」をご存知でしょうか。日本人の主要なルーツの一つに、古代イスラエル民族・ユダヤ人がある、というのです。

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これは戦前、外国人、学者、宗教者が主張し、一部のキリスト教徒が盛んに宣伝して広まったものです。戦後は学術的に否定されていましたが、近年、再び盛んに宣伝されるようになりました。
ここでは、これに関連する歴史について、ごく簡単に考察してみます。
2.ディアスポラ(離散民)
北王国イスラエルは紀元前722年にアッシリア帝国によって滅ぼされ、イスラエル人の一部は捕囚として連行されました。その一部は、さらに中央アジアに移住しました(ラテン語エズラ記13:41-46)。メディアに移住したイスラエル人もいました(トビト記14:4)。
南王国ユダは前586年に新バビロニア帝国によって滅ぼされました。その前後に一部のユダヤ人は、バビロンに連行され、捕囚とされました。
バビロンに捕囚とされたユダヤ人の一部は、アケメネス朝=ペルシャ帝国を建てたキュロス大王の勅令(前538年)によってユダヤに帰還しました。しかし、バビロンに残ったユダヤ人の方が多数でした。
ユダヤ人は一時期、独立しましたが(ハスモン朝)、ローマ帝国に対する独立戦争で敗れて、紀元後70年に首都エルサレムと神殿が破滅、ユダヤ人は世界に離散しました。
一部のユダヤ人は、シルクロードで交易をして広がり、中央アジアや中国の各地にユダヤ人居住地ができました。中国・開封のユダヤ人コミュニティーは遅くとも宋代(960年-1279年)には成立し、19世紀末まで存続していました。
3.世界の一体化
さて、アケメネス朝は、ペルシャからリディア(小アジア西部)まで伸びる「王の道」を建設し、ギリシャと戦争を繰り返しました。
マケドニアの王アレクサンドロスは、ギリシャを統一した後、東征してアケメネス朝ペルシャを倒し、インダス川流域まで征服しました(前334-323年)。それ以降、中東や中央アジアではギリシャの文化的影響が支配的となり(ヘレニズム)、世界の一体化が進みました。
ギリシャの次に地中海世界を支配したローマは、「すべての道はローマに通じる」と言われるように、世界各地を結ぶ街道を建設しました。
4.東方キリスト教の興隆
紀元後30年頃に誕生したキリスト教は、ローマ帝国が造った街道や海路を通って、世界各地に広まりました。しかし、4世紀初頭まで、ヨーロッパではキリスト教徒は少数派でした。
ただし、中東や中央アジアでは、非常に多くの信者が生まれて、東方キリスト教は盛んでした。世界で最初にキリスト教を国教にしたのは、アルメニア王国でした。301年のことです。
5.日本に来た渡来人
奈良の正倉院宝物を見れば明らかなように、ササン朝ペルシャの時代(226-651年)から古代ペルシャの文化がシルクロード、中国を経て日本に伝わっています。
同じルートで、ペルシャや中央アジアから来た渡来人が日本に大勢流入したことが、歴史書に記録されています。
漢字が日本に入ってきたのは、紀元後2世紀から3世紀にかけて、と言われています。それはまさに、高度な文化を持った渡来人が、その時代に大勢、日本に流入したということでしょう。
なお、3世紀前半に卑弥呼が活躍した邪馬台国が、ヤマト王権の直接的なルーツであり、纒向遺跡のある一帯がその中心地であった、と筆者は考えています。
日ユ同祖論で重視されるのは、渡来人で有力な豪族であった「秦氏」です。
===以下、Wikipediaより引用===
『日本書紀』において、応神14年(283年)、天皇に仕えた弓月君を祖とし、百済より百二十県の人を率いて帰化したと記されている。(別名は融通王)を祖とする。
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秦氏は景教徒(古代東方キリスト教が中国に伝わった成立した)のユダヤ人だーーと佐伯好郎氏(日ユ同祖論の初期の有力な論者)は、考えたようです。
日本に来た最初のキリスト教徒 -景教の世界的権威,佐伯好郎博士が最晩年に述べていたこと- (疲れた心に強い翼を! -You are loved- あなたは愛されている)

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7.海のシルクロード
その検証は別の機会にしますが、古代人の移動距離は、かつて考えられていたよりも、遙かに長いということが、近年、明らかになっています。たとえば、縄文人が本州と八丈島を船で行き来して、交易を行っていたことが、出土品によって証明されています。
近年は特に海のシルクロードが注目されています。船で陸に沿って移動し、海流に乗れば、バビロンやペルシャからインド、マレー半島を経て、ベトナム、フィリピン、中国、台湾、沖縄、日本列島にまで来ることが、古代人にも可能でした。
ザビエルの来日(1549年)以前に、古代日本にユダヤ教やキリスト教が伝わっていた可能性は、あるでしょう。しかし、それは日本の多神教文化に飲み込まれてしまい、一神教としての本質は失われたのではないでしょうか。
kanai.hatenablog.jp
kanai.hatenablog.jp
<参考>
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/197753/1/soc.sys_18_171.pdf
doi.org

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