この30年ほど、長い長い旅をしてきた。自分なりにいろいろなことを考えて、いろいろなことに挑戦してきた。それらはバラバラだと思っていたけれど、最近ようやく、すべてが一つにつながって見えてきた。
「帝国主義=グローバリズムと一体化したキリスト教の超克」。それをキリスト教のインサイダーとして行うこと。これが、現代のキリスト者=教会が取り組むべき、大きなテーマなんだろうな。世界宣教はキリスト教の最大の使命だけれど、原点としての「ガリラヤ」を忘れてはいけないのだ。
問題の根は深い。しかし、MANGA聖書も、原発も、辺野古も、ISISも、TPPも、グラハムも、ディスペンセーション主義も、みなこれに絡んでいる。
日本人がキリスト教を受容「できない」のは、根っこにこれがあるからではないか? 問題は「日本」にもあるけれど、キリスト教自体の問題が大きいのではないか?
そもそも豊臣秀吉や徳川幕府がバテレン(宣教師)を追放し、キリシタン禁教を命じたのは、日本人が奴隷として海外に売られており、ついにはポルトガルやスペインによって日本が侵略される恐れがあったからだ。
インド・ユダヤ人の光と闇―ザビエルと異端審問・離散とカースト
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天正15年(1587年)6月18日、豊臣秀吉が発布した宣教師追放令には、ポルトガル商人による日本人奴隷の売買を禁じた規定がある。
「大唐、南蛮、高麗え日本仁を売遣候事曲事。付、日本におゐて人之売買停止之事。 右之条々、堅く停止せられおはんぬ、若違犯之族之あらば、忽厳科に処せらるべき者也」
Shimosan's OpenLab - Slavery in Japanese Society : “ú–{ŽÐ‰ï‚Æ“z—ê§ -
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帝国主義の問題の根底にあるのは、人種差別や民族差別だ。人を人と思っていないのだ。それを「キリスト教的」(?)選民思想によって正当化してしまう。これは、ユダヤ人・パリサイ派が、「罪人」や異邦人を差別して、排除したのと同じことだ。イエス・キリストは、それを怒って、厳しく非難なさったのではないか。
アメリカ南部バプテスト連盟と歴史の審判―ひとつの根源的な罪の痕跡
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キリスト教の中にも「毒麦」「悪いパン種」「偽教師」が紛れ込んでいる。現代においては、何が善だか悪だかわからない、区別しないポストモダンの思潮が、世俗の世界はおろかキリスト教会をも惑わしている。
その一方で、宗教を利用して、自分たちの思想と行動を「絶対的な正義だ」と正当化し、うそぶく指導者たちがいる。ほとんどのクリスチャンは聖書の教えに従って誠実に歩もうとしているのに、彼らは善良な人々を惑わして、侵略戦争を行ったりする。
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米国の大統領選に、また「ブッシュ」ファミリーから出馬するらしい。アメリカの保守派は、イラク戦争の反省もあって、だいぶ変わりつつあるのだろうか。
わが国は「是是非非」「然りは然り、否は否」「Noと言える日本」であることを望む。
善か悪か、白か黒か、All or Nothing と単純化できないのが、現実の世界であり、政治というものであるから。
宗教はとかく善か悪か、白か黒か、All or Nothing と単純化しやすい。日本の福音派にも、そういう人たちが多いようだ。それゆえ政教一致は絶対化の危険がある。政教分離が賢明なやり方だろう。
旧約聖書では、たとえば新バビロニア帝国のネブカデネツアルを用いて、主はユダ王国を滅ぼされた。しかし、ネブカデネツアルの帝国が犯した罪を、主は厳正に裁かれた。新約聖書では、パウロがローマ市民権を上手に利用している。彼は、「裁きは皇帝のもとで行うべきだ」と言って、ローマに行き、そこを世界宣教の拠点にした。
ローマ帝国によってユダヤは滅ぼされ、ユダヤ人は散らされた。それも神のご計画によることであった。しかし、ローマ帝国の皇帝崇拝や堕落した生活、人々に対する暴虐などの悪事は、神の忌み嫌われることであり、断罪されるべきものであった。
それでもなお、ローマ帝国がキリスト教国となって、ヨーロッパ全体がキリスト教化され、さらにそこから全世界へ福音が届けられていく。それも帝国主義の波に乗って!
私の属する教団は、英国人を中心とした宣教団の働きによって生まれた。日英同盟の時代があり、英国の絶大な経済力があればこそ、為し得たということも歴史の真実だろう。もちろん宣教師のほとんどは純粋に福音宣教に献身しているのだが。
欧米の帝国主義には大きな問題があるけれど、それさえも主は用いて福音を全世界に届けておられる。ただし、帝国主義的侵略における略奪、暴行、虐殺、奴隷化、構造的な搾取などは公義によって裁かれるべきものである。
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実に人の目には矛盾に満ちた営為であり、歴史である。人知では計り知れない領域がある。それでも、その矛盾のアウトサイダーではなく、インサイダーとして悩み苦闘しつつ、神の公義と愛が実現される「王国」を求めて労するのがキリスト者というものではないか。自らがその矛盾の中で生きているという現実を無視して、外部から批判を浴びせかけるような言論や運動には、違和感を感じざるを得ない。
4月2日、ケニア東部の大学で起きたテロで、148人もの学生が殺害された。ソマリアに拠点を置くイスラム過激派組織アッシャバーブは犯行声明で、キリスト教徒だけを狙ったと主張しているようだ。
宗教対立を煽り立てる作戦で、組織的に世界各地でテロを行っているのではないか。キリスト教諸国を揺さぶるだけでなく、イスラム諸国も転覆させて、新しい「唯一のイスラム国家」を世界規模で建て上げようとする野望があるのかもしれない。彼らの罠に、はまってはいけない。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の長い歴史をふまえつつ、平和を作り出す宗教者の新しい連帯が必要ではないか。
そもそもユダヤ教、キリスト教、イスラム教がどのようなものであるか。その共通性と異質性を、日本の指導的な立場にある方々は、どの程度理解しているだろうか? キリスト教やイスラム教を自称する者たちにも、多種多様な主義主張、行動様式がある。それを正しく理解して、適切な対応をとれるのだろうか? 日本は、とにかく米国の意向に従うのか? 我々日本のキリスト者=教会はどうだろうか?
我々も、健全な歴史観・世界観を探究して、賢明な選択をしなければならない。キリスト者=教会は、自分自身の内部にもその悪が侵入して蝕まれていることを認め、悔い改めて、いつもいつもきよめていただく必要があるだろう。これはヨーロッパやアメリカだけの話ではない。欧米を批判しているだけでは、解決できない問題だらけだ。
ラス・カサスの激しい痛切なプロテストは、彼自身を含めたキリスト者=教会=キリスト教国家に向けられたものだろう。ところが、差別され、攻撃され、排除され、抑圧され、搾取された人々こそ、本当にキリスト教=イエス・キリストによる救いがわかるようになる! 今やアジア、アフリカ、ラテンアメリカのキリスト教徒が、キリスト教世界の多数派となっている。
ラテンアメリカからの問いかけ―ラス・カサス、植民地支配からグローバリゼーションまで
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では、日本はどうか?
ここに至るまで、ぐるっと回り道をしたけれど、そろそろ、まとめにかかるぜよ v(^o^)
Think Globally, Act Locally.
Small is Beautiful.
日本人には日本人のように。
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